真実を求めて Go Go

今まで、宇宙についての話題を中心に展開してきましたが、今後は科学全般及び精神世界や歴史についても書き込んでいきます。

ひもに隠れた「カラビ=ヤウ多様体」とは? その2

2013年02月24日 | 素粒子

前回は「カラビ-ヤウ多様体」の成り立ちでしたが、今回は1984年の「第1次ストリング革命」までを書きます。

第1次ストリング革命:wikipediaより
***
1984年、グリーンとシュワルツによって、10次元の超重力理論および超弦理論でアノマリーのない理論が存在することが示されると、超弦理論は脚光を浴びるようになった。
特にE8×E8のゲージ場を含むヘテロティック超弦理論において、理論の定義される10次元のうち余分な6次元をカラビ-ヤウ多様体でコンパクト化した理論は、低エネルギーでの超対称性を持つ理論が導かれ、重力を含む統一理論の候補として盛んに研究された。
しかし、余分な6次元がコンパクト化されるメカニズムが不明であること、コンパクト化として可能な多様体の種類が無数にあり、その中から1つを選び出すことが摂動論の範囲では不可能であることなどの困難が存在した。
***


 ひも理論に超対称性は必要ないかもしれないが、ひも理論は超対称性を取り込むことで間違いなく恩恵をこうむる。
そして超対称性は、物理学者をまさにカラビ=ヤウの玄関口へと導いてくれた。
カラビ=ヤウ多様体を手にしたストロミンガーとカンデラスは、次のステップとして、それが本当に、私たちの見ている物理を担う正しい多様体であるかどうかを確かめたいと思った。
一九八四年にその研究計画を携えてサンタバーバラ校にやって来た二人はホロヴイッツと親しくなった。
ストロミンガーとカンデラスが取り組んでいる問題――ひも理論の内部空間の数学的必要条件を見極めること――を知ったホロヴイツツも、その必要条件がカラビ=ヤウの必要条件に合致すると理解した。

 まもなくしてストロミンガ-が、プリンストンに戻っていたウィッテンを訪ね、それまでわかったことを詳しく説明した。
実はウィッテンも独自にほぼ同じ理解にたどり着いていたが、そこへ至るルートは違っていた。
カンデラスとストロミンガーは、ひも理論において10次元が存在し、それが何らかの六次元多様体にコンパクト化していなければならないという考え方からスタートした。
そして、どのような種類の六次元空間が、いくつかの必要条件の中でもとくに、正しい種類の超対称性をもたらすという条件を満たすのかを明らかにしようとした。

 一方、ウィッテンがこの間題にたどり着く出発点となったのは、閉じたひもが時空を伝わりながら、リーマン面と呼ばれる複素一次元あるいは実二次元曲面をつくっていくというイメージだった。
共形場の理論と呼ばれる二次元版の量子論に基づいており、背景時空に関する仮定が少なく、共同研究者たちの計算とはまったく違っていた。
それでも二人とも同じ結論、つまり、内部空間の幾何はカラビ=ヤウでなければならないという結論に達した(それ以外の多様体ではうまくいかない)。
ストロミンガーとカンデラスそれにウィッテン、ホロヴイッツの四人は一九八四年に研究を完成させ、正式な論文が翌年に出された。
その論文によって、「カラビ=ヤウ空間」という用語がつくられ、その奇妙な六次元領域が物理学の世界に紹介された。


図1:カラビ=ヤウ多様体の2次元「断面」のコンピュータグラフィック

 一九八五年の論文が発表される以前、カラビは「この研究に物理学的意味は何もないと予想していた。純粋に幾何学の研究だった」という。
しかしこの論文がそれを一変させ、この数学的構造物を理論物理学の舞台の中心へと押し出した。
この種の多様体は言葉で説明するのも難しいし、目に見えるようにするのはさらに難しいが、それを考えると、このような難解な概念にしては驚くようなブームだった。
ある物理学者は、六次元空間は「私が難なく思い浮かべられるより三つも次元が多い」と言っている。
その空間に多次元のよじれた穴が開いているとさらに複雑になり、穴は少数であることもあれば、高級なスイスチーズのように500個に達することもある。
カラビ=ヤウ空間の特徴としておそらくもっとも単純なのは、コンパクトだという点だろう。
カラビ=ヤウ多様体は、あらゆる方向に無限に広がる紙でなく、折りたたんでくしゃくしゃに丸めた紙に似ているが、その丸め方は綿密でなければならない。
コンパクトな空間は無限に長い領域や無限に広い領域を含んでおらず、十分に大きな箱を用意すれば必ずその中に入れられる。

