二筋の揚羽の青の土近く
療苑に二世帯となる夏の鴨
軽鳧の子を案じ患者ら中庭に
とんぼとんぼ向う山まで透き通る
車椅子とんぼの群へ触れに入る
昨夏、病院の中庭から巣立った一家はどうしたかしらね、と我が家でもしばしば話題に上っていた軽鴨。この夏は、二世帯が、同じ中庭で子育てをしていた。
そろそろ親離れが近そうな一家と、
泳げるようになったばかりで陸地の歩みも覚束ない一家、
それぞれの母鴨が昨年ここで生まれた姉妹で、あの雛達はいとこかも、などと患者間に噂されるほど、二家族は当たり前のように同居している。
この日、最初に見た時は、水面が散らかっている印象だったが、どうやら職員が餌を遣った直後だったよう。循環用の排水口には網が張られ、ゴミの流れない工夫がされているし、抱卵期のためか立派な小屋まで用意され、居心地が良さそうだ。
帰路、いつものように中央道の談合坂サービスエリアへ寄って貰う。彼方に見えるのは山脈だけの広い草原に、蜻蛉の群れが。一昨年と同じ果樹園の出店で桃を買い、秋の空気を感じて、もう一度車に乗った。
療苑に二世帯となる夏の鴨
軽鳧の子を案じ患者ら中庭に
とんぼとんぼ向う山まで透き通る
車椅子とんぼの群へ触れに入る
昨夏、病院の中庭から巣立った一家はどうしたかしらね、と我が家でもしばしば話題に上っていた軽鴨。この夏は、二世帯が、同じ中庭で子育てをしていた。
そろそろ親離れが近そうな一家と、
泳げるようになったばかりで陸地の歩みも覚束ない一家、
それぞれの母鴨が昨年ここで生まれた姉妹で、あの雛達はいとこかも、などと患者間に噂されるほど、二家族は当たり前のように同居している。
この日、最初に見た時は、水面が散らかっている印象だったが、どうやら職員が餌を遣った直後だったよう。循環用の排水口には網が張られ、ゴミの流れない工夫がされているし、抱卵期のためか立派な小屋まで用意され、居心地が良さそうだ。
帰路、いつものように中央道の談合坂サービスエリアへ寄って貰う。彼方に見えるのは山脈だけの広い草原に、蜻蛉の群れが。一昨年と同じ果樹園の出店で桃を買い、秋の空気を感じて、もう一度車に乗った。
雲晴れて桃咲き満つる右左
山一つ越え桃の咲く里へ出づ
街路樹の切れれば桃の花の色
春霖や盆地の医師の独り言
灯さずに働く村よ春の雨
受診の間も、主治医と桃の話など。病院からの帰路、雨空ではあったが、花を付けた桃を観たく「みさか桃源郷公園」を目指す。笛吹市の開花情報を追うと、その辺りの桃が咲き始めた模様。ドライブの窓からでも望めたら。
百千鳥果実の郷を囃したる
桃苑を囲めば眩し黄水仙
連なりて角の向こうも黄水仙
農園の樹下にうつすら菫咲く
桃咲きぬそれぞれ畑の札をさげ
公園の周囲には、各戸の桃畑が立ち並ぶ。大通りへ出るまで、路地をうろうろと車でお邪魔した。山と霞を背景にした果樹園は、どこをとっても絵画のよう。農具はもちろん廃材に至るまで、全てが調和した景色。自然とともに暮らす、その美しさを思い知る。
※写真は4/5、笛吹市にて車窓から
山一つ越え桃の咲く里へ出づ
街路樹の切れれば桃の花の色
春霖や盆地の医師の独り言
灯さずに働く村よ春の雨
受診の間も、主治医と桃の話など。病院からの帰路、雨空ではあったが、花を付けた桃を観たく「みさか桃源郷公園」を目指す。笛吹市の開花情報を追うと、その辺りの桃が咲き始めた模様。ドライブの窓からでも望めたら。
百千鳥果実の郷を囃したる
桃苑を囲めば眩し黄水仙
連なりて角の向こうも黄水仙
農園の樹下にうつすら菫咲く
桃咲きぬそれぞれ畑の札をさげ
公園の周囲には、各戸の桃畑が立ち並ぶ。大通りへ出るまで、路地をうろうろと車でお邪魔した。山と霞を背景にした果樹園は、どこをとっても絵画のよう。農具はもちろん廃材に至るまで、全てが調和した景色。自然とともに暮らす、その美しさを思い知る。
※写真は4/5、笛吹市にて車窓から