to the mountain

いつもハイボールを飲みながら書いています。ただの酔いどれ日記です。

ニペソツ山(デルタルンゼ滑降) 2016年1月17日

2016年01月19日 | 山スキー

ぱくさんから,1日目はオプタテをやって糠平ユースホステルに泊まり,2日目はニペソツに行こうと誘われた時,その素敵なプランに僕はシビれた。
ソッコーで,「ぜひ行こう!」と返事をしたけど,正直不安にも思った。
往復約20キロのオプタテの翌日に,往復25キロ越えのニペをやれるのか?
まぁ,行けるとこまで行って,ダメだったらぱくさん1人でピークを踏んできてもらえばいいか。
僕は,そんな感じに軽く考えていた。

25時に起床して,準備ができ次第,糠平ユースホステルを出発した。
ちなみに,僕たちが泊まった部屋の名前は「なきうさぎ」。
愛くるしい,もう1度言うけど誠に愛くるしい僕らにぴったりの名前の部屋だった(笑)
宿はきれいで暖かくてとても快適だった。

宿を出てから出発地点まで車を走らせている間,昨日のオプタテのダメージがかなり残っている自分の体で本当にニペのピークに辿り着けるのかどうかと考えると,少し憂鬱な気持ちになった。
しかも,車の温度計を見ると,外気温は-20度。
シビれる寒さだ。
ますます憂鬱な気持ちになる。

スタートは2時30分。
明るくなるまでは約4時間。
長く辛い暗闇歩行が始まった。


歩き出してみると,やっぱり足が痛かった。
オプタテのダメージは大きかった。
空が白み出す前くらいが,この日で一番辛かった。
僕は頭の中で,どこでギブアップを宣言するかということを考え出した。
ここまで来たから東壁くらいは見たいなとか,デルタルンゼの近くまで行ってみたいなとか,そんなことばかり考えていた。

でも,徐々に明るくなってくると,木々が見たこともないくらい赤く染まっている。
そして,いよいよ太陽が顔を出す。


燃えるように赤い朝日だった。
この赤い光を浴びると,徐々に体に力が戻ってくるのを感じた。
この調子だと,このままピークまで行けるんじゃないかと思えてきた。
そして,木々の間からニペソツが見えた瞬間,壁のでかさに圧倒されつつも,僕の思いは確信に変わった。
俺は絶対に行ける!
ピークまで行ってやるぜっ!!

ハーフパイプを登って行く。


デルタルンゼが近くなってきた。


ルンゼはでかいし急だ。


登りはアイゼンでって思ってたけど,予想外にスキーで登れた。


ルンゼを登り切ると,右手は切れっ切れ。


さぁ,ピークを取りに行こう。


当然,板も一緒に。


ニペソツ,取ったど~!
間抜けなポーズのパクと僕。


今シーズン,青空の下でピークを踏むのは初めてだよ


撮るもの撮ったら,即下山。
寒いからね…。


安全確保に努めています。


ニペさん,かっこいいね。


風の当たらないところで大休憩した。
ぱくさんが,持っていたロースハムを分けてくれたけど,これが絶品だった。
冬山で食うハムはうまい!
今度は僕もハムを持っていこうっと。

さて,いよいよルンゼを下る。
ぱくさんは,先に自分が下りて,滑っている僕を撮ってくれるって言ってくれたけど,お断りした。
さすがに,ここまで連れてきてもらっておいて,ルンゼを滑り降りる写真まで撮ってもらうのは気が引けるわぁ。
ってことで,先に僕が下りて,ぱくさんを撮ることにした。

僭越ながら,お先に失礼いたします。


ルンゼ滑降はマジで気持ちよかった。
最高だった。
それ以上の言葉は見つからない。

滑ってくるぱくさん。


核心を抜けて安全なところで攻守交代。
僕も撮ってもらった。


ルンゼの滑りは実に素晴らしかった。
デルタルンゼを滑れたことは,生涯忘れないだろう。


ありがとう,ニペソツ。


最近,大好きになった針葉樹。
その隙間からニペが見えた。


途中でウペペサンケ山もきれいに見えた。


シールを張り直すこと2回,鬼の激登り返しが1回。
車まではあと30分。


完全燃焼の2日間でした!
この2日間を完全燃焼と言わずして何と言う!?
まぁ,ぱくさんは全然完全燃焼じゃないみたいで,あまり疲れていなかったみたいだけど(笑)

下山後は,お初の三股山荘でビーフライスをいただいた。
お店の人からいろんな話を聞けて楽しかった。
そして,満腹でございます。


お風呂は幌加温泉で。
おもむろに鹿に近づいて手を出すぱくさん。
野生動物相手に怖くないんだろうか?
手を出すなら人間の女の子の方がいいと思うけど(笑)


今日は,ぱくさんに比べて僕は歩くスピードがかなり遅いし,体力,脚力的にも弱いから,僕のせいで行動時間が12時間弱にもなってしまった。
足を引っ張ってしまって申し訳ないと思う。
この土日は,ほぼ自分の体力の限界にチャレンジしているようなものだった。
体力的にかなり厳しかった。
この記事を読んでくれた人に勘違いされては困るから,これだけはきちんと書いておくけど,僕は自分の力で,厳冬期ニペソツのピークを踏んだ訳でも,デルタルンゼを滑れたりした訳でもない。
全てはぱくさんがいたからできたことだ。
これはもはやガイド登山に近いかもしれない。
自分1人では無理だっただろう。
ぱくさんには,本当に感謝している。
でも,いつかは自分の力で厳冬期ニペソツのピークを踏めるようになりたいと思う。

山スキーは,夏の沢登とか尾根歩きに比べると数倍疲れる。
でも,晴れた日の冬山は,疲れた分の何倍ものきれいな景色を見せてくれたり,楽しい滑りをさせてくれる。
冬山は本当に素晴らしい。
僕もいつかは,そんな冬山と対等に向き合える「山屋」になりたい,心の底からそう思っている。