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幸せの植物楽

自然の力をプレゼント。
身近な植物に託した想いや、日常雑記を心のままのびやかに表現したい。

木の幹の割れ目はどのようにしてできるのか

2013-01-02 20:21:50 | 植物エッセイ
木の幹の割れ目はどのようにしてできるのか


目をつぶり、幹にそっと手の平を当ててみましょう。虫がいないかをよく見て、耳を当ててもいいでしょう。どんな感じがするでしょうか。
暖かい、冷たい、ゴツゴツ、ブツブツ、ザラザラ、フワフワ、一本ずつずい分違うものです。
今度は、目を開けて見てみましょう。ツルツル、ゴツゴツ、ひび割れ、皮が剥がれ、色々と形があるものですね。同じ種類でも若いのと成長したのでは違います。
カキ、アメリカハナミズキは、縦横に細かく割れて、まるでアミダ籤(くじ)です。
ケヤキ、スズカケノキ(プラタナス)は、樹皮が比較的、大きく剥がれる。それを拾ってどこから落ちたか合わせるのは、ジグソーパズルのようで面白い。
イヌシデは、幹を見上げると、よじれるように、もだえるようにねじれているのも面白い。ユーカリは生長が早く、皮をねじって細長く剥がれています。
コナラとクヌギの幹は似ていますが、裂け目の溝が指一本ぐらい入るのがクヌギです。
あまり自然観察会のテーマになっていませんが、見る、触るということで勉強になることでしょう。
幹が滑らかで冷たいのは、表面の樹皮に水が流れている。暖かく乾燥して、カサカサなのは、樹皮がコルク質、繊維で覆われている。ではどうして色々な模様ができるのでしようか。縦に細長いのは、木に真っ直ぐと伸び、成長が早いからでしょう。縦横の割れ目は、樹皮が硬く固化した後、さらに縦横に成長してひび割れたのでしょう。ケヤキ、カゴノキ、スズカケノキなどはもともと成長するように樹皮が断片になっているのかもしれません。
科学者 寺田寅彦  宇田道隆編著  NHKブックスに寺田物理学を学ぶ 高橋浩一郎さんが割れ目の研究について言及されています。

昭和八、九年の頃、割れ目に関する一連の研究が寺田研究室で行われた。物がこわれるという現象は非常に複雑で、不確定の因子が多く入ってくる。この種の現象は、物理学的には取扱いにくい問題であるが、身のまわりにはよく見られる現象であり、また、実用的にも重要な問題である。・・・・

田圃(でんぽ)などが干ばつで乾くと、地面に割れ目ができる。その形は四角とか五角、六角などが多く、その大きさも割合一定している。お茶碗の中にも、その表面に割れ目の模様の入ったものがあり、美しい。そして、その形は複雑であるが、やはりある種の統計的法則がある。・・・

このようなことからお弟子さんの一人の平田森三は、麒麟(きりん)の身体の縞(しま)模様(もよう)は割れ目を表し、母獣の体内にいた時には、身体の表面に張力が働き、それによって生じたのであろうという仮説を立てられた。これは賛否両論で、大いに世間を沸かせた。この頃、先生にお会いした時「イギリスのネイチャアーに割れ目と猫の皮の縞模様についての論文を投稿したが送り返して来た。当然かもしれないが、このような考え方は、なかなか理解してくれにいね」といつて苦笑しておられたことを覚えている。・・・

どうやって割れ目ができるのかを考えるだけでも、ロマンがあるような気がします。


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