そのような空間の表面に立って同じ方向に歩きつづければ、出発点に戻ってこられるかもしれない。
正確な場所には戻ってこられないとしても、どんなに歩こうが決して出発点から無限に離れることはない。
カラビ=ヤウ空間をコンパクトだと呼ぶのは、決して大げさではない。
そのような多様体の正確な大きさはまだわかっていないが、とてつもなく小さく、直径は10の-30乗センチメートルのオーダーだと考えられている。
私たちのような四次元世界の住人にはその六次元領域を見ることは決してできないが、それはつねに存在しており、私たちの空間のあらゆる点にくっついている。
私たちがあまりに大きすぎるため、その中に入って見回すことはできないのだ。

私たちがカラビ=ヤウ空間に一瞬入り込んでも同じように打ち消し合い、四次元領域でたどるもっと長い軌跡に比べれば無視できるようになるのだ。
別の考え方として、私たちは端のない空間に住んでいる。
私たちに手の届く範囲は、たとえそのごく一部しか訪れられないとしても広大だ。
ところが、その大きく広い世界のどこへ行っても、必ずすぐそばに、決して立ち入れない小さな見えない領域が存在している。
ここで、x方向が私たちの無限の四次元空間を表し、y方向が内部カラビ=ヤウ空間を表すという、変わったx-y軸を想像してほしい。
x-y軸上のすべての点に、隠れた六次元の領域が存在している。
逆に、x軸上のすべての点には、やはりさらなる四次元空間、つまり私たちが歩き回れる方向が存在していることになる。

 もっとも驚かされることの一つは、この宇宙のうち内部に秘められた隠された部分 ―― 決して見たり触れたり喚いだり感じたりできない場所 ―― が、私たちが経験する物理に対して、レンガや石、車や宇宙船、および無数の銀河からなる有形の世界よりも深い影響を与えうるということだ。
少なくともひも理論研究者はそのように主張している。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校の物理学者ジョー・ポルチンスキーは、次のように説明している。
「私たちが自然界で測定するすべての数、つまりクォークや電子の質量など基本的だと考えられているものはすべて、カラビ=ヤウの幾何から導かれる。
その形がわかれば、原理的にはすべて知ることができる」。
ブライアン・グリーンは、「宇宙の暗号はカラビ=ヤウの幾何のなかに書かれているのだろう」と言う。



図2:ひも理論が正しければ,4次元時空のすべての点に,隠れた(6次元)カラビ=ヤウ多様体が存在してしいる


ひもに隠れた「カラビ=ヤウ多様体」とは?

2013年02月22日 | 素粒子

 数学者の考え出した、「美しい数学的な解」=「カラビ=ヤウ多様体」は現代物理学者にとって、なぜ必要であったのだろうか。
今回は、この「カラビ=ヤウ多様体」が物理学者にとって便利な数学的道具であったということを書きます。
内容が難解なため、岩波書店より出版されている、「見えざる宇宙のかたち(ひも理論に秘められた次元の幾何学)」より、抜粋します。
今回だけでの記述では、到底この書籍の概要を説明することが不可能なので、数回に分けて記述します。

 カラビ=ヤウ多様体は、制限のきついSU(n)ホロノミー群、すなわち複素n次元の特殊ユニタリ群に属する。
また、最先端物理学のひも理論(超ひも理論)においては一番興味がもたれている。
そして、このカラビ=ヤウ多様体は、三つの複素次元をもっており、SU(3)ホロノミー群に属する。
カラビ=ヤウ多様体は球面よりはるかに複雑で、ベクトルを同じ方向へ向けながら曲面上を進んでいくところは同じだが、SU(3)のホロノミーは先ほどのベクトル回転の例よりはるかに込み入っている。
 
