かわな ますみ / 花冠同人

かわな ますみ の俳句
  ブログ句帳 

俳誌『若竹』No.1102(2月号)掲載鑑賞

2024-02-17 18:48:09 | その他掲載作品
「一句一会」川嵜昭典

冬の夜を楽譜とドレス背負い帰る 川名ますみ
(『俳壇』十二月号「連打音」より)

 演奏会後の演奏者というのは、意外と重労働だ。楽器や譜面、衣装など、まさに掲句のように両手が塞がったまま帰らなければならない。一方、気持ちは高揚していて、毎晩舞台で演奏し続けていてもいいと思えるくらい心地良い。まさに「冬の夜」のような、凛とした清々しさと、きらきらとした明るさが感じられるような気持ちだ。この、体はしんどいが心は軽やか、という相反した気持ちになれる機会はそうそうないので、やはりまた舞台に立つことを望んでしまうのだろう。実体験が冬の夜の美しい句に昇華している。

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