タイムラプスいろいろ

タイムラプス映像への飽くなき追求


タイムラプス・フォトグラファー 岡 浩一郎
www.skypix.jp

音楽も映像もアートするって事は・・・

2021年02月14日 | 日記

2回目の東京オリンピックを控えて色々な問題が惹き起っている中、1964年の第一回東京オリンピックを知っている世代の私は、57年振りに聴いた古関裕而の作曲オリンピック・マーチを聴いてみて身体中の毛穴が開き武者震いがしました。本当に懐かしさも手伝って身体中にエネルギーがみなぎりました!素晴らしい名曲と素晴らしく輝かしい思い出!

それがきっかけで、YouTubeで色々なオリンピック・マーチの演奏を聴いてみました。多くは自衛隊です。一口に自衛隊と言っても色々な地方の自衛隊の色々な音楽隊があってひとつや二つでないことはすぐにわかりました。 しかし、しかしです。素晴らしい演奏もあれば、指揮者がただダンスを指揮台で踊っているだけの目を覆いたくなる物もたくさんあってびっくりしました。個別に具体的にどの音楽隊と評価するのは避けますが、以下はいくつか拾い出した自衛隊の音楽隊の演奏映像に対する私の評価です。具体的な楽隊名や演奏動画URLは誹謗中傷にも成りかねませんので示しませんが、こんなのがあったと言うことです。

 

1.自衛隊の演奏会。実際にマーチさせながら演奏している為、テンポ(速度)が凄く正しくていいですね。

2.この自衛隊は演奏会でも見事な演奏!素晴らしい音の重厚感。小太鼓叩いている女性自衛官の無機質な表情が印象的(笑)曲の盛り上がりも見事ですね。この小さな編成を感じさせない演奏です。

3.この自衛隊、特に指揮者がなんだ?!ひどすぎる! 自意識過剰、ダンスを踊ってる。私が中学生時代にブラスバンド部の指揮者をしていたが、その時に顧問の音楽の先生に「岡君、自分が踊るな!」って怒られたのを思い出します。おまけにこの指揮者まるでテンポも合ってない。演奏者は勝手に演奏している感じ(笑) ちゃんと音大で指揮法を勉強してきた人が指揮者になってるわけではないんだね、自衛隊は。

4.この自衛隊の指揮者もひどい!ダンスを踊ってる。よくこんな指揮で最初のファンファーレが吹けてるなぁと思ったが、よく見ると演奏者は指揮者を見ていない(笑)途中でテンポがつかめない指揮をなんどもしているが、それが演奏に出ています。音が全員バラバラです。ばらけてる。だからインパクトが弱い。音を外している楽員もいる。

5.この自衛隊もひどい! まずもってテンポが遅すぎますね。これでは行進できません! 眠たくなるけだるいマーチ!

6.自衛隊には指揮者はいらない。 この指揮者は何してる?テンポ全部外れてるし。これだけの大編成の楽団の楽団員を誉めたい!指揮者を完全に無視して一致団結で演奏は見事(笑)

 

こんな中で出逢った演奏がこれです!

2019年8月16日に大阪城音楽堂で開催された「たそがれコンサート2019」です。演奏はオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラで指揮は和田一樹さん。

素晴らしいのひとことに尽きますね!特にこの指揮者が凄い!この人の音楽性が良く全員を引っ張っているのが良くわかる。私がこの曲で惹き起こされる感情の吹き出しを、見事にこの和田さんは引き出しています。これぞ本当の指揮者だと思います。

 

 

素晴らしい!オートリピートにして何度聴いても飽きませんね。

しかし、音楽って映像と同じですね! 如何に視聴者の感動を惹き起こすかです。タイムラプス撮影を始めた当初は珍しい映像とかタイムラプスならではシーンを追及していたと思います。もちろんそれはそれでいいのですが、それでは本当の感動を呼ぶ作品は作れません。意外性と新鮮味と驚きだけでは。

今や、タイムラプスに限らず動画は世の中に溢れかえっています。「オリンピック・マーチ」と言う音楽分野で極めて特定された限られたものですら、YouTubeを探ればいくらでも出てきます。でもそんな中で本当に心を打つのは限られているのです。音楽や映像に人々が感じることができるときめきや高揚感をどれだけ織り込むことができるか。それがアートをすると言うことなのだと思いました。

