君が紡ぐ物語
携帯には受信メールが1件。
『放課後、非常階段で待ってます。 水谷優菜』
1ヶ月前、非常階段に呼び出し告白して、断られた相手からのメールだった。
フられた相手から、フられた場所に呼び出され…
正直良い気はしない。
それと同時に期待を拭いきれないのも悔しいところだった。
昼休みに届いたメールを何度も読み返し、5時間目終了とともに返信する。
『わかった。行くよ。』
どちらも絵文字なし。冷たい文字だけが並んでいて、相手の感情が読み取れない。
期待はしない、自分の胸に何度となえても頭の片隅には「もしかしたら」の文字が消えない。
6時間目が終わるのが待ち遠しい。呪文のように頭の上を通り過ぎてゆく数学の公式に「くあっ」っと欠伸が出た。
「きょーつけぇー れーぇ」 授業終了の挨拶でふと意識が戻る。
「お前、途中から寝てたよなw」
前の席から振り返って話しかけてくる霧嶋に適当に頷きながら、放課後に呼び出されていたことを思い出す。
「ゃべっ、霧嶋、ちょっと俺、部活遅れるっ」
「ぇ、なんかあんの?」
先輩に伝えるのが面倒だという、不機嫌な顔。
「ちょっと呼び出された」
誰から、とは言わない。先生に呼び出されたとでも思うのが普通だろう。
「…あ、あぁ、なるほど、モテる男はこれだからね~先輩に伝えとくよ」
モテる…?てめぇに言われたかねぇよ。
教室に水谷さんの姿はもぅ見えない。
机の上に放り出されていた黒いケータイと、鞄からはみ出る茶色のマフラーを掴み、早足で教室を後にした。
「…よす。待った?てかここ寒ぃな。」
首にぐるぐるに巻いたマフラーに顔を埋めるようにして話しかける。
「大丈夫。…久米君、呼び出してごめんね。ちょっと…話聞いてほしくて。」
…はなし…ねぇ…
「ある女の子の話なんだけど…
…………
あるところに、高校1年生の女の子が居ました。
その女の子は高校に入学したときから…ぃや、その前からずっと好きだった 男の子が居ました。塾が同じで、難しい問題を教えてもらったそのときから、その子のことが好きでした。
高校は同じで、同じクラス。席は離れていましたが、すぐにその男の子だと わかりました。
女の子は先月、その男の子に告白されました。
凄く、凄く嬉しかったけど、女の子は相手のことが信用できず、フッてしまいました。
その男の子はほかの女の子からも好かれ、自分が相手をしてもらえるとは到底思えなかったからです。
でも、その男の子をフッてしまってから1ヶ月、女の子はずっと後悔していました。せっかく、相手も勇気を出して告白してくれたはずなのに、信用できずに……
2月14日、女の子はお昼休みに男の子にメールしました。
彼をフッてしまった、非常階段に放課後、来てほしいという内容で。」
「…水谷さん?」
「そして、彼はそこにきてくれました。女の子は、今度は自分から言ってみようかと思います。」
「久米くん、好きです、付き合ってください。」
Happy Valentine's Day
頭を下げながら差し出された、綺麗にラッピングされたそれは、
君が紡いだ物語は、何処までも優しく、俺の心に響いた。
ん。これが書きたかった。
いや、でも俺視点はいやだった。
僕がよくて何度も悩んだ。
結果「俺」。
展開が早すぎるって??
いいんだよ、風呂場での思いつきの案なんだから←
え…いないですね、ハイ。
クラスの女子14人と、お世話になってる先生(男)2人には渡しましたが、
一人称「俺」、にはあげてないです←
本当にです。