タイムラプスいろいろ

タイムラプス映像への飽くなき追求


タイムラプス・フォトグラファー 岡 浩一郎
www.skypix.jp

RICHO Theta Sを使う(1) WiFi物理シャッター・レリーズ

2016年03月14日 | 日記

撮影の仕事でRICHOのTheta Sに出逢ってから、すっかりこの特殊なカメラにはまってしまいました。 

所詮全周魚眼レンズを付けたカメラを2台背中合わせにしただけのものではありますが、360度全球画像が簡単に創り出せるとあっては、征服する事無しに通り過ぎる事はできません。(笑)

もちろん、撮影するのはタイムラプス映像です。 それもモーションを付けたモーション・タイムラプス映像です。 最初はどうやったらどんなものができるのかイメージが全く湧かなかったのですが、こう言う時こそもしかしたら凄い事が起きるかもしれないと期待感が膨らむと言うものです。 行動あるのみです。

色々実際の撮影を考えると数々の障壁がある事に気づきます。 まずはシャッターをどう切るかです。

もちろんスマホに専用アプリをインストールすれば、スマホの画面のボタンをタップするとWiFiでシャッターを切る事ができます。 また、Thetaはインターバル撮影の機能もあります。

三脚に固定して撮影するならそれも良いでしょうが、ドーリーを使って動かすとなると、スロー・シャッターが必要となる夜景や星空の撮影ではSMS(STOP-MOTION-STOP)動作ができなくてはブレてしまい、まともな映像にはなりません。 一眼レフカメラを使ったモーション・タイムラプス映像の撮影と同じです。 ドーリーのエンジンのレリーズ端子に出てくるON/OFF信号でシャッターが切れなければなりません。 早い話が、スマホのアプリのボタンをスマホの充電端子とかに接続したレリーズ・ケーブルで押すことができれば簡単なんですがね。

実は、仕事で撮影をした時には、制作会社のエンジニアの方がシステムを開発して来られました。 エンジンからのレリーズ・ケーブルからの信号をArduinoと言うマイコンでUSB出力に変換して、MAC PCに接続し、開発したソフトで色々設定や操作ができるようにし、MAC PCのWifiでThetaのシャッターを切ると言うものでした。 大変安定したシステムで、撮影だけでなく、Thetaの中の保存した画像の閲覧やダウンロードも出来る大変良くできたソフトです。 

Arduinoのスケッチ(プログラム)とMACのソフトのコピーを頂戴したので、Arduinoでインターフェース(写真の黒いケースの中に入っています)を製作し、使ってみました。 動作は大変安定しています。

しかし、この方法には決定的な問題がありました。 ドーリーのエンジンの近くにパソコンなど仕掛けを一式設置しなければならないと言う事です。  これはThetaのほぼ真下に設置すると言う事で、これでは360度カメラにかなり写りこんでしまいNGです。 このシステムを使った時は、レールモーターのケーブルを20m延長し、エンジンをスタジオのセットの外に置いて操作したので問題ありませんでした。

やはりパソコンを使わない単純な小型のWiFi物理シャッター・レリーズが必要です。

ネットを調べてみると、色々挑戦されている方がおられました。

最初に目に付いたのは、ESP8266と言うWiFiマイコン・チップを使った方法でした。

これが、ESP8266開発ボードを使って製作したリモコンです。 (プログラムも公開されていますので書き込んでおきます)

 

 ピンジャックにエンジンからのレリーズ・ケーブルを接続すると、WiFiでThetaのシャッターは切れました。 これはいい!と喜んだのですが、8秒以上インターバルを置いても10数回シャッターを切っているとWiFiが切断されてしまうことがわかりました。 おそらく製作者は普通の方はそんなに連続撮影する事がないので困らなかった(分からなかった)のだと思います。

弄繰り回してボードを壊したのかも知れず、念の為、新たにESP8266を購入し、今度はフレッド・ボードの上で実験してみました。

 

 結果は全く同じ! 10数回も連続撮影するとWiFiが切れてしまいます。 ESP8266が悪いと言うよりか、おそらくプログラムに問題があるのかもしれません。

 そこで次に試したのが、PQI Air Penと言うWiFiルーター兼ストーレッジと言う大変便利な小物を利用する方法でした。

これはストーレッジに使用するSDカードにプログラムをコピーして置くだけで(最初に一度だけPCと接続して設定とかが必要ですが)、電源を入れるとThetaとWiFiが繋がり、横の小さなボタンを押すと(この物理スイッチを動かすと言う所がポイントです)Thetaのシャッターが切れると言う物です。

最初に開発した方は、ThetaとTheta m15でしか動作しないプログラムを公開されていたので、全く違った言語で動いているTheta Sでは動作せず、困ったなぁと思っていたら、一生懸命やってくださる方はいる物です。

Theta S用に、プログラムの修正箇所と修正すべき内容を公開して下さっていました。 早速PQI Air Pen(数千円で買えます)を購入して試してみたらあっけなく成功! しかもいくら連続撮影してもWiFiが切れる事はありません。

ただ、WiFiの到達距離は見通し数mと短いようですが、もとよりエンジンの隣で、つまりThetaのすぐ下で使うものなので問題ありません。

あとは、スイッチの接点からリード線を取り出すだけです。 買ったばかりのAir Penを惜しげもなくばらしました。(笑)

 

スイッチが小さいこと! 端子に半田付けは到底不可能でしたので、思い切ってペンチでスイッチをつぶして破壊! なんとかスイッチの接点を出して、そこに無理矢理半田付けしました。 うまく行きましたが、もう一度やって成功するかどうかは自信ありません(笑)

これが完成品?です。 たったこんな小さな物でTheta Sとドーリーのエンジンのレリーズ動作を連動できるようになりました。

現在これを使ってThea Sでモーション・タイムラプスの撮影を始めています。

 

なお、スロー・シャッターを必要とするモーション・タイムラプスであっても、この様なレリーズ連動システムなしに撮影する事は可能です。 Theta内蔵のインターバル・タイマーを使い撮影を開始し、モーションを与えるドーリー(あるいはローテーター)のエンジン(コントローラー)にも同じインターバル・タイムを設定し、Thetaのインターバル・タイムの真ん中あたりで運転を開始すれば可能です。 Thetaとドーリーが同じインターバル・タイムでタイミングがずれた状態で動作を継続するので、シャッターを開く間にドーリーが動く事はありません。

しかし、そのような方法では、条件(インターバル・タイムなど)を変えるたびにシステムを止めて、スマホでThetaにアクセスして設定変更をして撮影動作を開始し、再びタイミングを見計らってドーリーを動かし始める必要があります。 このレリーズシステムがあれば、エンジン側の設定で如何様にも調整が可能ですし、撮影の中断・再開なども自在です。 必須なシステムではありませんが、あると大変重宝するでしょう。

 

 

 

 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