「一句一会」川嵜昭典
冬の夜を楽譜とドレス背負い帰る 川名ますみ
(『俳壇』十二月号「連打音」より)
演奏会後の演奏者というのは、意外と重労働だ。楽器や譜面、衣装など、まさに掲句のように両手が塞がったまま帰らなければならない。一方、気持ちは高揚していて、毎晩舞台で演奏し続けていてもいいと思えるくらい心地良い。まさに「冬の夜」のような、凛とした清々しさと、きらきらとした明るさが感じられるような気持ちだ。この、体はしんどいが心は軽やか、という相反した気持ちになれる機会はそうそうないので、やはりまた舞台に立つことを望んでしまうのだろう。実体験が冬の夜の美しい句に昇華している。
冬の夜を楽譜とドレス背負い帰る 川名ますみ
(『俳壇』十二月号「連打音」より)
演奏会後の演奏者というのは、意外と重労働だ。楽器や譜面、衣装など、まさに掲句のように両手が塞がったまま帰らなければならない。一方、気持ちは高揚していて、毎晩舞台で演奏し続けていてもいいと思えるくらい心地良い。まさに「冬の夜」のような、凛とした清々しさと、きらきらとした明るさが感じられるような気持ちだ。この、体はしんどいが心は軽やか、という相反した気持ちになれる機会はそうそうないので、やはりまた舞台に立つことを望んでしまうのだろう。実体験が冬の夜の美しい句に昇華している。