タイムラプスいろいろ

タイムラプス映像への飽くなき追求


タイムラプス・フォトグラファー 岡 浩一郎
www.skypix.jp

初めてのタイムラプス(習作)に見る素人の過ち

2019年06月12日 | 日記

私がタイムラプスを始めたのはフィジーに在住していた時で、その時に撮ったタイムラプスの本数が5ヶ月(最後の5ヶ月)で68本になります。

たまたま持ってたCANONの40D(APS-C)とSIGMAの一番安い標準ズームを、フィジーの市場で買ったひょろひょろの三脚に載せて撮影。タイマーだけ日本から送ってもらって始めました。まぁ今からみるととても見られた映像ではなく、ほとんどのシーンが風などの振動しっぱなし。画像処理は明るさとコントラスト調整しかできないフリーソフトを使ってたので、画像処理なしのすっぴんみたいな物でした。

今般その68本を一気に再画像処理をすることにしました。大変な作業量でした。ほとんどのシーンが丸ごとスタビライザーにかける必要がありました。その中から50本あまりを生かすことにして作品にまとめました。一応4Kで仕上がっています。

この作品は、言わば習作集です。この集中して大自然と向かい合った言わば下積みのような機会があったからこそ、その後今の道へ進むことが出来たと思います。これは今日のタイムラプス・フォトグラファーとしての私のルーツを記録した作品であると同時に、懐かしく忘れられないたくさんの思い出が刻まれています。39秒あたりに出てくる白い車(カローラ)が写ってるのが私の住んでいた家です。

 

  

 

さて、改めて当時の撮影したファイルをつぶさに見て気がついた事がありました。言わばとんでもないドジです。当時はまだ日本ではタイムラプスがほとんど広まっていませんでしたから誰も教えてくれる人も書籍もなく、仕方なかったと思います。

 

(1)ISO

まず感度のISOはすべて400で撮影していました。最初はあえて選択したのかな?と思って作業を続けましたが、68本全てのファイルがISO400で撮影されていました。つまり全く気にかけておらずたまたま設定されていた値をずっとそのまま使用していたのだと思います。現在仕事で使っているカメラはNIKONのD850がメインですが、例えD850であってもISOを100より上げる時にはノイズの増加を常に意識して決断します。それをこのような廉価なカメラで設定していたとは考えられないことです。しかも被写体は太陽がギラギラの熱帯地方の景色ですから何を考えていたのでしょう?

 

(2)露出オート

タイムラプスでは露出オートは絶対に使いません。適切な望んだ明暗表現ができなくなるばかりか、光源の変化があった場合は測定誤差による明るさのバラつき(フリッカー)の原因にもなります。また焦点深度が移動したりと、意図しない映像が撮られてしまいます。 RAWファイルの記録を見る限り、どうやら露出オートを使っていたようです。絞りとシャッター速度がひとつのシーンの中でひとつの傾向を持って変化していました。最悪だったのは、P(プログラム・モード)を使用していたようで、明るさに応じてカメラのオート設計に応じてて絞りもシャッター速度も自動選択されたことでした。

この結果明るい被写体が多い中で驚いたのは使われた絞り値でした。ほとんどがF16かF22で撮られていました。絞ると焦点深度は深くなりフォーカス範囲が広がります。また太陽や月に向かって撮影する場合、星型の光芒が広がって独特の絵が作れたりします。後者の場合F22に絞る事はありますが、前者の場合F11を超えて絞り込むと今度は解像度がどんどん劣化して行くと言う問題があります。(つまりどんどん絞って行けば最後はピンホール・カメラになっちゃう訳です) それを無条件に絞れるだけ絞っていたとは・・・

まぶしい熱帯で、ノイズを犠牲にして感度を上げて、その代わり?絞りを絞れるだけ絞って撮っていたことになります。

 タイムラプスの撮影ではISOはできるだけ低く(基本はISO100)、マニュアル露光で、焦点深度が必要な場合はF11を限度として絞り込みますが基本は開放です。(何度も連続してシャッターを切っていると電子絞りが設定の位置まで動かずに撮影されてしまい、致命的なフリッカーを起こす事があるので)

その上で絞りとシャッター速度の関係は、視野内で動いているものをどれだけブラすかを考えて決めます。わかりやすい例で言うとスクランブル交差点を撮影する場合、歩行者が一枚一枚の写真内でブレて写っていた方が動画にした時に動きが滑らかになるのです。必要とするシャッター速度では明るすぎる場合はNDフィルター(減光フィルター)をつけて調整するのが良い結果を生みます。

 

 (3)三脚

もうひとつ重症な不具合がありました。それはカメラの振動です。これはおそらく風に起因するものだと思われますが、何よりもそれを許したのは脆弱な三脚を使用した為です。三脚は当時持って行かなかったので、フィジーの何もたいした物は売られてない市場でかろうじて売られていた中国製のおもちゃのプラスチック製のふにゃふにゃ三脚だったと思います。 そのおかげで再処理作業はかなりの時間を要しました。(ほとんど全てのファイルにスタビライズ処理を行う必要がありました)

 

・露光オートは使わない

・柔な三脚は使わない

 

簡単な事ですが、全くの初心者であった私が犯した過ちです。もしかしたらこれからタイムラプスを始めようと思っている方にはお役に立つ話かもしれないと思い、恥を忍んで?公開しました。

 

 

 



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