消しカスビート_人参方程式-(ん)

農業高校生、のらりくらりと日々過ごしてます。

タイトル変更の可能性有

2012-02-08 23:49:05 | 短編小説

 君が紡いだ物語

 

「もしもし、久米くん?」

2月14日、家に帰る準備をする俺にかかってきた電話は…… 

                 …君が紡いだ物語…

 

高校1年生になり、元中の奴とはだいぶ離れた。

男子はそこまでないが、女子はすぐにグループができる。その中でぽつんと、一人イヤホンをつける女。

化粧で目の周りがギタギタになっている女たちの中で、染まらない彼女はとても目立っていた。

無駄に人を寄せ付けない雰囲気。

そこに惹かれたのは、どぅしようもないこの俺。

               「一目惚れした。」

彼女に言ったらどんな反応を示すだろう。

 

6月、だんだんとジメジメした時期になり、ブレザーを脱ぐ人も増えてきた。

放課後、一人教室に残り、ノートの整理をしている彼女にそっと近づき、

「一目惚れしました。付き合ってください。」

              「ごめん。」

一言、そっと、彼女から自分だけに向けられた言葉に、胸が震えた。

 

「もしもし、久米くん?」

綺麗な声。ガヤガヤとうるさい教室に居る自分の耳には、彼女の声しか入らない。

「ぅん、そぅだよ、水谷さん。」

「あの、今、電話大丈夫?」

彼女はどこに居るのだろう。教室を見渡すが、そこに彼女の姿は見つけられない。

「大丈夫。」

「じゃぁ、ちょっと私の話、聴いててね。ある女の子の話なんだけど……

高校に入って、なかなかクラスに馴染めない一人の女の子が居ました。

内気で、友達を作るのが苦手だからです。」

………

「梅雨のある日、その女の子は、クラスの男の子に告白されました。

話したことは、2,3回、あるかないかの程度。女の子は、告白される前から、その男の子のことが気になっていました。

でも女の子は…その性格から、周りに人から噂されるのが嫌で、告白を断ってしまいました。」

「でもその後、女の子はその男のことをどんどん好きになっていました。

8ヶ月経ち、2月になった今、女の子はその時のことを後悔しています。

あの時、自分の気持ちに素直になっていれば。」

「…水谷さん…」

「2月14日、女の子は、勇気を出してその男の子に電話しました。」

「………」

 

「もしもし久米君、今日…バレンタインデーだね。

      私からのチョコ、受け取ってほしいんだけど…。」

「水谷さん、今、何処?」

「…非常階段だよ。」

「すぐ行くから。水谷さんからのチョコレート貰いに。」

 

 君が紡いだ物語は、何処までも優しく、俺の心に響いた。




これが最初に書いた、気に入ってないやつ。

なんか違うんだよ。



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