ケロの与太

「全力で与太話」
読んだら忘れてください(” ̄▽ ̄)ゞ  

認知症の義母は決してボケてはいない・・( ̄ー ̄”)

2016年11月23日 | ゆめゆめ笑うなゆく道だ(義母と施設と)
   




       








      








      








      




退院の日、病室まで来てくれてお餞別をくれた社長ご夫妻
高速に乗る前、最後に立ち寄った実家の玄関先で会ったご近所さんが
涙をにじませて別れを惜しんでくれたんだと伝えると
義母はとてもうれしそうでしたが
どんなに説明しても、誰の事なのかは思い出せないようでした。

それはもう仕方がない
義母と別れることを惜しんでくれた人がいたということは
私が記憶して
その都度義母に伝えてゆく事になるのです。



らく、認知症はとても苦しい病だと思います。
かつて「痴呆症」などと呼ばれていたので、
ただのんびりお年寄りがボケてゆくようなイメージがありましたが
まだらに、記憶が曖昧になってゆく自分を生きるのは、
底なしの沼に飲み込まれるような恐怖との戦いなのではないかと、義母を見ていて思います。
義母は調子のいい時に、何度も私に言います。
「私の頭、狂ってるんや。おかしな事言うても相手にせんでええから。」

                        
                      


大阪からこっちまでの長い長いドライブの間も、びっくりするほどおとなしく乗っていてくれた義母ですが
名古屋を超えた辺りで日が落ちて、碧い碧い黄昏れが車内を満たした頃、
義母は不安な子供のか細い声で

「あのな、すごく困ってるねん」

と一度だけ言いました。


「助けて欲しいねん。」


え?吐きたい?
オムツ気持ち悪い? Σ( ̄□ ̄:)


夫と二人で騒然となって
ビニール袋を広げオムツを取り出そうとしていたら


「私な、
帰り道がな。
・・・わからんようになってしもた。」

「私は、どこに帰ればええんやろ。」


義母の左目から出た涙が頬をべったり這っていました。
それは悲しみで出る涙というよりは、ドライアイの影響で滲んだもののようで
その判別つき難い感じをいい事に、
私は見なかったことにしたくなりました。
そう、
黙って車に乗りながら
ずっとそのことを考えていたのかと思うと。

でも、夫は違っていました。
「あ~なんや!
そんなん、全然心配せんでええ!俺らがついてるやろ?
心配せんでええねん。
なんの心配も要らんトコロに行くんやから。
これからはすぐに会えるトコロで暮らすんやから!」

夫はすっかり割り切っているのか
その最善を心から信じているのか
朗らかに、高らかに言って聴かせます。


「そうか・・」



だけど、そこは決して「帰るトコロ」なんてものではない。
私は
翳りゆく車内で影絵のようになってゆく
背中を丸めた義母の姿を見て
おさなごを騙して施設に連れてゆく、悪い大人のような気分になりました。




そして、こんな風に言葉を尽くして説明されても、全て記憶されずにこぼしてしまう。
目の前にいる人は誰なのか、これから何が起こるのか
自分はどこにいるのか、何故ここにいるのか
今はいつなのか
さっきとはいつなのか
これからってなんなのか
何一つ解らないし何一つ納得してない。

それでも、トイレにさえ歩いてゆけない体では
もはや拒む自由も選択の自由もない

ならばと
自分の持っている情報と、この世界をつなげて考えようとすれば
とてつもなく遠い記憶の扉がバンバン開いて、
あふれだす良い思い出
悪い思い出
溺れるように翻弄されて、脳は常にフル回転


義母は認知症でも
頭の中は決して呆けていたりしないのです。





それでもですよ?


「もう疲れた・・一歩も歩かれへん」
と、言われた時は



お母さん!
車椅子乗ってますやんか!」ゞ( ̄ー ̄;)



関西人二人して
両側から
ソッコーツッコんででしまいましたが・・・










今日はそんな話でした。
                     ~( ̄ー ̄)ノシ
































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10 コメント

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Unknown (ひさへ)
2016-11-24 14:10:50
チビッた、涙が。
アタシの義母は施設に入所して1年半経つけど、連れて来る時、麦さんと同じで「悪い大人」になったような気持ちになりました。
今もそんな気持ちになる時があって精神的に疲労します。
長寿っておめでたいようなイメージですが、義母本人は辛そうです。
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勉強になります<(_ _)> (POULA)
2016-11-24 19:49:59
今期の履修を考えてた時、「よし、テーマを決めてみよう」と思ったの。
そんでそのテーマは「病気と老いと死」
今までずっと避けてきたテーマ。
でも、去年の義父や母たち、麦ちゃんをはじめいろいろ教えてくれる友達、そして自分自身の経験。
いろんなことまぜこぜにして学び取って行くのは、内容はしんどいけど結構面白いって分かったよ。

いつ読んだ本だったか忘れちゃったんだけど、麦ちゃんの推測通り、ボケていくことはつらいことらしいです。
自分に自信が持てなくなるって、子どもだろうが大人だろうが辛いもんね。
お年寄りだって同じなんだって、書いてあったよ。

