「ぼくら党」のブログ

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原油高騰からイラク戦争の開戦理由

2006-04-12 23:41:33 | イラク・中東問題

■「10日の商品先物の原油、金相場は、米政府が対イラン軍事攻撃の計画立案に入ったとする米紙ワシントン・ポストの報道を受けて急上昇した。」という記事を読む。この記事を読んだ時に、心によぎったことは、イラク戦争の開戦理由である。

■イラク戦争の開戦理由が、大量破壊兵器の廃棄であるとはとても思えない。もしアメリカが本当にイラクに大量破壊兵器が存在すると考えて、先制攻撃したのであるならば、情報処理能力が劣っているとしか言いようがない。

■彼らはCIAやNSA(国家安全保証局)を使い、世界的盗聴・解読ネットワークを構成している。NSAと他の数国によって形成されたエシュロンによって情報がもれている可能性があることから、EUでは調査までされた。日本にもこのような、盗聴組織が三沢基地に存在しており、エシュウロンの拠点の一つとなっている。当然、日本の情報も筒抜けとなっている恐れがある。(皮肉にも、この組織は思いやり予算によって維持されている)

■これほどまでに世界各国に渡る大規模な情報収集能力がありながら、イラクに大量破壊兵器がないということを知らなかったとするのは、無理があるだろう。開戦理由は別にあると考えるのが自然であると思う。

■私が見た中では、イラク戦争の真の開戦理由は、石油利権の獲得や、中東における覇権の確立が主流ではあるが、中には、イラクがフランスとの石油取引をユーロ建てで行おうとしたことが開戦理由であるという説や予防消化論(これは、極端すぎるが)まであった。私としては、石油利権の獲得がイラク戦争の真の目的であると思っている。

■ しかし、アメリカはイラクを占領して、石油利権を獲得することができたが、肝心な石油生産は進んでいないようだ。原因はイラク国内の不安定さから、石油生産にかかわる企業が倦厭しているからだそうだ。実際にはイラクにおける石油生産は、それほど伸びていないらしい。

■このことから疑問に思うことは、理不尽な戦争をしてまで獲得した割には、石油利権に対して、全くこだわっているように見えないということだ。こうなると、石油利権の獲得が開戦理由であるという説では説明がつかなくなってくる。

■ここで出てくるのが「イラクの石油利権を囲い込むことによって、石油生産を抑制させるために戦争をした」という説である。この説は、石油を生産するのではなく、石油生産量を減少させることによって、石油の価格を釣り上げる効果を狙うものだ。 この説からいけば、たしかにアメリカが石油生産にこだわっていないということにも納得がいく。石油生産抑制説が正しいとするならば、中東が不安定な状態であればあるほど、むしろ石油など掘らずとも、石油産業は莫大な利益を得ることになるだろう。

■石油の価格を上げることが狙いであるとしたなら、イランに対して攻撃を加えるという、偽情報(本当であったとしても、あえて情報を漏らす)を流すことによって、原油価格の引き上げを狙っていたということだろうか。これは相当大規模な「風説の流布」ということになる。

■この手口の悪質なところは、表向きは、ごく自然に、自国の外交を展開することによって目的が成し遂げられるところだ。ただ、イランに対して強硬姿勢をとりさえすれば目的が達成できる。(このことはイランにもいえる。) 極端に言えば、戦争をしても一向にかまわない。むしろ不安な状態が増大するので好もしいことになる。

■実際のところ、イラクに対する攻撃は、一つの動機で行なわれたのではなく、複合的な要素が絡み合ったなかで、行われたと考えられるが、その複合的な要素の中身は、自国の利益というより、ごく少数の集団や団体のための利益であるように見える。そのなかには、権力者自身の利益が含まれているだろうことは想像に難くない。

■この構図のなかで、唯一、損をしているのが民衆である。人々が死んだり、苦しんだりすればするほど、それを進めている政治家や、一部の企業が利益を上げている。このような企業や権力者からみれば、民衆とは、「焚き火(利益拡大)にくべる薪」程度の存在価値しかないのだろう。焼かれる側の苦しみなど、巨大な利益の前では、なんら価値をもたない。

■この現実を、死んでいった両国の兵士や、犠牲になったイラクの国民はどう思うだろうか。「主人たるべき国民を犠牲にして、私腹を肥やす権力者とは、いかなる存在であろうか」と嘆いてみたくもなる。しかし、 そのような指導者を熱狂的に支持していたのは、皮肉なことに国民自身である。





