to the mountain

いつもハイボールを飲みながら書いています。ただの酔いどれ日記です。

十勝大雪(富良野岳ー旭岳) 2017年7月8日

2017年07月10日 | ハイキング

先週敗退した十勝大雪。
週末の天気がよさそうだから当初はお気楽ハイキングを予定していた。
だけど,僕もパクも今年は十勝大雪のためにお互いがんばってトレーニングをしてきた。
「できれば今年中に再チャレンジしてすっきりした気持ちで夏を満喫したい。」という気持ちは一緒だった。
そんな訳で2週続けて十勝大雪にチャレンジすることになった。

先週と同じく今週も金曜昼移動。
有給休暇ってありがたい。
パクとは旭岳の駐車場で待ち合わせてパク車をデポし,僕の車で凌雲閣前駐車場へ。
駐車場に着くとパクはすぐにテントを張って寝たが,僕は車の中でチビチビと飲酒。
パクの話だと暗くなってからすごい雷が鳴って目が覚めたらしい。
僕は酒の力で深い眠りに落ちていたのでそんなことは全く知らない。

行動開始は22時。
ストレッチをしているとパクが調子はどうかと尋ねてきた。
パク:タカよ,調子はどうだ?
僕:別に普通だけど。
パク:ならばあえて言おう。俺,調子いいぜぇー!
僕は憂鬱な気持ちになった。
これまでも何度も書いたことがあると思うけど,パクの口から「調子がいい」とか「足が満タンだ」とかいう言葉が出てくると,大抵の場合引きずり回しの刑となってクタクタにさせられる。
凡人にとってパクの調子は悪いくらいでちょうどいいのだ。
たぶんsiro氏ならこの気持ちを分かってくれるだろう。
「でもまぁいいや,どっちにしたって完走したらクタクタだ。ここまで来たらやるしかない!」
そう言い聞かせてスタートを切った。


調子がいいと言うだけあって前を歩くパクはガシガシ登る。
パクにペースを合わせるとすぐに僕の足が売切れることは分かっているから,気にせずに淡々と「そこそこのペース」で登った。
分岐から富良野岳ピークの間に先週あったはずの雪は解けてなくなっていた。
その代わりに花が増えていた。
明るい時間に歩けばきっときれいだろう。
先週とは違って,今日の富良野ピークの視界はクリア。


満月は明るいが星もそこそこ見えている。
遠くを見ると富良野や新得の街灯りも見える。
風は弱くはないが心地よい。
快適なナイトハイクだった。
上ホロピークで満月に照らされて。


十勝岳まではあっという間だった。
先週は十勝岳から少し下った辺りでガスに包まれてGPSがなければ進む方角さえ分からなかったけど,今週はガスはなし。
ボーナスステージ到来!
走って時間短縮できるぜ!!


と喜んだのもつかの間,この後,十勝岳が僕らを殺しにかかってきた。
火口から登る噴煙が風に乗って僕らの方へやってきたのだ。
息苦しいし目もショボショボする。
これには参った。
だけど歩いたって何も解決しないからジョグを続けて十勝岳の魔の手から逃げ切った。
美瑛岳が近くなってくると今週も特濃ガスだった。
風もどんどん強くなり,体を持って行かれそうになる時もあった。
先週よりも強かったっす。
もうイヤになっちゃうよ・・・。
でも美瑛富士に登り始める頃にはガスがなくなって一安心。
一時的なものでよかった。

空が明るくなってきて長かった夜にも別れを告げる。
美瑛富士から見たオプタテはガスがべっとりだったけど,見る見るうちにガスはなくなっていった。
オプタテの上には写真のような雲ができたり消えたりを繰り返していた。


夏のオプタテにはたぶん2回,いずれも望岳台から登っている。
登りがかなり辛かったと記憶していたが,今となってはたいしたことなかった。
こんな僕でも地道に成長しているようだ。
ピークは風が強いから休憩どころではない。
お馴染みのシマリスもいなかった。
そんなことにはお構いなしにポーズを決めるパク様。
「ウォーミングアップは終わった。行くぜベイビー。」って感じなのだろうか。


オプタテの下りで左膝を岩に強打した。
迂闊だった。
痛くて涙がちょちょ切れた。
昨年,腸脛靭帯を悪くしたのは右膝。
当初はこの右膝が長距離歩行に耐えられるのかとうか不安だったけど,そんな右膝よりも左膝の方がもっと不安になった。
結局,左膝は最後まで痛かったし,パクにジョグは勘弁してくれと泣きつくことにもなった。
反省。


オプタテからトムの間は歩いたことがなかった。
4月にトムからオプタテに行ったけど,これはスキーだからノーカウントということで。
この区間,特に双子池から三川台までの間の道が悪いとの評判だ。
そして実際に歩いてみると確かに悪かった(笑)
笹が道を覆っていて朝露でびちょびちょ。
笹はひどいところで背丈程度のものもあった。
とはいえ,笹の下には踏み跡があるし藪漕ぎというほどではない。
環境省とか役所で笹刈とかしてくれたらいいのに。
こんなこと言うと怒られるかもしれないけど,樽前山のコマクサなんかを駆逐するよりもこの区間の笹刈をした方がみんな喜ぶと思うんだけど・・・。


笹汁地獄から解放されたはいいが,三川台まで特段楽しいことはなかった。
ただひたすら歩くのみ。
パク風に言えば「息を吸って,水を飲んで,足を前に動かすだけ」といったところか。


三川台は天国だった。
花がたくさん咲いていて平らで,僕のイメージする「the大雪山ハイキング」って感じだった。


南沼まではあと少し。
ここまで約35km,11時間くらい歩いてきた。
腰を下ろしての休憩は3回。
でもいずれも5分程度。
そろそろガッチリ休憩したい。
そんな訳で南沼では大休憩。
キンキンに冷たい雪融水で顔を洗い,腹いっぱい水を飲んでリフレッシュした。