 さらに、カラビ=ヤウ多様体は(球面と違い)大域的対称性をもっていないため、多様体を回転させても変化しないような軸は存在しない。
しかし前に述べたように、もっと限定された種類の対称性はもっており、それはホロノミーと超対称性の両方に関係している。
超対称性をもつ多様体は、「共形定量スピノル」と呼ばれるものをもっていなければならない。
スピノルとは、説明するのは難しいが、接ベクトルに似ている。
ケーラー多様体上では、任意の閉ループに沿った平行移動について不変であるスピノルが一つ存在する。
カラビ=ヤウ多様体、およびそれが属するSU(3)群では、多様体上の任意の閉ループにおける平行移動について不変であるスピノルがもう一つ存在する。

 それらのスピノルが存在することにより、カラビ=ヤウ多様体の超対称性が保証される。
そこでストロミンガーとカンデラスは、その適切な種類の超対称性が必要であるという理由により、はじめからSU(3)ホロノミーに着目した。
このSU(3)というホロノミー群は、消滅する第一チヤーン類とゼロのリッチ曲率をもつコンパクトなケーラー多様体に関連づけられる。
要するに、SU(3)ホロノミーはカラビ=ヤウ多様体を意味する。

言い換えると、アインシュタイン方程式と超対称性の方程式を満たしたいなら - そして余剰次元を隠したまま観測可能な世界の超対称性を保ちたいなら - カラビ=ヤウ多様体が唯一の解である。

 物理学者の、ストロミンガーは次のように説明している。
「当時はあまり数学を知らなかったが、多様体を特徴づけるホロノミー群を通じてカラビ=ヤウ多様体との関係性を築いた。図書館でヤウの論文を見つけ、あまり理解できなかったけれど、わずかに理解した内容から、カラビ=ヤウ多様体はまさに望みどおりのものだとわかった」。
そうして、八年間待った末にようやく、物理学がカラビ=ヤウ多様体を発見したことを知った。

 プリンストン大学の物理学者フアン・マルダセナは
「超対称性は、計算を簡単にしてくれるだけでなく、計算を可能にしてくれる。なぜか? 坂をふらついて転がるフットボールの複雑な運動よりも、転がり落ちる球の運動の方が記述しやすいからだ」。
どんな種類の問題でも、対称性が存在すると解くのが簡単になる。

超対称性も、内部に閉じ込められた六つの次元がとりうる幾何学的形状に制約条件を課すことで、変数の数を減らし、解きたい問題の大半を単純化してくれる。
そうした単純化への要求が「あなたにカラビ=ヤウ多様体を与えるのだ」。
もちろん、計算を簡単にしてくれるというだけの理由で、この宇宙に超対称性が存在すると主張することはできない。
超対称性理論の利点の一つは、一般相対論の基底状態である真空を自動的に安定化し、私たちの宇宙がどんどん低エネルギーの深みに落ちていくのを防いでくれることだ。

 しかし、ほとんどの物理学者が超対称性に興味をもっている理由は他にあり、それがこの概念のそもそもの由来である。
物理学者にとってその考え方の最も重要な特徴は、「フェルミオン」と呼ばれる、クォークや電子など物質を構成する素粒子と、「ボゾン」と呼ばれる、光子やグルーオンなど力を媒介する粒子とを結びつける対称性にある。
超対称性は、力と物質、そしてこれら二種類の粒子のあいだに親戚関係、つまりある種の数学的等価性を築く。
超対称性によれば、フェルミオンごとに「スーパーパートナー」と呼ばれるボゾンの相棒が存在し、ボゾンごとにもフェルミオンのスーパーパートナーが存在する。
それによってこの理論は、既知の相棒より重く、「スピン」が相棒と整数の半分だけ異なる新たな種類の粒子 - スクォーク、セレクトロン、フォティーノ、グルイーノといったおかしな名前で呼ばれている ー の存在を予測する。
それらのスーパーパートナーはまだ見つかっていないが、研究者はこの瞬間にも、世界最高エネルギーの粒子加速器のなかで探しつづけている。

 物理学者が「低エネルギー」と特徴づける、私たちが住んでいるこの世界は、明らかに超対称的ではない。
現在の考え方によれば、超対称性はもっと高エネルギーにおいて現れ、その領域では粒子とスーパーパートナーはまったく同じに見える。
しかし、あるエネルギースケール以下では超対称性が「破れ」、私たちが住んでいるのは、粒子とスーパーパートナーが質量などの性質において異なる、破れた超対称性の領域だ(破れた対称性は完全には消えず、隠されるにすぎない)。


「余剰次元」とは?