 

 

 

 

 

 


ミャンマー全国走破5,000Kmの旅 ~絶景を求めて~

2021年02月05日 | 日記

2016年と2017年の2回にわたりミャンマーを訪れてレンタカーでミャンマー全土を合計5,000Km走破してタイムラプス撮影を行いました。 いくつかの編に分けて作品化して公開していましたが、この度それらを1本にまとめて再編集したリメイク版を制作し公開しました。

折しもミャンマーでは軍事クーデターが発生し、2011年にそれまでの軍事独裁政権から民主主義を獲得したばかりでしたが、再び暗黒の軍政に戻ったことは悲しいの一言に尽きます。ミャンマー人の生活は大変貧しいのですが、その敬虔な仏教への崇拝姿勢と生き方の純粋さには心から感銘します。そしてその心の美しさはこの仏教文化に溢れた姿を見て頂ければ必ずやお分かり頂けると思います。こんな今だからこそ、私はそのリメイク版を制作して世界中の人達にミャンマーの素晴らしさを知ってもらおうと思いました。そしてミャンマー人達が平和に暮らせるように願って頂けることを心より祈っています。

 

ミャンマー全国走破5,000Kmの旅 ~絶景を求めて~ A 5,000Km road trip across Myanmar - Looking for the Best Views - from Koichiro Oka on Vimeo.

私が初めてミャンマーを訪れたのは銀行勤務時代、担当国であったミャンマーに出張訪問した軍政時代の2003年でした。私が胸を打たれたのがヤンゴンの駐在員事務所の若いミャンマー人女性行員が、取引先の金融機関に私と同道する合間に立ち寄ってくれた幾つかの寺院ででした。 冷たい石やタイルで覆われた寺院内の床には全員がサンダルを脱いで裸足になって歩きます。彼女は他のミャンマー人がそうするように仏像の前でピタッと前に伏せて上半身をすべて冷たい床にさらすようにしてお祈りを捧げていました。私が感動したのは、すべての寺院の中で彼女は必ずお金を払ってノートに何か書いていたことです。何をしているのか尋ねたら、寄進をしているのだといいます。そして寄進者の名前として両親の名前を寄進帳に記していたのです。 なんと言う美しい心なんでしょうか。

仏教の教えでは生き物は輪廻転生を繰り返します。そしてこの現世で徳を沢山積めば来世で幸せになれると説いています。ミャンマーの人たちはこの教えが体に染みついていて、つねに人に親切で施しを重ねて生きているのです。先進国から来た私にしてみれば、施しをしなければならないのは私の方なのに、そんな彼らが私に対して何でも尽くしてくれようとするのです。

私はミャンマーのほぼ全土をミャンマー人から借りた車で走破しました。北の山岳地帯や中国との国境地帯とか外国人が立ち入れない地域はのぞいて目ぼしい所はすべて訪れました。 ミャンマーは街中だろうと郊外だろうと北だろうと南だろうと、すべて同じです。行き当たるところに寺院や仏像があり、遺跡があり、寺院の拡声器から昼夜問わずお経が流れています。すべてが仏教の世界なのです。

貧しさは日本からは想像できません。田舎の茶店でトイレを借りれば、水たまりのような池の上に張り巡らされた幅30cm余りの板の橋を落ちないようにあるいてたどり着いたトイレの中には便器はなく、ただ穴の開いた床板の下に池が見えます。トイレットペーパーはなく、横においた洗面器の水を手ですくってお尻を洗い、その手をまたその水で洗います。 市場に行くと地面に置いたバケツやタライの中に魚をいれて売っていますが、その魚の表面がよく見えないほど数百匹のハエがうじゃうじゃとたかっているのです。もっともあの気温ではハエがたかってなくても腐っているに違いありません。

普通だったらそんな貧しく不衛生な所に何の魅力も感じるはずないのですが、ミャンマーの仏教世界とそこに住む人々の敬虔な姿とピュアーな心には、それを押しても強く惹き付けられる魅力が溢れているのです。