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タイムラプス・フォトグラファー 岡 浩一郎
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ミャンマー全国走破5,000Kmの旅 ~絶景を求めて~

2021年02月05日 | 日記

2016年と2017年の2回にわたりミャンマーを訪れてレンタカーでミャンマー全土を合計5,000Km走破してタイムラプス撮影を行いました。 いくつかの編に分けて作品化して公開していましたが、この度それらを1本にまとめて再編集したリメイク版を制作し公開しました。

折しもミャンマーでは軍事クーデターが発生し、2011年にそれまでの軍事独裁政権から民主主義を獲得したばかりでしたが、再び暗黒の軍政に戻ったことは悲しいの一言に尽きます。ミャンマー人の生活は大変貧しいのですが、その敬虔な仏教への崇拝姿勢と生き方の純粋さには心から感銘します。そしてその心の美しさはこの仏教文化に溢れた姿を見て頂ければ必ずやお分かり頂けると思います。こんな今だからこそ、私はそのリメイク版を制作して世界中の人達にミャンマーの素晴らしさを知ってもらおうと思いました。そしてミャンマー人達が平和に暮らせるように願って頂けることを心より祈っています。

 

ミャンマー全国走破5,000Kmの旅 ~絶景を求めて~ A 5,000Km road trip across Myanmar - Looking for the Best Views - from Koichiro Oka on Vimeo.

私が初めてミャンマーを訪れたのは銀行勤務時代、担当国であったミャンマーに出張訪問した軍政時代の2003年でした。私が胸を打たれたのがヤンゴンの駐在員事務所の若いミャンマー人女性行員が、取引先の金融機関に私と同道する合間に立ち寄ってくれた幾つかの寺院ででした。 冷たい石やタイルで覆われた寺院内の床には全員がサンダルを脱いで裸足になって歩きます。彼女は他のミャンマー人がそうするように仏像の前でピタッと前に伏せて上半身をすべて冷たい床にさらすようにしてお祈りを捧げていました。私が感動したのは、すべての寺院の中で彼女は必ずお金を払ってノートに何か書いていたことです。何をしているのか尋ねたら、寄進をしているのだといいます。そして寄進者の名前として両親の名前を寄進帳に記していたのです。 なんと言う美しい心なんでしょうか。

仏教の教えでは生き物は輪廻転生を繰り返します。そしてこの現世で徳を沢山積めば来世で幸せになれると説いています。ミャンマーの人たちはこの教えが体に染みついていて、つねに人に親切で施しを重ねて生きているのです。先進国から来た私にしてみれば、施しをしなければならないのは私の方なのに、そんな彼らが私に対して何でも尽くしてくれようとするのです。

私はミャンマーのほぼ全土をミャンマー人から借りた車で走破しました。北の山岳地帯や中国との国境地帯とか外国人が立ち入れない地域はのぞいて目ぼしい所はすべて訪れました。 ミャンマーは街中だろうと郊外だろうと北だろうと南だろうと、すべて同じです。行き当たるところに寺院や仏像があり、遺跡があり、寺院の拡声器から昼夜問わずお経が流れています。すべてが仏教の世界なのです。

貧しさは日本からは想像できません。田舎の茶店でトイレを借りれば、水たまりのような池の上に張り巡らされた幅30cm余りの板の橋を落ちないようにあるいてたどり着いたトイレの中には便器はなく、ただ穴の開いた床板の下に池が見えます。トイレットペーパーはなく、横においた洗面器の水を手ですくってお尻を洗い、その手をまたその水で洗います。 市場に行くと地面に置いたバケツやタライの中に魚をいれて売っていますが、その魚の表面がよく見えないほど数百匹のハエがうじゃうじゃとたかっているのです。もっともあの気温ではハエがたかってなくても腐っているに違いありません。

普通だったらそんな貧しく不衛生な所に何の魅力も感じるはずないのですが、ミャンマーの仏教世界とそこに住む人々の敬虔な姿とピュアーな心には、それを押しても強く惹き付けられる魅力が溢れているのです。

 



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