ドッグフード原材料シリーズ、8回目です。
今回はメジャーなブランド、ニュートロを取り上げました。
そもそも最初にこの原材料シリーズをやってみようと思った時に頭にあったのは
このニュートロやナチュラルバランスのような、どこででも手に入って
ものすごく高評価ではないけれど、絶対にダメと言うような点もないと言うフードでした。
どんなに愛犬を大切に思っていても、全ての人が2kgで6〜7千円するフードを買えるわけじゃない。
できる範囲の最善の中で選ぶのに、原材料は何なのかいっしょに見ていくお手伝いができるかな、というのが動機の一つでした。
「おかーさん、意外と考えてたのね!」
まあね。
そんなわけで、今回はシリーズ原点とも言える回です。
ニュートロは種類がたくさんあるので代表的な「ナチュラルチョイス チキン&玄米」を取り上げます。
2022年9月9日追記
原材料が一部変更されているので、追記しました。
横線を入れた原材料は使用されなくなっています。
チキン(肉)、玄米、モロコシ、粗挽き米、チキンミール、エンドウマメ、
鶏脂、大麦、ラムミール、オートミール、米糠、サツマイモ、タンパク加水分解物、
ビートパルプ、亜麻仁、リンゴ、ブルーベリー、ニンジン、
チアシード、ココナッツ、トマト、乾燥卵、パンプキン、ケール、ホウレンソウ
マリーゴールド抽出物、
ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、イノシトール、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)
ミネラル類(カリウム、クロライド、セレン、ナトリウム、マンガン、亜鉛、鉄、銅)
アミノ酸類(タウリン、メチオニン)
酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、クエン酸)
チキン(肉)、玄米、モロコシ、粗挽き米、チキンミール、エンドウマメ、
オートミール、鶏脂*、タンパク加水分解物、
亜麻仁、ビートパルプ、大麦、チアシード、ココナッツ、トマト、乾燥卵、パンプキン、ケール、ホウレンソウ、
ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、ミネラル類(カリウム、クロライド、セレン、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、亜鉛、鉄、銅)、アミノ酸類(メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、クエン酸) *ミックストコフェロールで保存
一番最初の原材料は生のチキンですね。重量で多く含まれるものから順番に記載されます。
けれども生の食材は水分を多く含むため、調理後はグッとカサが減ります。
なのでこのフードの実質のタンパク源は次のチキンミールだと言えます。
変更後は生のチキンとチキンミールの間に玄米、モロコシ(以前はなかった)粗挽き米が来てチキンミールは5番目になっています。
チキンミールは、鶏の肉・皮・骨を加熱して脂を搾り、乾燥させて挽いたものです。
水分を飛ばしているのでタンパク質が凝縮された形で含まれます。
エンドウマメは良質な炭水化物と植物性タンパク質、食物繊維も多く含みます。
玄米、製品名になっている原料なので、穀類の中では一番最初に出て来ていますね。
玄米の食物繊維はほとんどが不溶性で水溶性食物繊維はわずかです。
犬にとっては消化が良くないのですが、血糖値の急激な上昇を抑える働きはあります。
またミネラル類やビタミンB群が豊富です。
新しく追加されたモロコシ(トウモロコシ)。
ニュートロのフードはアメリカとは商品名が同じでも内容が違っていて比較ができません。
アメリカの製品にはトウモロコシは使われていないので、このトウモロコシの形態がわかりません。
推測するに、たぶんトウモロコシを粉に挽いたものだと思うので、その前提で書きます。
