かわな ますみ / 花冠同人

かわな ますみ の俳句
  ブログ句帳 

雪嶺

2012-02-03 20:00:00 | 甲斐路
雪嶺へ飛行機雲の一直線
甲斐よりは残雪の富士銀色に
青空と残雪ひかる道を往く

東京からは真っ白に見えた富士山が、甲斐盆地では銀鼠がかって映る。深い光を放つようなこの富士も、ぐるりの連山も、もう見る機会がないのは寂しい。振り返り、リアウインドウからもう一度病院と富士山を仰ぐ。

中央道_冬の山嶺

リアより病院と富士

連山と桃畠
※2012年1月30日、車窓より
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2012-02-02 20:00:00 | 甲斐路
雪の富士高速道の正面に
山肌に雪残し樹々しかと立つ
集落の屋根それぞれに雪を載せ

主治医の転勤に伴い、山国へ通うようになり五年半。
春には主治医が戻られるとかで、これが最後の山越え通院。
案じた雪にも遭わず、深く澄み渡る青空のもとを往く。
道中、一週間前の雪がまだきれいに積もっていた。


中央道_雪晴1

中央道_雪晴2

中央道より雪晴の盆地
※2012年1月30日、中央道車窓より
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稲の秋

2011-10-17 20:00:00 | 甲斐路
稲の陽を空に弾けり甲斐盆地
稲稔る山へ空へと黄を揺すり
 正子先生添削
 稲熟るる山へ空へと黄を揺らし
雲晴れて倒れし稲も黄金色
雲なびく方へ稲穂のそよぎけり
連なりし峰の幾つや夕紅葉

甲府盆地の南方。増穂や玉穂といった地名もその所縁だろうか、稲作が盛んで、今は一帯が黄金色だ。車窓がまばゆい。

甲斐_稲田_交叉点

甲府南_稲田
※10/6、車窓から
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爽やか

2011-10-13 19:15:48 | 甲斐路
秋雲の山へ集まり山を越ゆ
いま雲を抜けた山路の爽やかさ
秋の峰越ゆればまた青空あり
山峡にすこしまぶしき稲の波
行く手には紅葉の桃の段畑

幾つもの峰を越え、山梨へ通院。昨年はこの季節に行かなかったため、二年ぶりの秋嶺だ。薄紅葉の山並に谷間の稲田、道は秋の色に満ちている。

中央道_棚田
※10/6、中央道車窓から
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夕立晴

2011-07-18 20:00:00 | 甲斐路
夕立晴雲は次々嶺渡る
連山をぐいと越したる夏の雲
桃きらきら甲斐の端山の土産屋に
朝採の瓜ふくふくと浅みどり

山越通院の帰路は、決まって野菜の直販店へ。今は、自由な形をした種々の瓜が、そして大事に育てられた桃が、瑞々しく並んでいる。

談合坂やさい村

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青田村

2011-07-13 20:00:00 | 甲斐路
青田村隅に一家の野菜畠
山の青包める夏の空の青
トンネルを出づれば濡れし夕立あと

甲府南_青田

甲府南_植田と果樹と
※7/11、甲府盆地車窓から

長いトンネルに入る前、晴天にも関わらず“出口雨注意”との表示。出口もやはり青空だったが、路面や樹々が濡れていることに気づく。車窓には、山襞を縫い次々過ぎる夕立雲。

中央道_夕立晴
※7/11、中央道車窓から
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青嶺

2011-07-12 20:00:00 | 甲斐路
カーブして次の青嶺に入りけり
凌霄花やこの山越えて甲斐の里
夏空に動かぬ雲と動く雲
雲の影渡し笛吹川涼し
夏川の碧く盆地を貫けり

中央道夏山_立体交差

中央道_青田
※7/11、中央道車窓から

山国へ通院するようになり、もうじき五年。日頃、ビル街で加療するばかりの私には、吟行を兼ねた楽しみな時間。山を抜けると、果樹園と青田の緑が瑞々しい。盆地を貫く川も満々と。

笛吹川_夏
※7/11、車窓から笛吹川
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菠薐草

2011-04-07 20:00:00 | 甲斐路
春の雲来てまだ音のなき棚田
春雪の富士かがやきて陽と交る
トンネルの入るも出づるも花吹雪
 添削
 トンネルを入る時出る時花吹雪
菠薐草ふさふさと抱き山の道

甲府盆地より雪残る嶺

白詰草と富士
※写真は4月4日、車窓より
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甘茶

2011-04-04 22:00:00 | 甲斐路
あざやかな春ショール選り明日遠出
朝空へ無音の内に辛夷咲く
 正子先生添削
 朝空へ無音に辛夷花開く
まつすぐに桃の花咲く山国へ
甲斐の空丘の学舎に初ざくら
土産屋に甘茶を詰めて山の旅

中央道より桃の花

中央道より春の棚田
※写真は4月4日、中央道車窓より
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花室