トムピークは大賑わいで,山頂標識と記念撮影するのに順番待ちしている状態だった。
僕らにはそんなことしてる余裕はないから,そそくさとピークを後にする。
トムまで来てようやく折り返し。
先はまだまだ長い。
目指す旭岳もまだまだ遠い。


トムを過ぎると一気に気が楽になった。
この先は何度も歩いたことがあるしガツンとした登りも僅かしかない。
しかも天気が崩れる気配すらない。


化雲の辺りは相変わらずチングルマ祭りだった。


化雲岩に登るつもりなんてなかった。
もう1度言う。
登るつもりなんて全くなかった。
でも先に登ったパクを見ていると,なぜだか登らないのはピークを獲らないのと一緒みたいな感じがしてきて結局登った(笑)


木道を歩いているとパクが「この感じだとゼブラが見れそうだね。」とか言い出した。
この野郎,白雲ピークも回収するつもりだ・・・。
一応聞いてみる。
僕:ゼブラって聞こえたけど?
パク:白雲のゼブラって人気なんでしょ?この天気なら見れそうじゃん♪
僕:いや,白雲は行かないでしょ・・・。
パク:何言ってんの。ついでなんだから寄って行こうよ。
僕:白雲小屋過ぎて分岐まで行ったら考えとくわ。
寄り道するのはよくないって子供の頃に教えられたはずだ。
たぶん全国どこの小学生も同じことを言われたはずだ。
真面目な僕は真っすぐお家に帰りたいの・・・。
一応考えておくとは答えたけど,この時点で返事なんて決まりきっている。
言われたからには行くしかない。
これで白雲に行かなければ,なんだか敗退したみたいじゃないか(笑)
結局,岩にぶつけた左膝が痛い僕は,おパク様にお願いして高根が原ジョグを免れる代わりに白雲ピークを踏むことを約束したのだった・・・。
ちなみに,化雲から五色の間にホソバウルップソウがたくさん咲いていた。
僕らは,ウルップソウは高根が原にしか咲いていないと思っていたからテンション急上昇!
でもたくさん咲きすぎていて有難味もすぐになくなっちゃった(笑)


木道歩きは快適だった。
五色岳から見る忠別の登りは絶望的に思えた。
そんなこと計画段階から分かっていたことだけど,実際に見てみるとマジか,あれ登るのかって感じだった(笑)
登ってみると風も当たらず蒸し風呂地獄だった。
恐るべし忠別・・・。


高根が原は楽勝だと高をくくっていたが,これが思いのほか苦行だった。
楽しい事なんて何もないんだもの。
高根が原は北から南に向かってトムを見ながら歩いてなんぼってことが分かった。
でもコマクサはたくさん咲いていた。
白雲小屋まではかなり遠かった。
歩いても歩いても小屋には着かなかった。


やっと小屋に到着して水場で大休憩。
冷たい水を1Lは飲んだと思う。
休んだ後はお約束どおり白雲へ。
山頂直下の雪渓を蹴り込んで登る。


白雲なんか行かなくてもいい。
そう思っていたけど,ゼブラを見てしまうと白雲に来てよかったなと思った(笑)


さて旅もいよいよ終盤。
北海岳を過ぎると,トムや十勝連峰が見えた。
どれが富良野岳か分からなかったけど,あんな遠くからよく歩いてきたなと思った。
人間の脚ってすごいなと思った。


僕らは今日の核心は旭岳への登りだと思っていた。
車の中とかで,最後の旭岳の登りってどんな気持ちで登るんだろう,きっとヘロヘロで足が上がらなくてヒーヒー言いながら登るんじゃないかとか話していた。
実際は違った。
淡々と登ってあっさりと終わった(笑)
僕は脚力が弱い。
だから今日は登りのペースを意識的に遅くした。
出力MAXではなく,6,7割に抑えてみたところ,最後の最後まで脚が売切れることはなかった。
むしろ,膝が痛いせいもあるけど,登りよりも下りの方が辛かった。
こんなことは初めてだった。
いい勉強になった。


とうとう旭岳に辿り着いた。
ロープウェイ終発時間の関係もあって山頂は貸し切りで静かだった。
天気は崩れず,相変わらずトムも十勝連峰も見えている。
特別な気持ちはなかった。
やっと帰れるとか,冷えたコーラを飲みたいとかそんなことしか思わなかったはずだ。


今日の核心は旭岳への登りではなく,旭岳からの下りだった。
膝も足裏も痛いし辛すぎ・・・。
どれにしても,旭岳の夏道を下るのは何年振りか。
そもそも1回しか下ったことがないのかもしれない。
山登りを始めた年にウメと一緒に旭岳ピストンをした以来か。
なんだか感慨深いな。


距離約70km,獲得標高5000m強,行動時間21時間30分。
終わってみれば全身ボロボロ。
膝はやばいし,足裏も痛い。
とにかく喉が渇くし,頭も回らない。
下山後は白銀荘でサクッと風呂に入って凌雲閣前駐車場で解散。
カフェインを注入していたから眠くなくて車を走らせてみたけど,札幌まで2回の仮眠をとってなんとか無事帰宅。
疲れたの一言に尽きる(笑)

僕ら,少なくても僕にとって十勝大雪は大きなチャレンジだった。
完走できたことはとてもうれしい。
でも自分一人では無理だったと思う。
パクという信頼できる仲間がいたからこそ完走できたと思っている。
感謝してます,ありがとう。
来年参戦するのはsiro氏かD君か・・・?