2013年02月16日 | 宇宙

 我々にとって現時点での全世界である三次元宇宙は、未発見の高次元宇宙に浮かぶ三次元の一物体にすぎないのかもしれないのである。
我々は、素粒子に働く力の法則を追い求めるうちに、そんな思わぬ世界観を構築しつつある。
現代の研究者は、三次元空間に拘束されながらも、高次元空間から届く何らかの信号をとらえることで、その空間自身の存在を明らかにすべく頑張っている。
 我々の宇宙をも丸ごと取り込んでしまう、高次元宇宙とはいったいどんな姿をしているのだろうか? 
驚くべきことに、三次元に加えて新たに存在が考えられている「余剰次元」にそった方向には、宇宙の大きさは0.1ミリメートル程度であろうという理論が1998年に発表され、世界中の物理学者がひっくり返った。

 書き出しから難解な表現になっていて、結果、宇宙の大きさは0.1ミリメートル程度しかない。
しかも、「余剰次元」などという意味不明の単語が登場し、それが高次元宇宙であり、糸のような宇宙だという。
最初の、この文章を理解するには、どうすればいいのだろうか?

ココで、Wikipediaから「余剰次元」を調べてみると
***
 余剰次元(よじょうじげん)とは、4次元よりも高次(5次元以上)の時空を表す理論物理学の概念である。
いくつかの理論物理学の理論では、空間の余剰次元を何らかの理由で導入している。
カルツァ=クライン理論では、重力と基本的な力(当初は電磁気力のみ)を説明するために、余剰次元を導入する。
大きな余剰次元およびランドール=サンドラム模型は、重力が他の基本的な力に比べて非常に弱い理由を説明することを試みている。
これは、ブレーンワールドの特徴でもある。
超弦理論における余剰次元は、理論の数学的整合性を保つために必須であり、カラビ-ヤウ多様体の形状を持つと仮定されることが多い。
***

 ますます、何のことやら理解できない。
しかし、三次元を一次元と見なして、この一次元にカラビ=ヤウ多様体を入れ込んでしまえば良いということだろう。
この様に考えて、数学遊びをしてみることにする。

 ちょっと数遊び

 幅を実3次元として奥行に反転させた時に、3次元は非常に細い円筒形をした直線の1次元空間になっているとします。
この円筒形を垂直に切断すると円形になるのですが、その円の内部に6次元からなる「カラビ=ヤウ多様体」が余剰次元として万遍なく均一に張り巡らさせています。
そして、幅が奥行に反転されるときに、ictが次元として働くために、「3(実次元)+6(虚次元)+1(時間次元)=10次元」の超弦理論が考えられているのでしょう。
しかし、M理論になると超重力理論を取り入れて超弦理論と統一したために、3(実次元)に替えて時間を取り込んだ4次元(時空)として扱かったようです。
そのために、+1(次元)の意味が不明のまま、付け加えられているのではないかとおもわれます。

 ここで、「余剰次元」としての「カラビ・ヤウ多様体」についてですが、最初は複素3次元として導入しようとしたのですが、数学的には、1複素数に対して複素共役を考慮する必要があるために2倍して、仕方なく6次元にした結果、超弦理論と非常に相性が良く、しかも6次元以外は相性が良くないようです。

 ここからが、推論(あそび)となるのですが、複素数に対してだけは+iと-iの対にしなくてはならなかったのでしょうか。
本当は、実数も鏡像関係のように+と-を考慮に入れて6次元とする必要があったはずです。
当然、光速もタキオンを考えて2次元にしてみます。

我々の住んでいる世界を「コチラ側」とすると、鏡像関係の世界は「アチラ側」になります。
そして、「コチラ側」と「アチラ側」の両方とも、反転させるために複素共役(余剰次元)を考慮に入れて、7か14の数字を作り出して次のような次元数にしました。

「コチラ側」の次元:(3+3+1)×2=14
「アチラ側」の次元:(3+3+1)×2=14

合計で、14+14=28になっているのも楽しいですね。

 これは、まずいことになってしまった。
超弦理論やM理論でも10次元や11次元なのに、数遊びでは28次元にもなってしまった!


ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く?

