goo blog サービス終了のお知らせ 

住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

暖炉の話し・その2

2013-02-14 16:03:02 | 建築


先日「ギャラリーコリドーのある家」でご紹介した暖炉はガス式。今より7年前に設計監理し竣工した「花と庭の家」は薪を使う本格的なものでした。

家の形が違えば当然暖炉の形も違ってくる。
炉の開口面積から開口幅・高さ・奥行が関係してくる事や、煙突の長さや、煙突の水平と垂直の長さの比、ありとあらゆる事が影響してくる。
暖炉のあるお宅に伺って話を聞いてみたりもしました。我が家には暖炉の だ の字もなかったので、イメージを掴むのに苦労しました。建築家の奥村昭雄さん出版の本なんかでも勉強させていただいた。おかげ様で不完全燃焼により煙が部屋に充満することなどなく、うまく燃えている。

あらためて暖炉を考えてみて、煙が出ない-外気に煙を引っ張りやすいという事は、一方で熱が逃げやすいという事。熱効率といった点では、あまり良い暖房器具ではない事が知られている。数値的には他の機器にかなわない。しかしながら暖炉には効率で測れない何かがあると思う。スイッチひとつで、無機質とも思える暖かい風が吹き出てくるような暖房器具にはない何かが・・・



NHK「おしゃれ工房」テキストで紹介いただいた1ショット。

=「花と庭の家」=



暖炉

2013-02-04 22:29:35 | 建築


なかなかイメージ通りのモノがないので、自分で線を引く(設計する)羽目になる。♪

リビングの片隅のイングルヌック。暖を囲んでの一家団欒の場所。その中心に暖炉を置く。暖炉と言っても薪を燃やすというものではなく、ガス式による暖炉風暖房器具。いろいろと制約のあるマンションのリフォームには使い勝手が良い。その暖炉廻りの家具製作を岡部棟梁に担当してもらいました。家具も作れる棟梁、いつもいつもありがとう!

=ギャラリーコリドーのある家=


廊下の話し

2013-02-01 15:23:14 | 建築


家の中に無駄な空間が結構あると思う。我が家の様に細長い敷地に建つうなぎの寝床風の家の廊下や、間口が狭く奥行きが長いマンションの廊下など。そこは空間と空間を繋ぐ、移動する動線という点では、一概に無駄とは言いきれないかもしれないが、もう少し有効に利用出来ないだろうかと感じている。

先日竣工した「(仮称)ギャラリーコリド-のある家」は築30年のマンションのリフォームだったのですが、玄関を入って一番奥にある居間の扉までの廊下の長さが13m弱。リフォーム前は薄暗くて単調でただ通り過ぎるだけの長すぎる空間でした。おもしろいことにそこを通る人は、ちょっと恐いトンネルを少しでも早く通り抜けようとするかのごとく、みんな早足になっていました。

そこで、この廊下に少しでも長く滞在し、出来れば楽しい空間に出来ないだろうか?という発想からギャラリ-コリドー(コリド-とは回廊・廊下の意味)が生まれました。画像は竣工直後だったのでまだ何も飾ってませんが、向かって右側の壁には思い出の絵画、お子さんの書いた絵、家族の写真。はたまた家族の賞状なにかも掛けられるかもしれません。年を積み重ねるごとに少しずつ数も増えてゆきます。そしてお子さん達は自分だけの隙間をみつけては読書にいそしむかもしれません。

仲の良いご家族は、いつしかここから笑い声が聞こえてくるでしょう。この場所は廊下であり、家族のギャラリーにもなるのです。



これは我が家の2階の廊下。奥の右側に見える白いカーテンの向こうには長いパイプハンガ-が・・・そこは廊下でもあり、ウォークインクローゼット ならぬ、ウォークスルークローゼットです。左側の窓は中庭に面しているので、こっそり鳥に見つからないようにバードウォッチングも出来るのです。

=戸田晃建築設計事務所=



森林浴

2013-01-30 12:35:28 | 建築


浴室に富士山をえがきました。
形・色・質感もばらばらなタイルのパッチワーク。



時に湯風呂から、時に水風呂からその富士を眺める事が出来ます。庭に突出た壁・天井ガラス貼りの大きな窓から、庭の木々の様子を感じ取ることが出来ます。

それはまるで森林の中で入浴しているような・・・そして湯気の向こうには富士山。

設計したお風呂に入浴できるのは設計士冥利に尽きるというものです。感謝!

そして製作裏話。まず富士山のスケッチ、それを型紙を興し、その上にタイルをレイアウトして、それをタイル屋さんが1枚1枚張ってゆく。
壁は朱色より藍色までのグラデーションになっているのですが、その先行して製作したグラデーション壁の間に、目地の巾も頭に入れてミリ単位でレイアウトしはめ込まなくてはいけない。思った以上に手間と根気のいる作業でした。

現場の監督をはじめ職人の皆様の協力なくしては出来ませんでした。感謝!

=戸田晃建築設計事務所=


コンテナ

2013-01-29 02:42:49 | 建築
土留めや緑化、水周りや溜まり場 斜面を利用したいろいろなコンテナたち
土に埋めるから、土砂崩れ防止になるし、断熱効果もある。防水が問題ではあるが・・・

斜面を上がるは地域共同簡易ケーブルカ-。麓の駅に車を置いて各フロアーに上がる。
高いところに行こうと言われたって、歩いてゆくのは大変だ。特にお年寄りは・・・





重ねられたり、配置が比較的簡単に変えられるのがコンテナの良いところ・・・





自分なりにカスタマイズしたその家は、家ごと引っ越しが出来るのが良いところ・・・
”仮”ではない自分の家。





いろいろな考えが頭の中をぐるぐる廻る・・・





結局、行動に移していないから考えてないのと同じ事。なんていう思いもぐるぐる廻る・・・

2011年6月のスケッチより

=戸田晃建築設計事務所=