おいしい資本主義 / 近藤 康太郎【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784309247274
近藤 康太郎【著】
価格 \1,728(本体\1,600)
河出書房新社(2015/08発売)
知り合いからこの本をお借りしたのでちょっと感想を書いてみようと思います。
というのも昨日今日と風邪をひいて会社を休んでおり、暇だったので布団の中で一気に読み終わってしまったので。
うちは祖父が専業農家。父が公務員→専業農家→サラリーマンと転職。
父親のサラリーマン時代も稲作と家で食べる分や近所に挙げる分の畑、あと肉牛をやっていたので
兼業農家の家庭で育ったことになります。
なので田舎の農家事情や農業についてはうっすらとわかっているつもりです。うっすらと。
で、まず思ったのが
この本を貸してくれた人が、この筆者はコミュ力が高かったから機材なんかを借りれて安く済ませられたのだろうと言っていたのですが
本を読んだ限り、筆者はコミュ力ゼロと自分で言っているし、それが謙遜だとしてもまぁコミュニケーション能力は普通くらいだろうと思います。
では、本の中に出てくる師匠が度を越えた世話焼きだったのかというと、多分師匠も普通の農家のおっちゃんだと思います。
おそらく、東京からちょっと田んぼをしたくて田舎に行った都会人と農家のおっちゃんが出会えばほぼこんな人間関係になると思います。
田舎のおっちゃんは基本どこでもこんな感じです。教えたいのです。世話したいのです。
田舎は閉じたコミュニティーなイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが
田舎のコミュニティー登録は結構簡単でコミュニティー内の誰かからの紹介があれば驚くほど簡単に中に入っていけるものです。
著者も、師匠の息子の嫁からの紹介という経緯で師匠と会っているし、ここは田舎の法則に則っているのでよいスタートだったと思います。
あと、田んぼの周りの人ともうまくいっている描写が後半にはいっぱい出てきますが、
田舎の狭いコミュニティーの悪い部分は一年暮らした程度ではわからないと思います。
3年くらい住んでみると色々と暗い面が見えてくるかもしれません。
田舎の集落は聖人君主の集まりでもなく、ゲスな野蛮人の集団でもなく、ただの普通の人間の集まりです。
そのうえ他人との距離感が近いから色々とめんどくさいし生きにくいのです。
田舎のコミュニティーのいい雰囲気が本の中には書いてあったのでそこだけはちょっと思いました。
それと、この本の中では一年分の米を一日一時間の労働でつくれるか?
本職に影響がない程度で食いっぱぐれないだけの米をつくれるかって企画だったのですが
この内容であれば、本の中にも換金を考えている節もなかったので選択肢は米しかなかったと思います。
稲作は畑に比べて専用の道具が色々必要で初期投資がかかるのは事実なのですが
(乗用の田植え機で300万以上、稲刈り用のコンバインに至っては800万以上しますからね)
主食である米には保存がきくという最大のメリットがあります。
自分は2年以上古い米は食べたことがないが1年以上前の米も普通に食べれます。
一年分の米を収穫して来年の収穫までその米を食べるというやり方には米や麦なんかの穀物しか選択肢がないのです。
そして日本でやるなら圧倒的に米のほうが、
放置耕作地っても田んぼが一番多いに決まっているんだし、
農家は基本米は作っているものだから周辺の農家のサポートなんかも有利に決まっています。
保存のきく野菜だとジャガイモが気を付けて2~3か月くらい?