2013年02月11日 | 素粒子

 大栗博司博士著:「強い力と弱い力(ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く)」

 この本は、前著:「重力とは何か(アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る)」の続編として、幻冬舎新書から発行されました。
「強い力と弱い力」を先に読み、その後に「重力とは何か」を読むと解るのですが、現代物理学の最先端にである「標準理論」と「超弦理論」についての解説書になっています。しかも、どちらの理論も難解な理論なのですが、大栗博士は、少しでも現代物理学に興味を持っている一般の人々にも理解できるような表現で、非常にわかりやすく解説されておられます。

 ここでは、「強い力と弱い力」の副題になっております、「ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く」について書いてみたいと思っています。
しかし、副題になっているだけに内容的には、この本の中でも難関な場所ですので、このブログの内容が良く理解できない場合は、この本「強い力と弱い力」を購入されて、第1章から熟読されることを推奨します。

 2012年の7月に、ヒッグス粒子と呼ばれる素粒子が正式に発見された、とするニュースが世界中を駆け巡りました。
この素粒子が見つかることで、「標準模型」と呼ばれる素粒子の世界の基本理論が完成することになるのです。
世界の物理学者達は、「この世界は何で出来ているのか」・「どの様な力が働いているのか」を明らかにするために、長年にわたって考え続けています。
そのなかで、多くの研究者たちが競い合って築き上げてきた理論が「標準模型」なのです。

 この「標準模型」を完結させるほどの「ヒッグス粒子」とはどの様なものなのでしょうか。
このことについて、「強い力と弱い力」から、抜粋して以下に記述していきます。


 実は質量の起源を何も説明していないヒッグス場

 ビッグス場を使うと、素粒子の質量がどのようにして説明されるのでしょうか。
電磁場の効果との比較で、考えてみましょう。

 電磁場がある場所を、電子のように電荷を持つ粒子が通ると、粒子の運動状態が変化します。
これと同じように、ビッグス場があると、そこを通る素粒子の性質が変わります。
ただし、電磁場のように粒子の運動が変化するのではなく、質量の値が変わるのです。

 電磁気では、電磁場を強くしていくと、その中の電子の受ける力が強くなります。
電磁場が弱ければ電子が受ける力も弱まり、電磁場がゼロになれば受ける力もゼロになる。
それと同様、素粒子の質量はビッグス場の値によって変わります。
ビッグス場の値を大きくすると、すべての素粒子の質量は一様に大きくなり、ビッグス場の値が小さければ、質量は一様に小さくなるのです。
 ただし、ビッグス場の値によって質量が変化するとはいえ、それらの素粒子がどれも同じ質量を持っているわけではありません。
素粒子の質量の値はさまざまです。
そのわけは、それぞれの素粒子が異なる「ビッグス荷」を持つからです。

 電磁場の影響力は、粒子の「電荷」の大きさによって異なります。
電荷の小さい粒子は電磁場から受ける力が弱く、電荷の大きい粒子は受ける力が強い。
それと同様、素粒子には、ビッグス場から受ける影響力の度合いを表す「ビッグス荷」があります。
ビッグス荷が小さい素粒子は場の影響も小さいので質量が小さく、大きいビッグス荷を持つ素粒子は質量も大きくなる。
電磁気力を運ぶ光子は、ビッグス荷を持たないので質量がありません。
つまり素粒子の質量は、「ビッグス荷×ビッグス場の値」に等しいのです。

 ビッグス場がこのような性質を持てば、弱い力を伝えるWボゾンや、それを放出・吸収するフェルミオンが質量を持っても、弱い力の働き方との矛盾が起きません。
弱い力の三つの謎を解くことができます。
ビッグス場を考えた意義は、まさしくそこにありました。

 しかし今のところ、そのビッグス荷やビッグス場の値がどのように決まったのかは理解されていません。
素粒子の質量は実験によってわかっているので、これが「ビッグス荷×ビッグス場の値」になるように、ヒッグス荷やヒッグス場の値を逆算することはできます。
しかし、その値を、基本原理から導出することはできていないのです。
ヒッグス粒子が「質量の起源」を説明すると思っていた人は、いまの話を知って拍子抜けしてしまったのではないでしょうか。
「素粒子に質量があるのは、ビッグス場とビッグス荷とがあるからだ」としか言っていないからです。
標準模型以前には「この世界の素粒子には質量がある」と言っていたのを、標準模型で「この世界にはビッグス場とビッグス荷がある」と言い換えただけです。
どのようにしてビッグス場の値とビッグス荷が決まったかについては、口をつぐんでいるのです。
「それだけでは、質量の本質や起源を何も説明していないではないか」と言いたくなる人もいるかもしれません。

