ちょっと間が空いてしまって恐縮ですが、ドッグフード原材料シリーズ12回目です。
今回はここでは初めての国産フード「吉岡油糧」です。

「おかーさん、フードのお話サボってた〜」
この会社のフードはちょっと変わっていて、基本的にはオーダーメイドなんですね。
愛犬の好みや体質に合わせて、原材料やフードの形状を選べるようになっています。
そのため、公式サイトにはフードの原材料一覧が記載されていません。
探してみたらアマゾンで購入できるフードがあり、これは原材料一覧が記載されていたので
ここで取り上げるのは、そのアマゾンで販売されている成犬用5種肉フードの原材料です。
原材料一覧は以下の通り
馬、豚、牛、魚、鶏、うるち米、大豆ミール、えん麦、大麦、鰹節、ポテト、ライ麦、黒大豆、
胡麻油、昆布、小麦、リノール酸、ビール酵母、果肉(糖質除く)、オメガ3脂肪酸、
ビタミン類(A・E・K・B1・B2・B6・B12・葉酸・ビオチン・コリン・C・D-パントテン酸カルシウム)
ミネラル類(Ca・リン・Mg・鉄・亜鉛・マンガン・銅・ヨウ素・コバルト)
最初からなんだかちょっとスゴイですね。
馬、豚、牛、魚、鶏と確かに5種肉です。
人間が食べるグレードの生の原材料を使っていると公式サイトに記載がありましたので
原材料としての質は良いものだと思います。
できれば魚の種類を記載して欲しいところです。せめて白身魚なのか青物なのか、とかね。
アレルギーのある個体では重要な情報なので。
2番目のうるち米、私たちが食べるご飯のお米ですね。
穀類の中ではグルテンを含まないし、犬には比較的消化しやすい炭水化物です。
大豆ミールは食用油を搾った後の残りの部分を乾燥させて挽いたものです。
タンパク質が豊富で食品の原材料や飼料に多く使われます。食物繊維も豊富です。
えん麦はオート麦とも呼ばれるものです。オートミールはえん麦の加工品です。
炭水化物源ですがビタミンB群やミネラルが豊富で、食物繊維を多く含むので穀類の中では低GI(血糖値が急激に上がらない)です。
グルテン不耐性や小麦にアレルギーのある場合もほとんどの場合大丈夫で(絶対ではない)穀類の中では犬にもメリットの多い食材です。
大麦、人間が麦ごはんとして食べるのが大麦です。これも食物繊維が豊富なので、低GIです。
鰹節、これはドッグフードの原料としては珍しいですね。
カツオは栄養価の高い魚で、乾物である鰹節はタンパク質も豊富です。
ただオメガ3脂肪酸については加工の段階で失われていると思われるので、これは期待できません。
またタウリンが豊富なことも鰹節の魅力の一つです。
ポテト、日本でポテトと言えば多分ジャガイモのことですね。
ライ麦、穀類の中でもライ麦が使われているドッグフードは珍しいですね。
えん麦のようにビタミンB群やミネラルを多く含み、食物繊維も豊富なので低GIです。
グルテンを含まないのも特徴です。
黒大豆、お正月に食べる黒豆が黒大豆です。
大豆同様にタンパク質が豊富な他、黒い色はアントシアニンという抗酸化物質です。
食物繊維も豊富です。
胡麻油はオレイン酸とリノール酸を多く含むオイルです。
オレイン酸はオリーブオイルや鶏肉にも多く含まれるオメガ9系脂肪酸です。
必須脂肪酸ではないのですが、コレステロールを正常に保つサポートをします。
リノール酸は代表的なオメガ6系脂肪酸です。必須脂肪酸なので必ず食品から摂る必要があります。
昆布はヨウ素を摂取するのに欠かせません。他の微量元素も豊富な食品です。
小麦はドッグフードでは炭水化物源ですが、小麦グルテンは犬にとっては消化しにくいタンパク質なので注意が必要です。
リノール酸。これ、ちょっとよくわからないのですがリノール酸というのは各種オイルの成分の一つであって
原材料として「リノール酸」と言われても何が入っているのかがわからないんですね。
多分、ひまわり油などのリノール酸豊富なオイルのことだと思うのですが
それならそう書いた方が良いと思うんですけれどねえ。
それに先に胡麻油が原材料として挙げられているので、必要か?という疑問もあります。
ビール酵母、エビオス錠などでおなじみの名前ですね。
ビールを発酵させる時に使われる酵母なのでこう呼ばれています。
アミノ酸やビタミンB群が豊富で腸内環境を整える働きもあります。
果肉(糖質除く)うーん、これも謎😅 何の果肉?糖質除くというのもどういう加工なんだろう?