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- 以下引用記事 -
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060411i303.htm
【ニューヨーク=小山守生】10日のニューヨーク商業取引所の商品先物の原油、金相場は、米政府が対イラン軍事攻撃の計画立案に入ったとする米紙ワシントン・ポストの報道を受けて急上昇した。  原油価格の指標となるテキサス産軽質油(WTI)5月渡しの終値は前週末比1・35ドル高の1バレル=68・74ドルと、終値としては昨年9月1日以来約7か月ぶりの高値となった。

その後の時間外取引では一時、1バレル=69ドルちょうどまで上昇した。  金相場も取引の中心となる6月渡しの終値が前週末比9・10ドル高の1トロイ・オンス(約31グラム)=601・80ドルをつけ、1981年1月以来、約25年ぶりに終値ベースで600ドルを超えた。 (2006年4月11日13時51分 読売新聞)

暗いニュースリンクより引用
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2006/03/post_2747.html#more
たしかに任務は完了したのだ  −ブッシュはイラクで失敗してないよ、愚か者
by グレッグ・パラスト:
「あれは石油のためですよ」ロバート・エベルは言う。エベルって誰だ?元CIA資源アナリストのエベル氏は、イラク侵攻の約1ヶ月前に、イラク石油産業を『開放する』計画に決着をつけるために、ロンドンで行われていたサダムの元石油相との懇談会に、ペンタゴンの命令で出席していた。ロンドンで、ブッシュの特使エベル氏は、『イラク自由作戦』終了後の新石油相としてペンタゴンが指名したイブラヒム・バフル・アル・ウルム氏に、イラクの原油処理手法について指導までしていた。

アメリカ合衆国はイラク政府に対して、石油をどうして欲しかったのか?その答えは皆さんをおおいに驚かせるだろう。それは、陰謀好きのブロガー達が想像するよりもはるかに醜く、ヒネリの効いた、悪魔的でずるいやり方なのだ。答えは、イラク石油相のために米国務省によって準備された323ページに及ぶ書類の中に書かれていた。我々の調査チームは、そのコピーを入手している。どうやって入手したのかは問題ではない。重要なのは、この分厚いブッシュ命令書に書かれている内容だ。これは『OPECとの関係を強化する』石油企業を維持するための指導書なのである。

OPECとの関係強化???奇妙なことだ:むかつくような高い価格設定でアメリカ国民を窒息させているOPECのオイルカルテルを、合衆国政府がイラク政府に支持するよう命令しているとは。

具体的には、ブッシュ一味が設定したシステムでは、イラクで産出される石油の生産には上限が設けられている・・・サウジアラビアとOPECカルテルが設定した割当量きっちりに石油生産が制限されているのだ。

もうおわかりだろう。そう、ブッシュは石油のために侵攻した。イラクの石油をもっとたくさん入手するためではなく、石油生産が過剰になるのを防ぐためである。

ジョージの牧場やディックの金庫の費用を払っているのが誰か覚えて欲しい。大手石油企業である。そうした石油企業、さらに連中の金庫番であるサウジ王家は、より多くの石油生産で儲けるのではなく、より少ない生産量で儲けているのである。供給が減るほど、価格は高くできる。

いわば第101経済部隊だ。石油産業はOPECというカルテルに支配されている。経済学者はそれを『寡占』と呼ぶ。一握りの業者が、石油不足で稼ぐ仕組みだ。従って、バスラで『武装勢力』がパイプラインを爆破したり、テヘランの怒れる指導者が石油供給を停止すると脅したりする度に、石油価格は跳ね上がる。ディックもジョージも、それが嬉しくたまらない。

ディックもジョージも、イラクの石油はこれ以上欲しくない。足りないくらいがいいのだ。皆さんの多くは、私が何を書いても、我が国の大統領・副大統領はアメリカ人家庭の車庫にあるハマー(4輪駆動レジャー車)に安いガソリンが入れられるように、もっと多くの原油を探している最中だと言うだろう。だって、この石油まみれの二人組みは、1ガロンあたり3ドルに跳ね上がったガソリン価格を懸念しているじゃないか、というわけだ。