トウモロコシは水溶性と不溶性両方の食物繊維、タンパク質、抗酸化物質を豊富に含みます。
決して粗悪な原材料ではないのですが、タンパク質を構成するアミノ酸のうち犬にとって必要な一部が欠けていること、
消化の悪さ、ペットフードに使われるのは副産物が多いことから悪印象がついています。
この製品ではチキンミールよりも多くの重量のトウモロコシ粉が含まれています。
以前は使われていたラムミールがなくなってトウモロコシになっているのはグレードダウンと言えます。
栄養的には他の添加物などで調整されているので心配はないのですが、まあちょっと...ですね😅
粗挽き米というのは、精米や保管の際に割れたり欠けたりした白米です。
粗挽きと言うと製品のためにわざわざ挽いたみたいですが、違うんですよ。
栄養成分はほぼ炭水化物のみです。
鶏脂、チキンミールの説明で「脂を搾り」と書きましたが、そういう風に作られたのが鶏脂です。
酸化防止にはミックストコフェロール(ビタミンE)が使われています。
大麦、スーパーのお米売り場で「押し麦」という名で売られているぺったんこの麦がありますよね。
あれが大麦です。麦ご飯などに使われますね。栄養価も高く、食物繊維も豊富です。
小麦グルテンとは違うタイプのグルテンを含みます。
小麦にアレルギーがある場合、大麦にも反応する場合があるのでご注意ください。
ラムミール、羊肉のミールです。肉、骨、脂肪を加熱して脂を搾り、乾燥させて挽いたものです。
チキンミール同様にタンパク質が凝縮して含まれます。
オートミール、オート麦(エン麦)を調理加工したものです。ビタミンB群やミネラル類、食物繊維を多く含みます。
これも小麦とは違うタイプのタンパク質を含みます。
米糠はビタミンB群やミネラルなどの栄養と食物繊維を多く含みます。
油分も多いので酸化しやすいのが注意点。
サツマイモ、この製品は米国産なので日本のサツマイモと違う、オレンジ色のスイートポテトと呼ばれる芋を乾燥させたものが使われています。
ベータカロテンや食物繊維が豊富です。
タンパク加水分解物、植物性または動物性のタンパク源を塩酸または酵素で分解してアミノ酸加工物にしたもので旨味の元です。
植物性の場合は油を搾った後の大豆やトウモロコシ、動物性の場合は食肉の副産物が多く使われます。
塩酸よりも酵素の方が安全性が高いのですが、コストの安さで塩酸を使った方法も多く使われています。
ドッグフードでは食いつきを良くするために、製品の最後の段階で吹き付けられることが多いです。
ちなみに英語での表記はナチュラルフレーバー。
今まで他の製品で出て来たナチュラルフレーバーと書かれてたのは全部これだったんじゃないの?と今更気づきました。すみません。
ビートパルプ、ビート(砂糖大根)から砂糖を採るために搾った後の残りです。
水溶性と不溶性の食物繊維の両方を含みます。
亜麻仁、フラックスシード とも言いますね。
必須脂肪酸であるオメガ3とオメガ6脂肪酸、抗酸化物質のリグナンやミネラル類も含みます。
ただし植物性のオメガ3脂肪酸は体内でうまく活用できない犬も多いので、オメガ3の摂取源としては心もとないです。
りんご、ブルーベリー、にんじん、おなじみの野菜や果物で抗酸化物質が豊富です。
ここで使われているのは全て乾燥させたものです。
チアシードはシソ科の植物チアの種子です。
ビタミンB群、ミネラル類、水溶性と不溶性の食物繊維を豊富に含みます。
オメガ3脂肪酸のアルファリノレン酸を多く含みますが、亜麻仁の場合と同様に
アルファリノレン酸は犬の体内ではうまく活用されません。
ココナッツはグルテンを含まない炭水化物源としてペットフードに使われることが増えています。
ココナッツオイルで話題になったラウリン酸はココナッツにも含まれ、強い抗酸化力を持ちます。
トマトと書かれていますが、これはまず間違いなくトマトポマースだと思います。
トマトポマースとはジュースなどを搾った後に残った繊維で水溶性と不溶性両方を含みます。
