信州ななめよみ

長野県政をはじめ長野県に関することを思いつくままにつづるもの

彷徨う信濃毎日新聞

2007-03-10 11:36:34 | Weblog
信濃毎日新聞で都市計画税のことが記事になっていた。
http://www.shinmai.co.jp/news/20070304/KT070303GAI090013000022.htm

正直な感想としては、この記事が訴えたいことがわからない。
都市計画区域の考え方や税金についての事実はその記事に引用されている関係者の説明どおりであるし、事実と愚痴を並べている以外の何もない。都市計画区域のことを広く知らせるようにと都市計画の関係者に頼まれたのかというくらいである。
あるいは何らかの意図があって、都市計画税を口実として、市町村合併へのアンチテーゼとして提示したかっただけなのか。
しかし、都市計画区域とそうでない場所が設定されているのは合併の有無に関係のないことであって、同記事の解説には無いものの、一般には都市計画区域と行政境とが一致しないのが当たり前である。同一市町村において都市計画税を負担している住民と負担していない住民がいるのは珍しいことでもなく、むしろ都市計画法の趣旨からいえば、山あいの平地が無い或いは少ない地域が都市計画区域に指定されていることのほうが合理性に欠けている。

信濃毎日新聞は長野県を代表する地方紙であり、県内で60万以上の発行部数を誇っていて他を圧している。一方で、同記者の取材姿勢や記事への批判が出ることが多い。掘り下げた事情を知っているくせに一部関係者に媚びて表面的なことしか記事にしないとか、記者の態度が傲慢であるとか、他の新聞と違って取材に来ないで後から電話をかけてきて電話応答だけで記事を書くとか、果ては取材された側が言ってもいないことをでっち上げて記事にするとする批判も時々出てくる。
田中康夫知事不信任が出るまでは、特にそれがひどく、2003年秋に信濃毎日新聞が田中康夫知事と対立の様相を見せ始めてからは、今度は田中康夫知事とその支持者による信濃毎日新聞攻撃が目につくようになり、信濃毎日新聞のそうした態度は下火傾向になっていた。

問題になったものとしては、5年ほど前の入札に関する信濃毎日新聞の同額落札に関する記事で、当時の県庁担当者が言ってもいないことを言った、そして測量会社関係者が誰も言っていないことが同測量会社の関係者が述べたコメントとして記事になっているのはおかしいとして、関係者が厳重抗議をしたことがある。
後で聞いた話によると、この時は測量会社が弁護士を入れて、この記事に関わっていないとする全社員の誓約書を取り付けて時の田中康夫記事に提出し、合わせて信濃毎日新聞を訴える準備をしていたという。この時は信濃毎日新聞側が五十嵐敬喜教授の「神業」発言などを持ち出すなど連日の特集記事で印象操作につとめるものの、抗議への反論反証をすることができず、それを表面化させないまま、少し間をおいた後に同測量会社社長の対談記事を載せてお茶を濁して終わらせた。あの時、なぜこの対談記事が載っているのだろうと疑問に思ったものの、後日その事情を知って合点した覚えがある。一時は告訴をしようとしたとされるくらいだから、裏では相当な駆け引きがあったのだろう。
この時、言ってもいないことを記事にされたとする県の担当者は、関係機関に信濃毎日新聞記事は虚偽であるという趣旨のファックスを送信していたとされている。この担当者の名前は実は知られているのだが、ここではあえて伏せておく。
この顛末は、当時のヤフー掲示板にも掲載され、県政ウォッチャーの間では当時から比較的知られていた。

上記例示以外にも幾つかの事例がある。同社の新人記者が書く記事にこうした事実関係と関連事項を調べないまま記事にしてしまうというパターンが多く、いったん記事にしてしまえば、よほどのことが無い限り信濃毎日新聞は抗議をしても訂正記事を出すことがない。
詳細を書かないが、信濃毎日新聞があまり調べもせずに記事を書いたがために、県や市町村の担当者が掲載された記事に関する大掛かりな調査を行わされる羽目になり、よくよく聞いてみれば新人記者が書いたその記事自体が関係者への取材内容を裏取りしないまま勝手に膨らませて誇張して書かれていて、それが後日になって分かって関係者を激怒させたとする話は複数知っている。

やはりこれは、信濃毎日新聞が売り上げ部数で圧倒的な強さを持っている故の傲慢さと緊張感欠如が出ているのではないかと思う。強力なライバルが存在していれば、記事自体にもっと緊張感が生じるだろう。とはいえ、売り上げ数だけを見ても、他の県内地方紙や、全国区の中日新聞や読売新聞は遠く及ばない。今のまま信濃毎日新聞の圧倒的優位状態を続けることは県民にとっても信濃毎日新聞にとっても不幸である。
とはいえ市井の者には現実として如何ともしがたい。憂慮すべきことであるゆえに歯痒さばかりを感じる。