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ならおうは穏やかに語る

Fly Fishingを中心に難しい話からヨタ話まで支離滅裂な雑文。
(09/08/23カウンターを付けました。)

Longest war? Long story コメ禁

2011-06-05 16:57:42 | Weblog
先月親父が他界した。享年72。自由気ままに生き、濃い人生を歩んだ。
既に密葬、本葬を済ませた。次にやってくるのは相続関連。

前立腺がん。7年前には骨に転移していた。ホルモン療法で抑制し、PSAは低い値で推移。
しかし、一昨年からPSA値の増加が始まる。これは本人のいい加減な投薬管理も一因だが、癌細胞の変異も一因である。
女性ホルモンの注射とエストラサイトの投与によって癌の増殖は抑制されているが、あるとき、エストラサイトが効かない癌が発生する。
※エストラサイトは虫歯菌に対するキシリトールの様に癌細胞への兵糧攻めであるが、あるときからエストラサイトを利用する細胞が発生する。
それが徐々に増え、PSA値が増加する。これを再燃と呼ぶらしい。前立腺がんに対する凡そ医者の見込みは正しかった。
PSAの増大は前立腺がん(腫瘍)の拡大を示す。前立腺癌の拡大は排尿困難を併発し、昨夏から導尿管(カテーテル)を使用。

昨秋、脚のむくみも発生し、転移が骨だけではなくリンパへ移行した事を示唆していた。
そこで医師は抗がん剤タキソテールの併用を開始。これは癌細胞の増殖をエストラサイトとは違うメカニズムで抑制する。
しかし抗がん剤に副作用はある。
脱毛、爪の変形。強烈なしんどさ。

本人の希望でタキソテールの使用は年明けからストップした。この時点で寿命との競合となる。また、エストラサイトの服用も停止する事となった。寿命との競合というが、癌に蝕まれていくに身を任すという事だ。
抗がん剤を止める事で脱毛から回復し、枯れススキの様に抜けて貧相になっていた長い白髪の下から芝生が萌芽する様な黒髪は家族に奇跡を期待させたが、それは奇跡ではなく、ホルモンバランスの異常によるものだったのだろう。

脚のむくみは徐々に大きく広範囲に渡り、今春には歩行不可から寝たきりへと推移。寝たきりになってからは三ヶ月であった。
脚のむくみはマッサージで抑えることができたが、腹水と繋がる様になると脚のむくみを抑えると腹部が苦しくなる。この辺のバランスは非常に難しく、訪問看護師の腕が冴え渡っていた(彼女達のプロフェッショナル意識は非常に高く、入院先とのギャップはちょっと驚く)。
終末治療にてリンパの異常によるむくみ、腫れは水分過多なので、排尿がしっかりすれば収まるので点滴よりも利尿剤の投与が効果的なのでは?と素人考えを医師に確認したが、医師によると血管内部の水分が不足して血管から漏れている状態。血圧を維持できる水分が不足しているので点滴が必須であるとのことだった。つまりこの時点で満身創痍である。この辺は非常に難しい。

そして癌といえば、痛みである。
寝たきりなってから一ヶ月。痛みを抑えるには結局麻薬系薬剤を服用するしかなく、それが徐々に増えていく。ジャンキー街道まっしぐらとなり、意識朦朧となる。この辺からはもはや引き返せない道へ入ったことになる。

さて、訪問看護も入院時も常に血中酸素飽和濃度を測定していた。これの理由は今になってわかる。
リンパ液の浸潤が脚から腹水、胸水と進むと肺に水が溜まる。そうなるとガス交換機能が失われる。
最後の数日は鼻酸素が必要であったが、これは酸素濃度を高めて失われたガス交換機能をサポートするものであった。
訪問看護師が「肺にも水が・・・」という言葉は最後の数日間に酸素吸入していた事もそれを裏付けている。

臨終数時間前は心拍数が120程度。血中酸素濃度は95%維持。
前日の心拍数が100程度で血中酸素濃度95%、この時点で意識もしっかりしていた事。だから心拍数が100程度血中酸素濃度95%では、落ち着いたと判断できた事。さらに医師より「本日は病室に宿泊する必要は無い。ヤマは二~三日後」という説明があったので、着替えをとりに戻ったが、それは甘い見解だった。徐々に心拍数が低下し、穏やかに苦しまずに心臓が停止した。あと10分で間に合ったが・・・。
だが、意識のあるときにほんの数語であるが会話ができたので、自分の中では踏ん切りが着いている。

さて、いずれ順番に訪れてくるものであるが、葬儀を執り行っただけで完了するものではない。相続という難関がやってくる。
通常、相続は遺産がもらえるぞ。という甘い期待を抱かせるが、そういうものではない。相続財産はプラスとマイナス(負債)の両方があり、それを清算する必要がある。しかし、負債は様々な理由で総額が不明であったりする。
詳細をココでは記すことができないが、民法は相続放棄という荒技を用意している。家庭裁判所に申述書を(ただしたくさんの戸籍謄本等を準備する必要があるが)提出すれば良い。すると裁判所より意思確認書がやってくるので、もう一度署名捺印して提出すれば良い。その後、遺産放棄受理書が届けられて遺産放棄申請が受理されたことになる。

証明書を発行してもらえば債権者に対して矛先が違うと訴えることができる。しかし「遺産放棄受理」であり、法的拘束力は弱い。
しかも相続人が順に相続放棄して行くと債権者は泣き寝入りになる。そこで債権者は「相続放棄無効訴訟」ができる。
この辺はここを参考にしている。

ここで気になるのは相続財産管理人に託した後だ。
最後に相続放棄をした者の財産管理義務は、この相続財産管理人が相続財産の管理を始められるようになれば終了。とある。
つまり、最期の相続財産放棄者は相続放棄だけではなく、相続財産管理人への委託までが必要となる訳だ。

相続財産管理人の就任2ヶ月後に「相続債権者・受遺者に対する請求申出の催告」が官報に公告。
債権者はここで名乗り出ることになっているが、いつまで名乗り出られるのか不明。
この辺はよくわからないが、最期の相続財産放棄者から遡って相続放棄無効訴訟されると怖い。

とりあえず法律専門家へ相談中です。


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