ギョウザくんとブタマンちゃんとの会話
「ふっくら ポッチャリ 色白で お前 美人だよ」と
ギョウザくんがブタマンちゃんに言う
「貴男だって 見かけはゴツゴツと男らしく
付き合うほど なかなか いい味してるわ」と
ブタマンちゃんがギョウザくんに言う
ナイスカップル . . . 本文を読む
カマドウマ
居間の明かりがカマドを照らす頃
ノッソリ出てきます
背中を丸めたお年寄り
おひげも長々 足元ヨロヨロ
飛ぶことも 鳴くこともできず
ノッソリ出てきます
カマドがレンジになり
床がタイルになり
もう
ノッソリ出てきません
ガサゴソ ガサゴソ
ゴキブリが出てきます
ノッソリするのは
もう生きてはいけない
のでしょうか . . . 本文を読む
お父さん お母さん
子供が お父さん お母さん と呼ぶ
自分のことも「お父さん お母さん」と言う
父や母になるのに
何ら努力をしなくても
ひとりでにお父さんお母さんになる
実体がなくても
お父さんお母さんと言うことにより
満足する
言葉に酔い
言葉がごまかす
. . . 本文を読む
おじいさんとおばあさんの会話
時計がチクタク時を刻む
「美味しいものも沢山食べたし、食べたことのないものってあるかしらね」
おばあさんが入れ歯をカクカクさせながら、耳の遠いおじいさんに言う。
「そうだねぇ 毎年 今頃になると、庭にウグイスがやってくるよね」
おじいさんが答える。
その繰り返し
おじいさんが春に亡くなり
おばあさんは夏に亡くなり
時計はコ . . . 本文を読む
生きているって
自分で生きている 自分の力で生きている
と 思っていた でも
歳をとって そうではないと ちょっぴり
なにか かすみのように 感じるようになりました
自然という手のひらの上で 生かされている
この命は 自然の恵み 自然のはからい
ではないかと
ということは 植物 動物
今 ここに生きている全ては
同じ手のひらの上で生かされている
自分 植物 動物
みんな 同じ . . . 本文を読む
実力
スポーツ 音楽 絵画 勉強 仕事
なんでも一生懸命やっていると
自分の実力以上の能力を得ることがある
それを見て 人は驚き 賛美する
人の賛美に慣れてくると
自分はすごい たいしたものだ
自分の実力だと思うようになる
思ったとたん すぐ色あせて
ただの人になる
朝露が朝陽に消えるように
「何ものか」によって与えられていた実力が抜けてしまう
自分の実力ではなく、「何ものか . . . 本文を読む
露
里芋の葉っぱに
銀の帽子をかぶった
たくさんの坊やがいる
そよ風に踊り
ほほえむとほほえみ返す
銀の坊やにそっと触れると
子供になれるかしら
見ていると
銀の坊やはだんだんと小さくなり
やがて ただの葉っぱになった
私も いつもの私に . . . 本文を読む
僕と花びら
花びらの影に花びらがあり
花びらの中に花びらがある
花びらは大きな渦となり
花びらは光ながら舞う
花びらと 僕の耳にそっとささやき
花びらと 僕の唇にそっとふれる
花びらの中に舞い
花びらの中で眠る
花びらは僕
僕は花びら . . . 本文を読む
川
上流では
透明でキラキラと輝き
緑を鮮やかに映す
下れば下るほど
利用すれば利用するほど
濁りを増し
命の影が薄くなる
人は
川の流れに逆らって上る
魚のように
清らかさを求めているのだろうか
それとも
川の流れと同じように
時とともに
濁るのだろうか . . . 本文を読む