そうじゃないんだよ。暢気な皆さん。合衆国内で1ガロン3ドルとなれば(英国では1リットル1ポンド)石油産業にとてつもない利益が転がり込んで、ディック(副大統領)の心臓は嬉しさのあまりドキドキだ。『イラク自由作戦』開始以前の2002年当時、油に浸かった5大石油企業の総利益額は340億ドル(約3兆9,941億5,000万円)であった。それが2005年度には1,130億ドル(約13兆2,746億7,500万円) という利益を叩き出した。すなわち、大手石油企業には良い戦争だったのだ。

ブッシュの計画に沿って、バフル・アル・ウルム氏はイラク占領当局の石油相に任命された。占領されたイラクは「OPECとの関係を強化し」、安穏なクリントンの時代に比較して、ブッシュの戦時下では石油価格は317%上昇した。

言い換えると、侵攻3周年記念を迎えて我々に言えるのは、攻撃と占領は、まさしく『任務完了』だったのだ。しかしながら、それはアメリカのための任務ではなく、ましてやイラクのためのものでもなかった。OPECと大手石油企業のための『任務は完了』なのである。


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7 コメント

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Unknown (通りすがりの者)
2006-04-13 19:39:55
米石油企業は悪者ですか・・・。とりあえず当の社員はみな悪い冗談としか思わないだろうと言っておきます。

高すぎる原油価格は景気後退や代替資源への振り替えをもたらしかねないので、石油企業の持続的発展にとって必ずしもいいことではありません。近年の高収益の要因は、基本的に絶えざる企業努力と偶然の産物かと思います。
返信する
(^^)コメントありがとうございます。 (管理人)
2006-04-14 08:41:30
んー確かに。イラク開戦の理由はいろいろ語られていますが、どの説も一長一短でどうもしっくりこないんですよねー。



私もすべて石油企業の陰謀であるとは言いません。(そもそも、私の力では予想しかできない)しかし、短期的には莫大な利益を上げたのは事実ですし、代替エネルギーと言っても、そう簡単に普及するとは思えませんから、「短期的な不安の醸成」であるなら、この説も多々ある説の一つとして成り立つような気がします。(数十年不安が続けば、通りさんの言うような弊害がでてくると思います。)



誤解してもらいたくないのは、あくまでも成り立つのではないかというものであって、「絶対正しい!!お前は間違ってる」というつもりは毛頭ありません。



それと一番言いたかったことは、ブッシュ大統領やその側近が、戦争したら「献金が増える」「株が上がる」とか「石油企業が喜ぶんじゃないか」と考えていた可能性が高く、表で語っている理由よりも、本心はそっちにあるんじゃないか。ということです。



それと、話は変わりますが、通りすがりさんは、イラク戦争の真の開戦理由はなんだと思いますか?



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Unknown (通りすがりの者)
2006-04-14 19:36:12
>代替エネルギーと言っても、そう簡単に普及するとは思えませんから

昨今バイオエタノールの需要が世界的に拡大しつつあります。米政府も国策として普及に乗り出したようです。

>短期的には莫大な利益を上げたのは事実

念のため申しますと、ここ数年の米石油企業の大幅増益の背景にある原油高の要因はイラク戦争だけではありません。長年、中東の地政学的リスクが原油価格を底上げしていることは事実ですが、イラク侵攻後の3年間で原油価格が倍以上になったのは中国の需要拡大、原油先物へのリスクマネーの流入などといった要因の影響が大きく、こちらのほうがずっと石油企業の増益に寄与しているはずです。



「原油価格の吊り上げのためのイラク戦争開戦」が考えにくいと思う理由をもう少しだけ。

素朴な疑問なのですが、政府や石油企業の首脳ともなれば陰謀で利権を追求せずとも十分すぎるぐらい金持ちだろうと思ったりします。何かの理由で多額の資金が必要な場合も合法的に資金集めが可能。それと、原油価格の吊り上げが目的なら政府と石油企業が結託した上で情報操作や需給調整する等、実際に戦争を起こすよりも不確定要因の少ないやり方ができるかと思います(もちろん、できると言っても仮定の話です。米石油企業の長期成長重視の経営方針と徹底したコンプライアンスへのこだわりを知る者としては、実際には極めて考えにくいです)。



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イラク戦争の開戦理由・・・「大量破壊兵器の破棄」、「イラク民主化」、「対テロ戦争の一貫」といった大義名分は一応それなりに本気だった気がします。もちろん正当性や戦略性に問題があったわけですが、それにもかかわらず開戦を強行した背景には理屈以前に9・11テロによる恐怖や怒りといった感情の行き場を求めた側面があったのかな、と。アフガニスタンでの軍事行動だけではどうにも不十分だったのかもしれません。
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(^^)なるほどー (管理人)
2006-04-15 03:04:27
>昨今バイオエタノールの需要が世界的に拡大しつつあります。米政府も国策として普及に乗り出したようです。