オメガ3脂肪酸、これもリノール酸同様に成分の名前であって原材料とは言えないんですね。
多分フィッシュオイル だろうとは思うのですが、もしかしたら亜麻仁かもしれないし...。
ビタミン類とミネラル類、できればミネラル類について吸収しやすい加工がされているのかどうか記載があるとありがたいですね。
それとミネラルの一つセレンが入っていないんですね。
セレンは抗酸化作用の強いミネラルで、できればフードには入っていて欲しいものです。

「で?全体にどんな感じなの?」
全体的に見ての印象は、穀類が多い!というのが一番最初に感じることです。
米、えん麦、大麦、ライ麦、小麦、そして穀類ではないけれどポテト、
率直に言って「なんでそこまで?」という気はします。
本来はオーダーメイドなので、この中からチョイスして注文するのかもしれませんが
えん麦やライ麦のチョイスがあるなら、メリットよりもリスクの高い小麦は選択肢としても要らないと思うし
小麦と同じ反応が出やすい大麦も必要ないんじゃないかなあというのが私の感想。
それから食物繊維の多い原材料が多いのも特徴ですね。
このフードについては情報が少ないので、検索して出てきた他の情報も読んでいたのですが
「ものすごくオナラが出る」「軟便になった」という口コミが多いようでした。
えん麦やライ麦、大豆ミールに黒大豆とこれだけ食物繊維を摂ればオナラや軟便も不思議ではないと思います。
それから防腐剤や酸化防止剤を使っていないのがセールスポイントなのですが
ミックストコフェロール(ビタミンE)やハーブエキスなどの天然素材の酸化防止剤も使われていないのはちょっと心配です。
オーダーメイドで製造してすぐに発送するので必要ないのかもしれませんが
それでも最低1ヶ月は常温保存するものなので、何かしらの酸化防止剤は欲しいところです。
オーダーメイドで注文を受けてから作り、作ったものはすぐに発送というのはとても素晴らしいサービスで
メーカーとして真摯に作っていらっしゃるのだろうなあという姿勢は感じます。
けれど残念なことに、原材料表記が分かりにくいことできちんと伝わらない部分があるように思います。
アマゾン取り扱い製品では他に馬肉フードや牛肉フードもあるのですが、
どちらも原材料に「豚肉他」と書かれていて実際に何の肉が使われているのか正確に分からないという部分もあります。
せっかくのプレミアムフードなのに、これは大変勿体無い気がします。

「また文句言ってるね」
文句じゃないよ。せっかく作ったのに伝わらないともったいないじゃない。
もし吉岡油糧のフードを利用してみたいと思われる方は、オーダーメイドでタンパク質をある程度限定して
穀類や大豆関連も減らしてはどうかな?と思います。
その上で、粗タンパクがこの製品と同じ21%(低め)なら肉類や卵などのトッピングがオススメです。
確かに明確な材料の表記がないのは不安さえ感じてしまうところがありますね。
最初に注文し始めたのがもう15、6年前くらいになると思うので記憶が曖昧なのですが、普通のスーパーで売られているフードに不安を覚え、ネットで調べてたどり着いたのが吉岡油糧でした。
確か、人間も食べられる新鮮で安心なお肉を使用している・・・ていうが決め手だったと思います。
匂いも悪くなかったので、前の2匹のフードでずっと利用していました。
大丈夫?って思うところもあるけれど、まあまあ安心しました。
良くないフードを与え続けてたとしたら申し訳ないですから。
ネットで調べて最初にたどり着いたのが吉岡油糧のフードでした。
アメリカからは買えないので利用することはなかったのですが
こんな風に犬のことを考えて作っているメーカーもあるんだなあと思ったのを覚えています。
ぽん太君も小町ちゃんも、綺麗な毛艶で長生きだったので
フードも体に合っていて良かったのだと思います。
ここで私が書いている説明は、初めて買う人でも分かると言う目線で書いているので
「はっきり書いてもらわないと分からない!」と言っていますが
企業の姿勢がきちんとしていることは伝わってきますし
何と言ってもぽんこまさんの深い深い愛情はよーく存じ上げていますから!