 それに対する私の答えは、「そのとおり!」です。
そもそも、素粒子論の研究者たちは、「素粒子の質量の起源を説明しょう」という問題意識で標準模型を考え出したわけではありません。
ビッグス場を導入したのは、弱い力の三つの謎を解くためです。
そして、これを使うと電磁気の力と弱い力の統一も達成できることに気がついたのです。

 ヒッグス粒子が「質量の起源である」という解説は、標準模型の形が整ってから何年も経ってから、この理論を一般の人々に説明するために創作されたもののようです。
一般向けの科学広報や解説記事で「水飴論」のようなたとえ話が出てきてしまうのも、そもそもビッグス場の仕組みを含む標準模型ですら理解できていない「素粒子の質量の起源」を、無理やり説明しようとするからでしょう。

 同じ質量についてでも、たとえばハドロン(陽子、中性子、中間子などクォークからなる粒子)の質量については、基礎理論から「起源を理解した」と、胸を張って言うことができます。
陽子や中性子の質量の九九パーセントは強い力のエネルギーによるものであり、この強い力はヤンーミルズ理論に支配されています。
物理学者は、これだけのことを基本原理とし、これ以外には何も仮定しないで、ハドロンの質量を理論的に導きました。
これは強い力を含む標準模型のすばらしい成果だと思います。
そして、その本質は、エネルギーと質量が同じものであるという、アインシュタインの「E=mC^2」に尽きているのです。

 われわれを作っている物質の質量のほとんどは陽子と中性子の質量に由来し、その起源は強い力のエネルギーをE=mC^2」で質量に翻訳したものなのです。

 私は、万物の質量の説明としては、「水飴」よりも、E=mC^2」のはうがよほどすばらしいと思います。

 ビッグス場は、残りの1パーセントとなる電子やクォークなどの素粒子の質量を生成します。
しかし、標準模型は、素粒子ごとに異なるビッグス荷の値がどのように決まったのかは説明しません。
ヒッグス場の値を決める原理も持っていません。
ヒッグス場の値や、さまざまな粒子が持つヒッグス荷は、素粒子の質量から逆算したものであって、基本原理から導き出されているわけではないのです。

 素粒子の「質量の起源」は、標準模型では説明されなかった。
しかし、「質量の起源」などを持ち出さなくても、標準模型のすばらしさが十分にわかっていただけていると思います。
標準模型を築いた研究者たちの本懐は、自然界の三つの力を、ヤンーミルズ理論という一つの理論で統一的に理解することでした。
そして、それはビッグス場を使った対称性の自発的破れによって達成できたのです。

 素粒子の質量の起源の理解は、標準理論を超える、さらに根源的な素粒子理論が解くべき問題であり、未来への宿題として残されているのです。


太陽系創生の秘密 「宇宙創造神話とは?」

2013年02月08日 | 太陽系

 太陽系創生の秘密「シールドされた時空間に存在する太陽系」では、約3億6000万年前にすでに現代の運命が決定付けられてしまった可能性について述べました。
しかし、実際には12万2000年前に犯した「ヘマ」のために、3億6000万年前だけでなく太陽系の創造されたとされる頃に遡ってシールドを張ってしまっているようです。
なぜ、ここまでする必要があったのでしょうか。

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 今から12万2000年前、JUMUは10キロメートル級の巨大隕石が地球に接近していることに気がついていませんでした。
それは明らかに職務怠慢と責められても仕方のない、とんでもなく迂閥な行為でした。
JUMUが気がついたときはすでに地球への激突は避けられない状態にありました。
唯一出来たことは被害を最小限にとどめるため海に隕石を落とすことでした。
先ほども書きましたがこの隕石跡が現在のユカタン半島にある痕跡です(当時は海の中でしたが現在は半分半島の一部に隆起しています)。
 この時、海の生物の9割が絶滅、陸上の生物も8割近く、人類は完全に絶滅しました。
いまからわずか12万年前にこの地球上で「大絶滅」があったのです。
考古学者は数億年も前の地球の歴史を振り返り、そのころに「生命の大絶滅」が少なくとも5回はあったはずだとしています。
しかしわずか12万年前にその大昔の「大絶滅」に匹敵、もしくは越える「大絶滅」があったのです。
12万年前といいますと大昔のように思えますが、億年単位の過去に比べますとほとんど「最近」の出来事なのです。
***

