現在の俺は人間に生まれて特殊な仕事をしているが・・
魚だった俺の最後は、なんとお粗末、無様だったのだろうか・・・
南の島の美しく澄みきった海を優雅に泳いでいた。
陽の光はキラキラと波に揺れ、パラダイスだった、あの夏。
無数の光りの中に美しく艶やかな魚が飛び込んできた。
こんな魚は未だ見た事が無い。呆気にとられ我を忘れた。
いつの間にか、いつの間にかなのだ。俺は追いかけた。
どこから来たのだろうか、考える度に謎が謎を呼ぶ。
この魔法のように美しい魚を食べたら、どうなるのだろうか・・
目の前を華麗に泳ぐ美しさに、誘惑と本能は戦い続けた。
その美しさが光りの中に消えようとした瞬間、俺は食いついた!
眩しい光の中を跳ね、宙を舞い、踊り狂い、そして、気を失った!
気が付いたら、人間が目の前で笑っている。何が起こったのだ?
あの美しい魚は何処へ行ったのだ?
俺の間抜け面した口から取り出し、人間が手に持っていたのは、
なんと魚に似せた、美しく艶やかな疑似餌だったのである。
この悔しさが分かるだろうか・・そんなアホな!
俺の人生、いや俺の魚生の最後が・・こんな間抜けな形で・・
長くなるので、この辺で。。暑い!