ドッグフード原材料シリーズ、今回はアメリカのフードHALO(ハロー)です。
「あたしも食べたことある〜」
HALOはネスレやマースなどの大手傘下ではない、今時貴重な独立系のフードメーカーです。
それだけが理由ではないですが、ニコニヤの非常用フードとして私が利用するブランドの一つでもあります。
アメリカではHALOと言えば、コメディアンで女優のエレン・デジェネレスがオーナーだというイメージが強い会社です。
エレンは動物福祉の活動家でもあり、ヴィーガンであることでも知られています。
オーナーと言っても実際に経営に携わっているのではなく、出資者に名を連ねているのみですが
このフードが現在の地位を確立するのに、エレンの名が果たした役割は大きいものでした。
メーカーとしてのこだわりは「ミール」と「遺伝子組み換え食品」の不使用を徹底している点です。
思えば10年以上前にHALOがミール不使用をうたっていたことが、私がフードの原材料読みにハマったきっかけでした。
でも何度も書いていますが、私はミール使用のフードの全てを否定するつもりはありません。
ミールについて書いた過去の記事を、一番下に貼っておきますのでよかったらご参照ください。
それでは原材料を見て行きましょう。
色々種類があるのですが、ここではチキンを取り上げます。
平飼いチキン正肉、チキンレバー、全卵、エンドウ豆、エン麦、精白麦、エンドウ豆タンパク
濃縮大豆タンパク、鶏脂、亜麻仁(オメガ6脂肪酸・オメガ3脂肪酸源)、エンドウ豆繊維
サーモンオイル、ナチュラルフレーバー(加工醸造酵母)、
バチルス・コアグランス発酵産物(バイオジェニックス)
ブルーベリー、クランベリー、ニンジン、サツマイモ、海洋微細藻類、イヌリン、タウリン
ミックストコフェロール(酸化防止剤)、L-カルニチン
ビタミン類(A、D3、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)
ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、クロライド、カリウム、亜鉛タンパク質キレート、
鉄タンパク質キレート、銅タンパク質キレート、マンガンタンパク質キレート、セレン、ヨウ素)
まず一番最初に挙がっているのがチキン正肉というのは良い点ですね。
平飼いと書かれていますが、HALOのフードは自然に近い環境で抗生物質や成長ホルモン不使用で育てられた動物の肉を
原材料として使用していることがセールスポイントの一つですので、これは本当です。
(オーガニックではありません。)
次にチキンレバー。犬がビタミンやミネラルを摂取するのに最も効率が良いのは内臓肉です。
レバー(肝臓)は解毒器官でもあるので、その動物が何を食べているかは重要な点ですが
このフードでは抗生物質不使用の鶏が使用されているのも良い点です。
全卵と書かれているのは、英語の表記ではドライドエッグプロダクト。
乾燥して粉末状になった卵ですので、水分がない分高タンパク質になります。殻は含まれません。
最初の2つの原材料が生の状態での重量がベースになっているので、調理後に水分が飛んだ状態では
タンパク質源として少ないかもしれない点を、補っているとも言えます。
エンドウ豆、炭水化物とタンパク質両方のソースとして使用されます。
食物繊維も豊富なため、血糖値の上昇が緩やかな低GIの炭水化物源でもあります。
あの緑色はβカロチン、他にビタミンB1B2も含みます。
エン麦 オーツ麦とも呼ばれます。
炭水化物減ですが食物繊維が豊富で低GI。ビタミンB群やミネラル類も豊富に含みます。
精白麦 正確には精白大麦です。
麦というと小麦と混同するおそれがあるので、これはちょっと残念な表記。
大麦は小麦よりもずっとグルテンが少ないので、犬のお腹には優しいものです。
エン麦同様に食物繊維、ビタミンミネラル類を豊富に含みます。
エンドウ豆タンパクはその名の通り、エンドウ豆からタンパク質だけを分離させたもの。
濃縮大豆タンパクは油を搾った後の大豆を乾燥させて粉末に挽き、炭水化物を取り除いて
タンパク質だけにしたものです。
この2つは、先にも書いたように水分量の多いチキンとレバーのタンパク質を補う役目です。
他のフードでは、この役目はミールが担うことが多いですね。
鶏脂 ここでは書かれていませんがミックストコフェロール(ビタミンE)で酸化防止がされています。
風味付の意味もあるかと思いますが、必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸の供給源でもあります。
亜麻仁 フラックスシード とも言います。
この名前が出るたびに書いていますが、オメガ3と6をバランス良く含みますが