玉ねぎは干せば1年くらいもつかもしれませんが玉ねぎじゃあ主食にはならないですよね。
米も野菜も収穫時期にまとめて収穫されます。保存のきく米しかこの本の実験には選択肢がないように思います。
他の野菜では一年分収穫しても食べれてせいぜい1月分くらい、残りは全部ダメにしてしまいますよね。
自分で作ったものを食べるんだから品質は問わない(換金を考えない)、
つくったものを一年分ちゃんと食べれる(保存が利く)、
周りのサポートを受けやすい。
だと、この本の題材になるのは米しかないんじゃねーって気がしました。
あと、稲作と麦の二毛作とかやってもいいんじゃ?とかも思いました。
ちょっと話は変わりますが、
野菜を一年分収穫して、食べる分以外は換金してそのお金で米を買えば解決では?って考えもあるかもしれません。
これにはひとつ問題があって、野菜をどうやって換金しますか?ってのがあります。
方法は三つくらいあると思っていて
1.農協に卸す
2.地域の産直所に卸す
3.個人で卸す、販売する
1.について。
日本で農業をしていると最も標準的な換金方法です。
米でも野菜でも農協に卸すと農協の流通網で全国に卸され農協から生産者に利益が振り込まれます。
ただ、農協は農家のための組合であり、農家は自分の農地を持っている生産者ということになります。
筆者が本の中で書いていますが、この片手間農家って農地法に引っかかるんじゃね?ってのがあって
そうすると農協の組合員になれんの?ってのが疑問に残ります。
これは実際に農業をやったわけでもなく、農協に勤務した経験もないのでよくわかりません。
2.は地域の産直などは今は売り手にも買い手にも人気の販売所です。
なので、産直所に卸すには厳正な基準をクリアする必要があり、
そこで勝負する相手はプロ農家で、野菜の質、供給能力など総合的に勝ち抜くのは難しいと思います。
多分、出品してる農家も農協に卸す品以上の選りすぐりを入れてくるはずです。
それだけ産直所などで直接売ることは書いての顔も見え、自分の野菜が目の前で売れていくのもわかるし
農協に卸す以上に生産者にとってはやりがいのある販売形態です。
そこに片手間の野菜をねじ込むのは厳しいです。
3.はもはや片手間ではなく本業並の労力なので割愛する。
また、1,2,3どれでもそうですが、換金するのであればそれなりの品質は求められます。
大きさや形、色など味以外にも様々な基準をクリアしてお金にすることができます。
畑の野菜すべてが換金できる品質になることはありえないので換金を期待する量の倍は耕作地を作った方がよいので手間は増えていきます。
換金するいうのはプロ農家になるという意味っぽい気もするのでコンセプトからは外れそうですね。
片手間でつくって、余ったから売ればいいやーというほど簡単ではないです。
もちろんうまくやる方法はあると思いますけど、自分は勉強してみないと思いつかないです。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784309247274
近藤 康太郎【著】
価格 \1,728(本体\1,600)
河出書房新社(2015/08発売)
知り合いからこの本をお借りしたのでちょっと感想を書いてみようと思います。
というのも昨日今日と風邪をひいて会社を休んでおり、暇だったので布団の中で一気に読み終わってしまったので。
うちは祖父が専業農家。父が公務員→専業農家→サラリーマンと転職。
父親のサラリーマン時代も稲作と家で食べる分や近所に挙げる分の畑、あと肉牛をやっていたので
兼業農家の家庭で育ったことになります。
なので田舎の農家事情や農業についてはうっすらとわかっているつもりです。うっすらと。
で、まず思ったのが
この本を貸してくれた人が、この筆者はコミュ力が高かったから機材なんかを借りれて安く済ませられたのだろうと言っていたのですが
本を読んだ限り、筆者はコミュ力ゼロと自分で言っているし、それが謙遜だとしてもまぁコミュニケーション能力は普通くらいだろうと思います。
では、本の中に出てくる師匠が度を越えた世話焼きだったのかというと、多分師匠も普通の農家のおっちゃんだと思います。
おそらく、東京からちょっと田んぼをしたくて田舎に行った都会人と農家のおっちゃんが出会えばほぼこんな人間関係になると思います。
田舎のおっちゃんは基本どこでもこんな感じです。教えたいのです。世話したいのです。
田舎は閉じたコミュニティーなイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが
田舎のコミュニティー登録は結構簡単でコミュニティー内の誰かからの紹介があれば驚くほど簡単に中に入っていけるものです。
著者も、師匠の息子の嫁からの紹介という経緯で師匠と会っているし、ここは田舎の法則に則っているのでよいスタートだったと思います。
あと、田んぼの周りの人ともうまくいっている描写が後半にはいっぱい出てきますが、
田舎の狭いコミュニティーの悪い部分は一年暮らした程度ではわからないと思います。
3年くらい住んでみると色々と暗い面が見えてくるかもしれません。
田舎の集落は聖人君主の集まりでもなく、ゲスな野蛮人の集団でもなく、ただの普通の人間の集まりです。
そのうえ他人との距離感が近いから色々とめんどくさいし生きにくいのです。
田舎のコミュニティーのいい雰囲気が本の中には書いてあったのでそこだけはちょっと思いました。
それと、この本の中では一年分の米を一日一時間の労働でつくれるか?