バイオエタノールですか。初めて聞きました。調べてみます。



>念のため申しますと、ここ数年の米石油企業の大幅増益の背景にある原油高の要因はイラク戦争だけではありません。~(もちろん、できると言っても仮定の話です。米石油企業の長期成長重視の経営方針と徹底したコンプライアンスへのこだわりを知る者としては、実際には極めて考えにくいです)。



なるほど。確かに説得力があります。一つ勉強になりました。そうなると、石油産業よりも、兵器産業でしょうか。ここは見ている人に、この抑制説のリンク先を見ていただいて、判断してもらいましょう。しかし、いろいろな説がぐるぐる回って、きりが無いですね。



>素朴な疑問なのですが、政府や石油企業の首脳ともなれば陰謀で利権を追求せずとも十分すぎるぐらい金持ちだろうと思ったりします。



ここが不思議なところですね。私には理解できないのですが、企業や組織を率いるようなタイプの人は金と言うよりも、組織や影響力を拡大することに異常に執着しているように見えます。組織を維持するための本能のようなものでしょうか。(これは一般論として述べているので、石油企業がそうだから戦争をさせたと言っているわけではありません。イラク開戦動機とは切り離してお考えください。)





>理屈以前に9・11テロによる恐怖や怒りといった感情の行き場を求めた側面があったのかな、と



狙いとしては



テロに対する報復感情→関係ないイラク攻撃→とりあえず報復感情を満足させる→大統領の支持率アップ



こんな感じでしょうか。



私は、このような国民感情を利用して、何かたくらんだんじゃないかと思ってるんですが、その何かがよく解らない。二三冊本でも読んで考えてみます。



すがりさん。有意義な意見ありがとうございました。



※一度コメントしたものを、再度補強しました。

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Unknown (Unknown)
2006-04-16 00:01:25
>ここは見ている人に、この抑制説のリンク先を見ていただいて、判断してもらいましょう。

米石油企業の関係者としてはこのコメントは微妙にひっかかるんですが・・・。私のモヤモヤをご理解いただきたいので、以下に「悪魔の証明」の解説(ウィキペディアより)を貼りますね。

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「あることの証明」は、特定の「あること」を一例でも提示すれば済む。しかし、全称命題を対象にする「ないことの証明」は、全ての存在・可能性について「ないこと」を示さねばならない。すなわち、「ないことの証明」は「あることの証明」に比べ、困難である場合が多い(検証と反証の非対称性)。



このため、議論においては、「ある」と主張する側が、「ある」を証明すべきであると言われることがあり、このようなルールにも、一定の合理性があると言える。もちろん、現実の論争の場で、これは絶対的なルールではない。何故なら状況証拠を収集して、推論を導き出す事は有効であると社会的に認められているからである。



科学における証明は「ある」と主張する肯定側が負うべきとされている。したがって、「ある」が証明されなければ「ない」と見なされる。証明抜きで無限に発せられる荒唐無稽な主張に対して、否定する側が全ての可能性を反証しなければならないというのは不合理だからである。ただし、「ある」と主張する側が適切な理由を提示できる場合は、「可能性が極めて低いが完全には否定できない」「存在の可能性を考慮しても良い」などとされる場合もある。
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Unknown (通りすがりの者)
2006-04-16 00:09:03
あ、すみません。↑は私です
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他意はありません。 (管理人)
2006-04-16 01:13:51
別に他意はありません。ここで引用しているのは全てではありませんから、見ている人に引用元を見ていただいて比較してもらおうということです。この説を唱えるジャーナリストが、ソースをいろいろ提示しているので、それを見た上で、ジャッジしてもらった方が、この説を唱えているジャーナリストに対して公平ではないかと思うからです。



もし、それを見て反論があるのでしたら、その説を唱えているジャーナリストかリンク先の管理人に、直接聞いたほうがいいと思います。私では手に負えません。



私としては、すがりさんの意見を見て思ったのが、「この(石油囲込説)説も一長一短か」というもので、「どの説が正しいのか、よくわからん」ということです。もし、私の文書で気分を害されたのなら、申し訳ありませんでした。
返信する