亜麻仁のオメガ3は体内で活用するには変換が必要で、利用率はたいへん低いものです。
犬のオメガ3脂肪酸の供給源としてはあまり期待できません。
しかし食物繊維が豊富で、抗酸化物質なども含むので決して無駄な原材料ではありません。
エンドウ豆繊維 これは食物繊維のソースとしてと言うより、フードのつなぎの役目の意味が大きいと思います。
ナチュラルフレーバー(加工醸造酵母)
醸造酵母というのは食品の醸造のために使われる酵母。(ビール醸造に使うビール酵母などが代表的)
どんな加工をしているのか不明なのですが、英語では単にナチュラルフレーバーと表記されているので
ポイントはフードによく使われるタンパク加水分解物ではなく酵母由来のものを風味付に使っているという点でしょう。
バチルス・コアグランス発酵産物(バイオジェニックス)
また聞き慣れない名前が出てきましたね😅 一見するとプロバイオティクスか?と思いますが
わざわざカッコ書きしてあるように、これはバイオジェニックスなんですね。
体内の環境を整える機能のある食品はプロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェニックスの3つに分けられます。
おなじみプロバイオティクスは腸内環境を整える細菌や酵母またはそれらを含む食品です。
一文字違いのプレバイオティクスは、腸内で細菌のエサとなるなどして腸内環境を整える食品です。
そしてバイオジェニックス!これは腸内の細菌たちを介してではなく、直接体に作用する食品の成分です。
大雑把に言えば、上記のプロ&プレバイオティクス以外の「体に働きかける機能を持つ食品成分」
血圧を下げるとか、整腸作用とか、免疫力を上げるなどと言った諸々です。
で、このバチルス・コアグランス発酵産物なんですが、バチルス・コアグランスというのは乳酸菌の一種です。
その乳酸菌を含むものを発酵させる過程で発生する副産物に抗菌作用などが期待できるのだそうです。
説明が長かった割に「な〜んだ」という感じですね。すみません。
ブルーベリー、クランベリー、ニンジン、サツマイモ
まとめてすみません。これらは全て抗酸化物質を豊富に含む食品です。
原材料としては全て乾燥品が使用されています。
最後のサツマイモは日本のものとは違うオレンジ色のスイートポテトという品種です。
海洋微細藻類 一見すると昆布や海藻の類かなと思いますが、これは植物性プランクトンの一種です。
漢字で書くと難しげですが、スピルリナやクロレラは代表的な微細藻類です。
このフードに使われているのはゴールデンアルゲーという種類の藻類です。
ビタミン、ミネラル、アミノ酸を含み、犬が利用しやすいオメガ3脂肪酸も含みます。
イヌリンは水溶性食物繊維。代表的なプレバイオティクスの一つです。
タウリン アミノ酸の一種で、犬の場合は他の必須アミノ酸から体内で合成することができます。
この製品は必須アミノ酸を全て含む肉類や卵も多く使われているし、あまり必要ないのでは?と思うのですが。
心臓や視神経の働きに欠かせない成分でもあります。
酸化防止剤として使用されているミックストコフェロールは天然由来の酸化防止剤の代表的なものです。
ビタミンEは4種類のトコフェロールとその他の抗酸化物質によって構成されています。
ミックストコフェロールというのは、この4種類のトコフェロールという意味です。
L-カルニチン タウリンと同様に心臓サポートの成分としてよく知られています。
カルニチン自体はアミノ酸ではないのですが、他の必須アミノ酸から体内で合成されます。
心筋の収縮や脂肪の代謝をサポートします。
最後のミネラル類は、タンパク質と結合させて吸収されやすい加工が施されているものです。
「それで、おかーさんはこのフードをどう思うの?」
良いフードだと思います。企業としての姿勢がはっきりしていて曖昧な点が見当たらない。
ただし、今回取り上げたアダルト向けにはオメガ3の供給源が亜麻仁だけで、十分とは言えません。
微細藻類にもオメガ3脂肪酸は含まれますが、原材料としての使用量が少ないので供給源と言えるほどではない。
他のパピー用やエイジングケアの製品ではサーモンオイルが使用されているのですが
この点は改善されればいいのになあと思うところです。
アダルト向けチキンを利用される場合には、フィッシュオイル などをプラスすることをお勧めします。
サーモンを使った製品もあるので、こちらはパピーやエイジングケア以外の犬にもお勧め。
価格はかなり高い部類のフードですが、原材料へのこだわりを見ると納得の行くところです。
私にとってはハーブ類が使われていないのも、自分で必要なハーブをプラスしやすいので
使い勝手の良さを感じます。
《参照リンク》