本職に影響がない程度で食いっぱぐれないだけの米をつくれるかって企画だったのですが
この内容であれば、本の中にも換金を考えている節もなかったので選択肢は米しかなかったと思います。
稲作は畑に比べて専用の道具が色々必要で初期投資がかかるのは事実なのですが
(乗用の田植え機で300万以上、稲刈り用のコンバインに至っては800万以上しますからね)
主食である米には保存がきくという最大のメリットがあります。
自分は2年以上古い米は食べたことがないが1年以上前の米も普通に食べれます。
一年分の米を収穫して来年の収穫までその米を食べるというやり方には米や麦なんかの穀物しか選択肢がないのです。
そして日本でやるなら圧倒的に米のほうが、
放置耕作地っても田んぼが一番多いに決まっているんだし、
農家は基本米は作っているものだから周辺の農家のサポートなんかも有利に決まっています。
保存のきく野菜だとジャガイモが気を付けて2~3か月くらい?
玉ねぎは干せば1年くらいもつかもしれませんが玉ねぎじゃあ主食にはならないですよね。
米も野菜も収穫時期にまとめて収穫されます。保存のきく米しかこの本の実験には選択肢がないように思います。
他の野菜では一年分収穫しても食べれてせいぜい1月分くらい、残りは全部ダメにしてしまいますよね。
自分で作ったものを食べるんだから品質は問わない(換金を考えない)、
つくったものを一年分ちゃんと食べれる(保存が利く)、
周りのサポートを受けやすい。
だと、この本の題材になるのは米しかないんじゃねーって気がしました。
あと、稲作と麦の二毛作とかやってもいいんじゃ?とかも思いました。
ちょっと話は変わりますが、
野菜を一年分収穫して、食べる分以外は換金してそのお金で米を買えば解決では?って考えもあるかもしれません。
これにはひとつ問題があって、野菜をどうやって換金しますか?ってのがあります。
方法は三つくらいあると思っていて
1.農協に卸す
2.地域の産直所に卸す
3.個人で卸す、販売する
1.について。
日本で農業をしていると最も標準的な換金方法です。
米でも野菜でも農協に卸すと農協の流通網で全国に卸され農協から生産者に利益が振り込まれます。
ただ、農協は農家のための組合であり、農家は自分の農地を持っている生産者ということになります。
筆者が本の中で書いていますが、この片手間農家って農地法に引っかかるんじゃね?ってのがあって
そうすると農協の組合員になれんの?ってのが疑問に残ります。
これは実際に農業をやったわけでもなく、農協に勤務した経験もないのでよくわかりません。
2.は地域の産直などは今は売り手にも買い手にも人気の販売所です。
なので、産直所に卸すには厳正な基準をクリアする必要があり、
そこで勝負する相手はプロ農家で、野菜の質、供給能力など総合的に勝ち抜くのは難しいと思います。
多分、出品してる農家も農協に卸す品以上の選りすぐりを入れてくるはずです。
それだけ産直所などで直接売ることは書いての顔も見え、自分の野菜が目の前で売れていくのもわかるし
農協に卸す以上に生産者にとってはやりがいのある販売形態です。
そこに片手間の野菜をねじ込むのは厳しいです。
3.はもはや片手間ではなく本業並の労力なので割愛する。
また、1,2,3どれでもそうですが、換金するのであればそれなりの品質は求められます。
大きさや形、色など味以外にも様々な基準をクリアしてお金にすることができます。
畑の野菜すべてが換金できる品質になることはありえないので換金を期待する量の倍は耕作地を作った方がよいので手間は増えていきます。
換金するいうのはプロ農家になるという意味っぽい気もするのでコンセプトからは外れそうですね。
片手間でつくって、余ったから売ればいいやーというほど簡単ではないです。
もちろんうまくやる方法はあると思いますけど、自分は勉強してみないと思いつかないです。