※ 内容の正確性は保証できません。あくまで「個人的にこういう印象を抱いている」という例え話だと思ってください。また実在の人物は一切関係ありません。
「実は家のオカンが悩んでんねんけどな」
「何を悩んでるの? 一緒に考えてあげるよ」
「新型コロナウイルスな、1月から武漢で流行ってたやん」
「そやったね」
「ホンマは去年から流行っててんけどな。WHOが声明を発表したのは1月5日や」
「うん」
「そんで日本で最初の患者が確認されたのが1月16日」
「うんうん」
「その頃からやと思うんやけど、お隣の韓国では1日、160件。今では1日一万件のPCR検査をしてるらしいねん」
「ホンマに!? それはすごいね」
「すごいやろ? ところが日本では1日100件未満の検査数がずっと続いててん。今は大分増えたみたいやけどな」
「ほぉ」
「そこで日本でももっと検査数を増やした方がええんちゃうかって悩んでんねん」
「ほ~ぉ…。増やした方がええね」
「そやろか」
「たくさん検査して正確な患者数や感染経路が分かった方がええからね。すぐ分かったよー。検査数は増やすで決まりや」
「それが分からへんねんな」
「何が分からへんのよ」
「確かに、オレも最初そう思てんけどな」
「そやろ?」
「でもオカンが言うには、そうすると院内感染が増えて医療崩壊の危険性が高まる言うねんな」
「はぁ~…。ほな、検査せん方がええか~」
「他にもあんねんな」
「他にもあるの?」
「密閉、密集、密接する場所が危ないということで、なるべく集会やイベントは自粛してほしい言われてんねんけど」
「それは自粛した方がええよ」
「そうなんやけど。オカンが言うには、そうするとイベント会社は収入がなくなるし、飲食店の他に、例えば花屋やなんかの周辺産業始め、社会全体も大打撃を受ける言うんよ」
「深刻な問題やね」
「そやねん」
「でもそれは自粛した方がええね。やっぱり健康が第一やからね」
「そうやねんけど、どうも満員電車は停める気ないみたいやねんな」
「停める気ないの? 正に密閉、密集、密接してるのに?」
「そやろ。それに収入が無ければどないもならない人もいてはるからな。仕事するしか選択肢のない人も多いねん」
「そうやろね」
「まだあんねんな」
「まだあんの?」
「学校なんやけど、子どもたちが大勢集まって危険やいうことで一斉休校の要請が出てん。2月27日や」
「そやったね。それは休校にした方がいいね。子どもさん自身も危ないし、知らん間にお年寄りに感染(うつ)してしまうこともあり得るからね」
「うーん、それが分からへんねんな」
「何が分からへんのよー」
「オレもそう思っててんけどな。オカンが言うには、学校が休みになったら小さい子の面倒なんか誰が見んねんと。仕事休んだ場合給料はどうなるねんと」
「はぁ~…。ほな、休校せん方がええか~」
「まぁ3月1日から実際にほとんどの学校が休校になってんけど」
「休校になったの? うん、それで?」
「休業補償なんかは色々問題ありつつも出ることになったみたいやねんけどな。例えば親が休めなくて小さい子を学童に預けたりするやろ。そうすると教室より狭い部屋やから、より濃厚接触してしまうらしいねんな」
「なんやそれ。本末転倒やないか」
「そやろ?」
「なんなんそれ。ホンッマどうしていいか分っからへんわ」
「そやねん。ホンマそやねん」
「どないなってんねん」
「でもオトンが言うには」
「オトン!」
「『判断に時間をかけるいとまがなかった』言うて」
「いや、ひと月以上あったやろ。もうええわ」
――どうもありがとうございました。