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幸せの植物楽

自然の力をプレゼント。
身近な植物に託した想いや、日常雑記を心のままのびやかに表現したい。

ニンニクの言い伝えと抗菌作用

2012-11-08 06:47:22 | 植物
 津市小櫃(おびつ)の迷信に「ニンニクを軒端(のきば)に吊るすと悪病が入らない」というのがあります。ニンニク(大蒜・蒜・葫)・ネギ(葱)類の薬効や民間療法を調べている時、ふと目にした資料に出ていました。ジャガイモやトウモロコシではなく、何故ニンニクなのだろうか。何か理由がありそうだと、ニンニクの臭いに惹きつけられたように胸が騒いだ。それから「ニンニクについて、言い伝えみたいなみのはないでしょうか」と年配の人に会うごとにお聞きしてみました。
 君津市小櫃戸崎にお住まいの大正9年生まれの方 「昭和3、4年 小学生の頃、腰揚( 着物の腰部の縫い上げ)に、ニンニクを縫いこんで学校に通いました。通学路に時の結核は死病で、しかもうつるので、今癌にかかるよりも 恐怖心にかられました」
 袖ヶ浦市上泉永地にお住まいの明治33年生まれの方「8歳の頃、着物の襟の中に、土手に自生していたニンニクを採って、自分で縫いこみました。コレラ、赤痢などの伝染病にかからないようにと、子供はみな同じようにしていました。
 袖ヶ浦市岩井にお住まいの大正元年生まれの方 「小学校通学の時、腰にニンニクをお守り袋ぐらいの小さな袋に入れ、腰につけていました。ニンニクの代りに、ノビルの球を入れる子供もいました。やはり、コレラ、赤痢なと゛の伝染病にかからないようにというためでありました。」
ニンニクは、その当時、食べる物ではなく、お守りとして体につけ、家の玄関につるして悪疫除けにしていた。 千葉県以外でも、節分に、鰯の頭、ヒイラギ、ニンニク、トベラを戸口につけて、鬼を寄せ付けないという風習があった。戸口には、ニンニク以外にトベラ、タマネギをつけて魔よけとしていたそうです。
 これらの例に示すように、ニンニクは伝染病の予防に使用されていました。
日本人が、今のようにニンニクを食べるようになったのは、戦後肉食が普及しだしてからであり、それまでは、精のつくものとして利用されているにすぎませんでした。悪疫除けとしての利用は、相当古くから行われていたのかもしれません。
1930年ごろ、当時モスクワ動物園実験生物研究所に属していたトーキン博士が、高等植物が傷つくと、その周囲の環境にある他の生物を殺す何かの物質(フィトンチッド)出すという現象を発見した。最近の森林浴も、木が虫や細菌から身を守るために出すフィトンチッドの作用によるものです。
トーキン博士は、ニンニクの抗微生物特性には驚くべきものがあり、人間にとって病毒となる細菌でニンニクのフィトンチッドが殺せないというようなものは、今のところないのであると述べている。まさに、冒頭のニンニクの言い伝えを科学的に証明したもので、その文献・植物の不思議な力 フィトンチッド B・P・トーキン、神山恵三、講談社を読み、思わず手をたたきました。トーキン博士は書いている「紀元前四千年以上も昔の古代エジプト人たちは、ナイル渓谷の農地に、ネギとニンニクを大々的に作っていた。インド、中国それにチベットの医学では、ネギとニンニクが薬剤として広くもちいられていた。ロシア・スラブ人もニンニクのもつ治癒力をよく知っていた。医学は、過ぎ去った自らの幼年時代である民間療法を振り返ってみても呪術に堕す危険がないくらいに成長しましたが、その民間療法こそ、科学的医学に至るまでの長い道のりにおいて、病気と闘いながら人類が積み重ねてきたもっとも豊かな知識の宝庫なのである。フィトンチッドの発見によって、多くの植物のもつ治癒力に対する民間療法の畏敬の謎が、ある程度明らかにされた。」
戦後、引き揚げの混乱期、ジフテリアがはやったが、ニンニクの汁を薄めて喉に塗って命を助かった人からの話を聞いたことがあります。
生のニンニクの殺菌力は、腸内の有用な菌も殺してしまうので、過度な使用は避けたほうがよいです。
現 象    無 臭生 →  臭 う切る・潰す→  臭わない 加熱
            酵素・アリインリアーゼ
化学変化   アリイン →  アリシン    →  ジアリルジスルフィド
抗菌性物質   抗菌性物質
ニンニクのくさい臭いは、ニンニク自身の身を守る武器であった。しかし、今では人間が、ニンニクの魅力にとりつかれ、本来においで逃げ出す筈なのに、逆にニンニクにとって天敵となってしまいました。
言い伝えとは、単なる迷信ではなく、それなりの根拠があるので、大切にしたいものである。
にんにく剥きたる如し
とは、にんにくの皮を剥くと白いお顔が出てきます。色白で白く太っている顔の人をいいます。私も若い頃、薬草の会の方から「頑張れニンニクマン」と声をかけられていました。

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