そこそこの笑い
そこそこの家に生まれ
そこそこの学校に行き
そこそこの会社に勤め
そこそこの家庭を持ち
しかたなく
そこそこの文章となり
そこそこの詩になる
ちょっとうなずき
ふぅーっと息を吹きかけると
あっという間に消えてしまう
そこそこの人生 . . . 本文を読む
卵
親鳥が三週間
顔が白くなるほど暖めて
ヒヨコの誕生
親鳥の羽根の下から顔をのぞかせる
ボワボワの綿毛球
見つめる瞳は 黒く澄み
純であどけない
目玉焼きにすれば
一瞬にして喉に消えるけど
命の輝きは限りない
感動を与える . . . 本文を読む
野良犬
雨に濡れ
石を投げられ
漁るゴミもない
シッポは泥まみれ
身体は小刻みに震え
おびえる野良の顔
元ペツト様
かわいい 便利だと飼われ
面倒だ 役に立たないと捨てられる
野良は人の鏡
野良の明日は
人の明日 . . . 本文を読む
木の叫び
チェーンソーがうなり
ブルドーザーがなぎ倒す
木の悲鳴が聞こえませんか
木の恐怖心を感じませんか
切られ なぎ倒される木の叫びは
あっという間に周りの仲間に伝えられる
木を切った人やブルドーザーが通ると
木は 震えおびえています
木にそつとふれてみましょう
木にそつと耳を当ててみましょう
気高く優しい木たちの
その心を
感じましょう . . . 本文を読む
牛
モグモグ モグモグ
草を食みながら
耳を絶えず動かし
時々私を見る瞳の
なんと優しく
好奇心に満ちていることか
時折バケツを引っくり返したような
音をたてて尿を流し
腹にこたえる地響きをたてて
糞を落とす
結構にぎやかだ
子牛が売られる日
一言も言わず
母牛は涙を流す
黙っているけど
感じているんだなぁ . . . 本文を読む
チキン
動くことも 寝ることも
出来ない
ぎゅうぎゅう詰めで
ただひたすら 肉になる一生
喉を通るチキンは
ほんの一瞬
でも その瞬間に
彼らの切ない願い
彼らの熱い思いを
托し
全存在を主張する
万物の霊長に
捧げた命
どうぞ
役に立ってください
どうぞ
潤いのある瞳に
なつてくださいと . . . 本文を読む
グルメ
炭火の上でのたうつアワビ
肉を刻まれピクピクするカレイ
偶然のいたずらで アワビやカレイに生まれ
何ら罪はないのに 罰せられる
不条理な運命
人は他の生物の犠牲なしには生きられない
ならば
人は他の生物の命に感謝しょう
人は他の生物の犠牲に歓声をあげてはいけない
人が人であることは
他者にたいする思いやり
死後の再生を信じます
自分が今度 アワビやカレイに
ならないという保証はな . . . 本文を読む
カエル
早春 産卵時 交尾時 道で轢死
梅雨時 渇水時 水を求め道で轢死
どうして こんなところに道を作ったのか
池を分断し
安全に渡れる歩道もない
僕たちにどうしてこんなに 過酷なのか
僕たちは何をしたっていうのか
僕たちは何も権利は主張したことはない
僕たちのケロケロという声は
人には理解できないのか
人は万物の霊長ではないのか
カエルも生物の大きな連鎖の一員
地球上の家族
カエルの . . . 本文を読む
お魚
お魚はかわいそう
釣りブーム
大物釣ろう 沢山釣ろう
工夫を凝らし
あの手この手
釣る人は楽しみ
釣られるお魚はそれでおしまい
お魚のあの純で澄んだ
瞳を見たまえ
彼らの瞳に
かないはしない . . . 本文を読む