元利用者として補足できることがあるとすれば、このメーカーはお客様窓口のサービスがきめ細かくて、登録利用者の問い合わせには丁寧に応じてもらえます。
以前、使用している魚の種類に変更があるということで、注文後に連絡をいただきました。具体的に何に変更したということも説明があり、納得していただけたら生産に入りますという話でしたよ。
あとは目やにの多い時や、軟便傾向の時に窓口に連絡をして、配合を工夫してもらったこともありました。
この時は具体的な原材料の配合についてはお話がありませんでした。対応できる症状は3種類まで、と言われた記憶があります (目、胃腸、免疫など)。
うちのワンコは推定13~14歳になって腎不全の症状が出てきたので、吉岡からHappy Dog SanoNに変更したため、今は使用していませんが・・ご参考になれば (^^)
これはどのメーカーにも言え事なのかも知れませんが 表示と実態は合っているのでしょうか。
この点は あがさんがお詳しいと思いますので教えて頂きたいのですが
アメリカ やカナダのフードメーカーは 法に違反しない範囲の原材料を使用してフードを作り フード表示もその様になっているのだと思っています。
いわゆるプレミアムフードは 例えば 人の食べる食材と同じという事であれば その様な原材料を使用していると思っています。
しかし 例えば 規制の緩い 第三者の目の届き難い 日本では 原材料や添加物などの表示と実態が合っていると信じて良いものなのでしょうか。
フード全般についてなのですが 私たち普通の消費者は確かめるすべが 無いので その様なリスクのありそうなフードは避けた方が安心だと思っています。
使用していらした方のご意見はありがたいです。
利用者の問い合わせに丁寧に応じてくれると言うのは信用ポイントが高い点ですね。
オーダーメイドということもあり、実際に購入すると原材料を見ているだけの時とは違うのだろうと思いましたが
やっぱり実際に注文するときめ細かい対応をしていらっしゃるんですね。
体調に合わせた配合というのも心強いですね。
大変参考になりました。どうもありがとうございます。
・saabさん
本文では「原材料一覧から分かること」を大前提としているので、
評判については書いていませんが確かに口コミなどは賛否両論あるようですね。
私がこの会社に感じた印象は「マーケティングが下手で勿体無い」ということです。
色々な手法が90年代のやり方なんですね。率直に言って古い。
それは製品の質とはまた別のことですが、残念だなあと感じたところです。
カナダのドッグフードの法律については詳しくないのですが
アメリカで販売されているものはアメリカの法に則っているのでそれを前提にしますと
確かに法で規制されている範囲がきっちりしているのでありがたい部分は大きいです。
でもそれが実態と合っているかというとアメリカのメーカーも怪しい部分は多いですね。
科学者がフードをDNA解析してみたら、表示と違う肉が発見されたという発表もありましたし
先日のヒルズ他数社のビタミンD過剰混入問題やピュリナの謎の死亡事故多発、
安楽死に使われる麻酔薬が混入していた例などたくさんあります。
日本のペットフード安全法がまだまだ穴だらけで、そのために表示が緩いのはおっしゃる通りです。
それでもある程度の知識をつけて原材料の表示の意味がわかるようになれば
「これは規制のゆるい部分を利用した書き方だな」とか
「キャッチフレーズは良いこと言ってるけど実際は違うな」という事が
感覚的にわかるようになると思います。
このシリーズを始めたのには、そういうお手伝いができればという気持ちもあります。
確かめるすべがないので、リスクのありそうなフードは避けるというのもおっしゃる通りです。
私は生産国は問わず、どんなフードでもメーカーの言う事は鵜呑みにはしないことにしています。
とても曖昧な言い方で恐縮ですが、最後は自分の嗅覚を信じることに行き着きました。
ヨダレ焼けが減るといわれるフードは、低タンパクで穀物の割合が高いものが多いように感じます。アレルギーではないのに、魚メインのフードに変えて改善したという話もよく伺います。
ヨダレ焼けや涙焼けそのものはポルフィリンという色素によるものなのだそうですが、肉の摂取量と何か関係があるのでしょうか?
そうなんですよ、まずは購入予定者への情報開示をしないと勿体無いと思うんですよねえ。
ポルフィリンと肉の摂取量についての関係は資料が見つからなかったのですが
よだれ焼けや涙やけはポルフィリンに含まれるヘム鉄の色だと言うことなので
もしかしたら肉の摂取量と関係があるのかもしれませんね。
なんだか曖昧なことですみません。
ちょっと気をつけて色々見ておきます。
涙焼けやヨダレ焼けに悩む飼い主さんは多いですが、原因や対処法についてはあまりはっきりしていないのが現状です。ポルフィリンやヘム鉄と食事の関連性についても日本語ではあまり情報が得られなくて…。ひどいアレルギーによるものでない限り、正常な反応なのかもしれませんね。
ドッグフード解析シリーズ、とても参考になります。これからも楽しみにしておりますね!
おっしゃる通り、原因も対処法もまだよく分かっていないと書かれていました。
変色がポルフィリンによるものだけで酵母菌が繁殖していない限り、気にしなくて良いという意見も複数ありました。
うちの犬たちがコートの色が濃いので、気にしたことがなかったのですが
調べてみると面白そうな気がします。興味深い話題をありがとうございました。