イチジクの神話
祖父は、イチジクが好きでした。実(果のう)が熟れだすと脚立に乗ってじっと眺めて、食べごろを見つけると目を輝かせて大切にもぐ。幹にカミキリムシの穴を見つけると針金を曲げて、鍵を開けるように器用に幼虫を引っ張り出す。施肥や剪定などでいつもイチジクの側にいました。
イチジクの葉や茎をちぎると、吹き出るように白い汁が出て、イチジクの悲鳴と言うよりも生命の躍動を感じます。ポッテリと . . . 本文を読む
木の葉を食べる
虫のように木の葉を食べて、植物さんには申し訳ありません。昭和17年刊「非常食料の研究」東洋書館には江戸時代の飢饉時からのことが記載されてあり、まぁこんな木の葉や樹皮まで工夫していたのかと、ビックリします。その中で一般的なおとなしいものをご紹介いたします。
リョウブ(リョウブ科)、官令で救荒植物として植えられ、令法リョウブという。サンショウ(ミカン科)。ウコギ科のウコギ、ハリギリ . . . 本文を読む
不思議な食人植物
植物が人を食べる、と言うとビックリします。人は毎日植物を食べるし、木を伐ったり枯らしたりしている。心優しい植物さんは、人を食べません。
日本の民話では、のどかなほのぼのとした話が多い。
海外ではツルを伸ばしてやってくる人を待ち構え、グルグル巻きにして肥料してしまう。植物伝説の古典、「花の神話と伝説」C.Mスキナー著垂水雄二・福屋正修訳・八坂書房にはビックリすることがビッシリ . . . 本文を読む
超長い植物名超短い短い植物名
回教徒の方にお会いした。彼の名は、○○○・ビン・ハッサンで、ハッサンは父の名、ビンは息子という意味、したがって本名は○○○とのこと。何々のビンと先祖をたどっていけば、かなりの長さになることでしょう。
植物さんの名前では、一番長いのは海のアマモの別名で「りゅぅぐうのおとひめのもとゆいのきりはがし」で21文字です。正式名称では、「シロバナヨウシュチョウセンアサガオ . . . 本文を読む
植物名を自分で勝手につける
植物さんに名前をつけてみましょう。植物図鑑に載っているのだけが名前ではない。自分の心のまま、感じるままの名前でいい。チヂミザサは、目をつぶって手で触ると、縮んではいない、それでフワフワジュウタンと名づけます。クリの葉を触って見ます、フチギザギザセンタクイタ。クスノキ科のシロダモは、目立つ葉脈が三本で裏が白い、ツルツルサンポミチ、芽が出たての頃はウサギノミミ。図鑑に . . . 本文を読む
古代日本語を植物から空想する
空想するのが好きです。あまり根拠はありません。
今はグローバルだが、古代ももっとグローバル。日本列島には朝鮮半島から、海流に乗って東南アジア、遠くはポリネシアからまで多くの人がたどり着いた。人の起源がアフリカだとするとその道筋は長い。植物さんの名前は、古代朝鮮語、中国、モンゴルなど周辺はもちろん、アフリカや遠くの島々まで広げないと語源にたどり着かないでしょう。
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花を召しませ花を食べて幸せになる
花は葉の変化したものだとすると、葉を食べることの出来る植物さんの花も食べられるはずです。
花を食べると言えばすぐ頭に浮かぶのは、蕾のブロッコリー、カリフラワーなどのハナヤサイ(アブラナ科)、ミョウガ(ショウガ科)の花穂、菜の花(アブラナ科)の総称、シソ(シソ科)の種子が完熟前の総状花序、塩漬け・花湯としてシュンラン(ラン科)、チョウセンアザミ・アーティチョーク( . . . 本文を読む
手帳に記す植物記録
仕事をするうえで手帳は欠かせない。出張、会議、打ち合わせなど、あっという間にスケジュールで一杯になってしまう。日記と異なり、1、2年後に開いてみても無味乾燥で何ら感慨が湧いてこない。そこで数年前から、手帳に草木の状態を余白にメモするようにした。
通勤の車窓、歩いている時、目にする花や木々の芽生え、紅葉などである。1月20日紅梅七分咲き、3月15日コブシ、キブシ満開、4月14日 . . . 本文を読む
青い色の花のイメージ
青は、若さ、未熟さ、新鮮さ、愛らしさ、冷静、静けさ、幸福などのイメージが湧きます。似ている素敵な言葉にルリ(瑠璃)、青色の宝石・ラピスラズリから出た言葉で、紫を帯びた紺色。ヒスイ(翡翠)、小鳥のカワセミから、宝石のヒスイ、青々としてつややかで美しい。トルコ石は、青、緑青。青は藍より出でて藍より青し、弟子が先生よりも優れることを言う。
青い色の花、ヒマラヤの青いケシ(ケシ科 . . . 本文を読む
うつむく花は男心を誘う
ススキの穂がおいでおいでと手招く。行ってみると、ススキの根元に薄紅色のちいさな花がある。ナンバンギセルです。帽子を目深くかぶり、うつむいた乙女の姿に思わずポーとなってしまう。何時もいつも想うのはあなたのことだけよ、という風情に、「思い草」と呼ぶのがふさわしい。控えめでうつむいた姿、男心を誘う。
同じように、うつむいたスズランの花、誰からも愛され「君影草」というロマンチッ . . . 本文を読む