hitorigoto日記エッセイコラム

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忘れられた人

2024-09-15 04:41:40 | 日記

        名誉市民の女性会長も高齢になった。

     紬の仕入れをしてる祖父の横に座っている。

     挨拶する客に上品にお辞儀を返す会長の日常。

     その会長にも認知症の噂がたった、或る日の事

     ひとりの婦人客が会長に挨拶をしなかった。

     挨拶を返すのが無情の喜びである会長が言った。

    「私を忘れたのですか?」さめざめと泣きながら

    「どうか、私を忘れないで下さい」と

     隣にいた祖父は客を帰し、二度とその客から

     紬を買わなかった、と言う。父から聞いた話。

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