遜文侍のweblog

子育ちは親育ち。成長記録weblog。2005.1~。

子育てでいちばん大切なこと、それは自分のことを好きな子どもに育てることです

2009年01月08日 23時00分52秒 | 箴言・苦言
子育て本から遠ざかっていて久しかったので、久しぶりに佐々木正美さんの近著を借りてみました。
実にシンプルに、母親の多い悩みをQにおいて、それに重要なことを端的に伝える技術にますます磨きがかかっているのにまず感心させられました。
世間の大半の親が流されている方向とは異なる結論であるのに、それを押しつけがましくなく、そして優しさに溢れた表現でぴしっと伝えてくれる希有の書でした。

「子育てでいちばん大切なこと」(大和書房)

○子どもが言うことをきかない。第一次反抗期の悩みでしょうか。厳しく接することで甘やかさないのが対策だと思っている質問者に対して、こうです。
「子どもは、自分の言うことをよく聞いてくれた人の言うことを、聞くんです」
何たる名言!! 感動に震えました。

○いじめられない強い子どもに育てたいといきがる親に対して、こうです。
「子どもたちの社会でも、弱い子はいじめられるというほど単純ではありません。いじめっ子もいじめられっ子も、じつはコミュニケーションが下手な子どもが多いのです」
まさにそのとおり。そんなに単純ではないし、子どもをバカにした話です。
そしてコミュニケーションのちからを育てるには
「たくさん喜びを分かち合う経験をしなければ、他の人と、悲しみを分かち合えるようにはなりません」

○片親が母性・父性の両方を担うためには、という悩み
「子育ては母性性と父性性のバランスがとれていればいいのではありません。大切なのは、母性性と父性性を与えられる「順番」です。」
衝撃的解釈です。
佐々木さんのいう母性性は安らぎと安心感で包むこと、父性性はルール・責任を伝えることです。
「十分に母性性が与えられてからでないと、子どもは、きちんと父性性を受け入れることはできません」
まさにそのとおりであり、世間の親の盲点であることは確実でしょう。

○発達障害児を否定することが子育て期に続いたことが、重大犯罪につながっている例が跡を絶たない事実に、佐々木さんはばっさりとこう云いきります。
「痛ましい事件の原因は子育てが悪かったからか、と問われたら、私は「悪かったのだ」と肯定します。」
個性を認めないこと、「早く!」と言い続けること、「もっと」と過剰に期待すること、それらも否定であるという指摘がたいへん重要です。そこら中で観られる風景だからです。子どもを追い詰め、否定する親が全く自覚せずに子どもの心を蝕んでいる、という恐ろしい現実です。
「親だけでなく、教育も社会も悪いのです」子育ては親だけでできるものではない、ということを強調された言葉でしょう。子どもを持たない親がどれだけ子どもたちという未来の卵のことを自分事として考えているでしょうか。自分のことしか眼中にない人間ばかりであることは、私の周辺を見渡しても確実です。

○そして、「子育てにいちばん大切なこと」はズバリ何か。
「子育てにいちばん大切なこと、それは自分のことを好きな子どもに育てることです。」
「そして、それは子どもの「現在」を幸せにすることだと思います。」

この結論は単なる綺麗事か。抽象的な逃げか。
いやいや全くそうではありません。
このことが子どもに生かされていない、子ども(=人間)の幸福追求がなおざりにされている今日の日本であることを、佐々木さんが嘆き、考えに考えられた末に至った結論がこの言葉であることは間違いありません。
本当に重い結論であるのです。

最新の画像もっと見る