勉強になります。ありがとね。
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ひさへ様 ()
2016-11-25 13:00:17
そうなんですよね
泣くまでは行かないけど
ちびっと涙が出てこなくもない、まあ結局は出ないんですけども。
( ̄ー ̄)

ひさへさんとこのお義母様は
確か九十越えていらっしゃいますもんね
義母の食事のテーブルの前に座られる方が90と96のご夫妻で
お話を聞いていると
生きることから喜びや楽しみが限られて
でも身体も頭も元気
生きることが
霧を抜ける死までのマラソン
みたいに見えました
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ポーラちゃん ()
2016-11-25 13:12:12
これを勉強するのね。
学んだら
ぜひ、若い人に伝えてほしいわ
老いることがどういうことか。

おじいちゃんおばあちゃんは
毎日新しく老いてゆくわけで
決して昔からおじいちゃんおばあちゃんではない
ってこと
私は気がつかなかったよ。

年を取ると仕方がないで片付けちゃう
その仕方がないことが
時としてどんなに辛いことかね
( ̄ー ̄)
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Unknown (ちるる)
2016-11-27 11:03:27
そうだね、ホントになんにもわからなくなっちゃえば、その方が本人は楽になれるもんね。

自分が50になって、「若い」じゃなくなって身体も気力も昔と違ってきた事を実感しはじめたからこそ、「老いる」っていうのを考えたり思いやったりできるようになってきたのかなーって思うわ。
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怖いと思うよ (くちかずこ)
2016-11-27 13:37:16
義母とも、いろんな話をしました、くちこも。
電話をしても迷惑そうだったら、もう掛けないんだ。。。
行っても迷惑そうだったら、もう行かないことにしている。。。
もう、何もわからなくなったんだ。
もう、解らんのよ。
そんなこと言いつつ、とても哀しく、不安だったと思います。
必死で頑張ったと思います。
這い上がろうと。
残酷な病気だと思います、いつも。
母も義母も認知症。
仕事上でも、関わりました。
家族の口惜しさ、哀しさ、苦労を想うと、自分がそうなることが最たる恐怖です。
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すごい! (まゆぼ。)
2016-12-01 07:43:16
麦さん、すごいワ!
師匠と呼ばせてもらいたい!

何かね、上からごめんやけど、良い感じに力が抜けてて、息子であるご主人の関わり具合も感じる(重要!)し、関西人を残しつつできるってすごい事だよ。

いろいろな事を感じるアンテナが切レッキレになってるお姑さん、きっとそんな麦さんにロックオンしたんだね。
お疲れさまです。

本当にね、ボケたんじゃないんだよね、覚えていられないんだよね。
頭の断捨離っていうの?重要じゃなくなった事から順番に消去してる感じもする。
思い込みや勘違いが強くなり訂正できなくなると、妄想やらせん妄やらになり。
徘徊にもその人なりの理由はあり、活動量が減り睡眠・食障害も起こり、・・・ほとんどの事に理由付けは出来る気がします。
残念ながらできない事もありますが。
それが世間(介護者?)の常識の範囲かどうかで問題行動か否かになるのだと感じます。

世知辛い大人の事情も関係してくる介護事情、介護の数だけある諸事情。
ただ、介護者が体調を崩すと介護は出来なくなります。
大切な家族にも心配かけます。
自身の身体だけは一番大切にしてね。
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ちるる ()
2016-12-02 08:26:47
そうなのよね。

義母のホームにも振り切った認知症の人がいたりして、その人はニコニコしてる。

確かにね。
私冬になって筋トレサボるから
ヒザが痛くなってるんだけど
その痛みで
これまで20年、足が痛いから痛いからと連呼して何にもしようとしてこなかった義母に
ちょっとだけ同情できるようになったわ。
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くちかずこさま ()
2016-12-02 08:35:03
本当に


認知症が最初に奪うのは自信と誇りで。
それがなくなると、助けを求める気力と
希望が持てなくなる。
どんどん削がれる中で、「這い上がろうとする」けれど老いがそれを許さない。

最初のトリガーは
寂しさから生まれる「鬱」
のような気がします。

この間週刊誌で橋田壽賀子氏が声を上げておられましたが
早急には不可能でも
10年後くらいに「本人の意志による安楽死選択」が認可されないかなあ・・と真面目に思ったりしています。
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まゆぼ。ちゃん ()
2016-12-02 08:41:26
えっと( ̄▽ ̄?)ゞ
何を褒められているのか、
何の師匠になれるのかわからないけど
ほめてくれて有難う。

脳って人のコンピューターだから
回路が壊れてしまうと同じようになるのね。
適切な場面に適切なファイルが出てこない。
全然必要のないタスクを一生懸命こなそうと頑張っちゃう。バッテリーは元気なのに、機能できない。

震え上がりました。
こんなに怖くて切ないことが待ってるなんて。
散々報道されてきたのに、私知ってたのに。
なんにも解ってなかった。

そんな気分です。
でも、まだまだ入り口に立ったばかりなので。
全てはこれから。
でもって、私最高に自分に甘いからね。自愛とかは絶対大丈夫だと思うの。
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