 実際に、10キロメートル級の巨大隕石が海に落下したのであれば、地球は大洪水と隕石の衝撃で陸海の生物は絶滅したことでしょう。
では、なぜその「最近」の「大絶滅」というとんでもない事件の痕跡が、この今の地上に残っていないのでしょうか。
隕石落下の痕跡が残らない方が「オカシイ」はずです。

***
 実はこの12万2000年前、つまり隕石落下と同時に地球にポールシフトがあったのです(シフト角は4度でした。シフト前の地軸の角度は19度でした。今は23・4度ですから少し合いませんが、これは「それくらいのブレは常にある」という事らしいです)。
このため隕石とポールシフトによる天変地異が混ざり合い、地上はシャッフルされ隕石の痕跡はほぼ残らない状態でした(ですから実質この時の大絶滅は史上最大近くかもしれません)またJUMUは隕石の痕跡を古く見せる操作をしております(これは彼らにしてみればかなり簡単なことのようです)。
***

 確かにポールシフトが同時に起こっていたとすると、地球表面のすべてが「泥の海」になってしまい、隕石落下の証拠も消えてしまうかもしれません。
これでは、約6500万年前(白亜紀)の恐竜の大絶滅と同じではないでしょうか。
 しかし隕石の落下とポールシフトが同時に来るとはあまりにもタイミングが良すぎるのです。

***
 結果「ごまかすためにポールシフトをやった」とJUMUが認めています。
ポールシフトをやるということは太陽系全体の問題です。
JUMUの都合のため彼らは太陽系全体を動かしていました。
JUMUは地球のみではなく太陽系も管理していますので出来ないことはないのですがそれにしてもちょっとあきれてしまいます。
JUMUの上層部の発言です。
「地球は太陽系にとって希望の星、とりあえずクリアになるのなら」という心境だったようです。
***

 JUMUは12万2000年前にミスを犯していながら、「時間」という「因果律」まで侵しています。
すなはち、約3億6000万年前と太陽系創世時期、そして約6500万年前(白亜紀)の恐竜の大絶滅までをも引き起こしていたのです。
無かったはずの「恐竜の大絶滅」は、時間の「因果律」を侵すことで、人類の形成(DNA遺伝子)に重大な影響力を及ぼしたことでしょう。

***
 引き金は隕石でした。5キロメートル級のが2個、メインの10キロメートル級が1個ほぼ同時に落ちています。
10キロ級は海に、5キロ級の2個は陸上に落下しています。
10キロメートルの隕石の跡は、現在推定されているメキシコのユカタン半島のものとは違います。
これは非常に新しい隕石跡で、JUMUの怠慢から起こった事故でした。
まだその痕跡は発見されていませんが、ロシアのツンドラ地帯に残っていて、やがて鉱物資源の試掘作業の時見つかるはずです。
 さて白亜紀の絶滅に戻ります。
陸上に落ちた5キロ級の一つの隕石は人間が住んでいた大陸に落ち、その大陸の半分が消滅しています。
10キロ級の隕石は海に落ち、海洋生物は甚大な被害を受けています。
 この白亜紀の絶滅は5大絶滅の中でも最大の規模になりました。
それはそうあるべくJUMUが実行したからです。
地上の生命はほぼ根絶やしにされました(小さな爬虫類は少し残りました。植物はコケがかろうじて残っている所もありました)。
海には海底を這う生物(貝やサンゴ)かクラゲくらいしか残っていませんでした。
逆にいいますと「そのくらいは残した」という事がでてきます。
 「根絶ではないということ・反映をきっぱりと断ち切るのもまた違う」
この絶滅の後地球が復興するのは約1万年後になります。
***

 ここまで読まれて、気づかれた方も居られるでしょうが、この12万2000年前に「因果律」を侵して、太陽系創造という遥か以前にまで遡って太陽系を変動させています。
そして、この太陽系に「シールド」を張ったために、現代物理学では最初に「ビッグバン宇宙論」ありきで、137億年前に始まった宇宙創造神話を信じきって今まで来ています。

 この宇宙の神秘について、答えを出すことが出来るのでしょうか?