また抗酸化物質であるリコピンも多く含みます。
乾燥卵は殻を除いた全卵を乾燥させて粉末状にしたもので、良質のタンパク質です。
パンプキンはオレンジ色のペポかぼちゃです。βカロチンを多く含みます。
ケールは青汁の材料としてよく知られるアブラナ科の野菜です。βカロチン、ミネラル類を多く含みます。
ホウレンソウはお馴染みの野菜ですね。βカロチンとミネラルが豊富です。
この3つの野菜は多分乾燥して細かく粉末状になったミックスだと思います。
マリーゴールド抽出物は、ルテインという名で人間用の目のためのサプリメントとして販売されているものです。
強い抗酸化作用と抗炎症作用があるので、健康と製品の品質保持の両方のために使われます。
ビタミン類は書いてある通りですね。
ミネラル類は、アメリカの原材料一覧では吸収を高めるアミノ酸キレート加工をしていることなども書いてあります。
良い品質の物を使ってるんだから書けばいいのにね。
アミノ酸類のタウリンとメチオニン、これは大切なポイントです。
メチオニンは必須アミノ酸のひとつで、肉類に含まれているのですが、
高温調理などで吸収されにくい形になってしまいがちです。
メチオニンはタウリンを合成するためにも必要なので、こうして添加して補給しています。
タウリンは必須アミノ酸のメチオニンとシステインから体内で合成されます。
心臓の働きをサポートしたり、目の網膜や生殖に関連する重要なアミノ酸です。
この製品は、エンドウマメ、玄米、大麦、オートミール、米糠、サツマイモ、ビートパルプ、亜麻仁など食物繊維が多く含まれます。
便通や腸内細菌のエサとして食物繊維は必要ですが、一方でミネラルやアミノ酸の吸収を妨げる働きもあります。
ですからこうしてアミノ酸が補給されていると安心です。
最後の酸化防止剤3つは、おなじみの天然素材の保存料です。
ミックストコフェロールはビタミンE、ローズマリー抽出物はハーブエキスと、安全性の高いものです。
ただクエン酸が使われているので、このフードに水やスープをかけて与えることはお勧めしません。
米国パーデュー大学が行なった大規模な胃拡張/胃捻転の長期リサーチで、
クエン酸の入ったフードに水分をプラスして与えていた場合はリスク増加要因になっていたからです。
このリサーチは統計なので、そういう風にすると病気になったという結果だけで因果関係はわかっていません。
「ふーん。で、このフードはどうなの?」
全体的に見て、「これだけは避けたい」と言うような原材料は使われていないし、この価格帯では良心的に作られたフードだと思います。
先にも書いたように、オメガ3の補給源が弱いのでフィッシュオイル をプラスすることをお勧めします。
また週末など時間がある時だけでも良いので、少量のお肉や魚を茹でてトッピングすると、犬にとって吸収のしやすいアミノ酸の補給になります。
全体的にシンプルなレシピなので、季節の野菜、果物、ハーブをトッピングしたり、ヨーグルトを少し乗せたりなどの工夫もしやすいですね。
ニュートロは他にシュプレモやワイルドレシピなどのラインがありますが、
タンパク源にバリエーションがあることと、少し野菜などの材料が多いくらいで大きくは変わりません。
いずれも一番最初に生の肉が記載されていますが、2番手のミール類が実質のタンパク源であることも同じ。
シュプレモにはサーモンミール、ワイルドレシピにはフィッシュミールが使われています。
このフードはアメリカ産なので、以前に書いたようにフィッシュミールには合成酸化防止剤が使われている可能性にはご注意ください。
バードック、ネトル、クリーバーズなどのハーブをプラスすることで合成酸化防止っ剤を分解する肝臓のサポートができます。
フードをローテーションする場合、ニュートロ同士では重なる部分が多いので、他のブランドを混ぜることをお勧めします。
2022年9月9日追記
原材料変更はコスト削減の色合いが強いものですが、品質が低下したようには思いません。