秋の雲

ゆるやかな坂の果なり秋の雲

工場に若木植えられ秋高し
秋空を目指せば坂のひろびろと

すだち

とうふ真白すだちの青き香を絞る
白壁を朝顔の紺のぼりきる
新涼やけさ心地好き朝寝坊

夕焼

夕焼の雲を押し上げ富士現る
六月のドラセナに葉の新たなる
走り梅雨カット少なき映画見る

青葉雨

紫陽花のつぼみの縁に青しかと
青葉雨少年の弾くヴィヴァルディ

〈芍薬忌献句〉
芍薬を咲かせて散らす師の詩魂

木の芽張る

春深し白き小花の街に満つ
白山吹寄らんとすれば既に散る
点描のように一気に木の芽張る

さくら

けさ二輪雲のいろしてさくら咲く
栗鼠の尾をなびかせており春北風
上着置き春の支度の軽きこと

菜花

朝粥にあおき菜花の辛子和え
グーの手を突き出すかたち木瓜蕾
まなうらの色にかがやき春浅し

春雪

ぐんぐんと岸の白梅ふくらめり
雪に濡れさくらの枝のほの赤き
大粒の春雪を受くボンネット
会えば皆雪を知らせる御茶ノ水

初笑

年越や石鹸の泡光り過ぎ
背を起こし睫毛に眩し初日影
初笑静かな男のヘルパーと
豚汁のレシピ書き足し初雪に

秋夕焼

オンライン月例句会
雲も陽も富士へと沈む秋夕焼
みずいろの朝顔空へ向き揺るる
夕月夜世代それぞれ友二人

秋入日

秋入日富士を赤茶の影にして
雲も陽も富士へ沈める秋夕焼
　正子先生添削
　雲も陽も富士へと沈む秋夕焼

夕月夜

窓八枚真横に秋の雲たなびく
夕月夜世代の違う友二人
　正子先生添削
　夕月夜世代それぞれ友二人

ゼリー

大切りのメロンをぐいとジューサーに
旧友と分けるゼリーのきれいな色
揚花火横浜港のリズミカル

メロン

青空へ紐を結びし竹簾
　正子先生添削
　青空へ紐を結びぬ竹簾
窓拭けば遠き万緑迫りくる
賜りしメロンをぐいとジューサーに
　正子先生添削
　大切りのメロンをぐいとジューサーに

盆支度

にぎやかに母の友らと盆支度
地域猫見上げる先に七夕笹
フラミンゴ水浴びるとき夏日揺れ