2011-01-17 20:00:00 | 甲斐路
花室も畦もまつすぐ甲斐盆地
山道に青物屋あり花菜買う
冬の田に雲の通りの黒き影
 正子先生添削
 冬の田に雲の通れる黒き影


冬山路

枯山の山峡
※写真は1/12、中央道車窓から。クリックで大きな画像があらわれます

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寒空

2011-01-13 20:00:00 | 甲斐路
枯野にて病躯の両の手をひらく
山冴ゆる浄めたき身を真直ぐに
手袋をきりきり留めてドライバー
何もなき空を昇れる寒の鳶
 信之先生添削
 何もない寒空を昇ってゆく鳶

久しぶりの山越え通院。寒晴に、道を往くほど心弾む。連峰も枯園も冬田も、陽に耀いて優しい。

甲府盆地_冬田

甲府盆地_フレーム
※写真は1/12、車窓から。クリックで大きな画像があらわれます

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蜻蛉

2010-07-13 20:00:00 | 甲斐路
二筋の揚羽の青の土近く
療苑に二世帯となる夏の鴨
軽鳧の子を案じ患者ら中庭に
とんぼとんぼ向う山まで透き通る
車椅子とんぼの群へ触れに入る

昨夏、病院の中庭から巣立った一家はどうしたかしらね、と我が家でもしばしば話題に上っていた軽鴨。この夏は、二世帯が、同じ中庭で子育てをしていた。

軽鴨家族_二世帯

そろそろ親離れが近そうな一家と、

山梨大附属病院_軽鴨一家_長

泳げるようになったばかりで陸地の歩みも覚束ない一家、

山梨大附属病院_軽鴨一家_幼_水上

山梨大附属病院_軽鴨一家_幼_地上

それぞれの母鴨が昨年ここで生まれた姉妹で、あの雛達はいとこかも、などと患者間に噂されるほど、二家族は当たり前のように同居している。
この日、最初に見た時は、水面が散らかっている印象だったが、どうやら職員が餌を遣った直後だったよう。循環用の排水口には網が張られ、ゴミの流れない工夫がされているし、抱卵期のためか立派な小屋まで用意され、居心地が良さそうだ。

帰路、いつものように中央道の談合坂サービスエリアへ寄って貰う。彼方に見えるのは山脈だけの広い草原に、蜻蛉の群れが。一昨年と同じ果樹園の出店で桃を買い、秋の空気を感じて、もう一度車に乗った。

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青蘆

2010-07-12 22:00:00 | 甲斐路
山裾も青き葡萄の段畑
青葡萄葉の大きさを離れざる
青田波小さき棚田のすみずみへ
山峡に段差顕る青田波
渓澗の墓地万緑に囲まるる
山合に夏雲ぐいぐい集まれり
青蘆の波を夕日の辿りけり

定例の山越え通院。高層街を往き来するばかりの暮らしに、山道を進む一日は貴い。慌ただしい目下ゆえ延期も考えたが、やはり決行してよかった。山の青、田畑の生気、雲の勢い、五官に届く全てが力強い。

山間の列車_中央道より_1

山間の列車_中央道より_2
※写真は7/12、中央自動車道車窓より。クリックで大きな画像があらわれます

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若芝

2010-04-08 20:00:00 | 甲斐路
たつぷりと土盛る畦に花菜雨
芝青む樹に咲く花の明々と
果樹園を低く過ぎたる春の鴨
立ちどまる母娘旧家の緋桃垂れ
切り岸の天辺に菜の花明かり

一宮御坂ICへ_春雨

春霖に耀く道を帰る。桃の紅が多くを占める中、時折、ほのかな桜の色が立ちのぼる。中央道の断崖には、菜の花や連翹、また秋めく竹の葉なども。豊かな彩りに包まれながら家路に。

山間の花

春嶺
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御坂桃源郷

2010-04-07 20:00:00 | 甲斐路
雲晴れて桃咲き満つる右左
山一つ越え桃の咲く里へ出づ
街路樹の切れれば桃の花の色
春霖や盆地の医師の独り言
灯さずに働く村よ春の雨

受診の間も、主治医と桃の話など。病院からの帰路、雨空ではあったが、花を付けた桃を観たく「みさか桃源郷公園」を目指す。笛吹市の開花情報を追うと、その辺りの桃が咲き始めた模様。ドライブの窓からでも望めたら。

笛吹市_桃と黄水仙

笛吹市_桃園

百千鳥果実の郷を囃したる
桃苑を囲めば眩し黄水仙
連なりて角の向こうも黄水仙
農園の樹下にうつすら菫咲く
桃咲きぬそれぞれ畑の札をさげ

公園の周囲には、各戸の桃畑が立ち並ぶ。大通りへ出るまで、路地をうろうろと車でお邪魔した。山と霞を背景にした果樹園は、どこをとっても絵画のよう。農具はもちろん廃材に至るまで、全てが調和した景色。自然とともに暮らす、その美しさを思い知る。

御坂_桃畑1

御坂_桃畑2
※写真は4/5、笛吹市にて車窓から
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