◎某メルマガより◎
◆過去の記憶の匂い
よく「過去の記憶を持っている」という言い方をする。時間の流れは「過去」「現在」「未来」で捉えても、記憶に関しては「過去のもの」という認識で、「自分の中に未来の記憶を溜めている」とは全然思っていないだろう。しかし実際、我々は未来についての記憶を相当溜めており、その比率は思っているより高いというのが脳科学者たちの見解だ。
記憶には、常に“過去の匂い”や“過去の色”のようなものがつきまとう。記憶を組み合わせて何かを考えるとき、考えているのは「今」の自分でも、その自分の考えにはどうしても過去の記憶の匂いがついてしまう。PTSD(心的外傷後ストレス障害)、いわゆるトラウマなどは典型的な例だ。過去の多大なストレスは現在の行動や情動に影響し、けっこう支配力があると知られている。
朝起きて、今日は嫌なことが起こりそうだと思ってしまうと、特に何もなくても一日中気分が晴れないのは、「嫌なことが起こるかも」と予測した記憶に引きずられるからだ。望ましくない未来を思い描くと「嫌な記憶」になって「嫌な気分」を喚起する。これを繰り返して「未来」が嫌な色に染め上がってしまうと、明るい未来を思い描こうにも嫌な気分に引きずられて、どんどん悲観的になるという悪循環を招くのだ。
ところが、こんな記憶の作用が実は未来の計画にも影響を及ぼしていることに、我々はあまり気づかない。
新年に今年の目標を立てた人は多いだろう。「今年は!」「今年こそ!」と気分新たに誓いを立てたつもりなのに、すでに雲行きが怪しくなってきたとしたら、それは記憶の仕業かもしれない。
……次号へ続く
◆過去の記憶の匂い
よく「過去の記憶を持っている」という言い方をする。時間の流れは「過去」「現在」「未来」で捉えても、記憶に関しては「過去のもの」という認識で、「自分の中に未来の記憶を溜めている」とは全然思っていないだろう。しかし実際、我々は未来についての記憶を相当溜めており、その比率は思っているより高いというのが脳科学者たちの見解だ。
記憶には、常に“過去の匂い”や“過去の色”のようなものがつきまとう。記憶を組み合わせて何かを考えるとき、考えているのは「今」の自分でも、その自分の考えにはどうしても過去の記憶の匂いがついてしまう。PTSD(心的外傷後ストレス障害)、いわゆるトラウマなどは典型的な例だ。過去の多大なストレスは現在の行動や情動に影響し、けっこう支配力があると知られている。
朝起きて、今日は嫌なことが起こりそうだと思ってしまうと、特に何もなくても一日中気分が晴れないのは、「嫌なことが起こるかも」と予測した記憶に引きずられるからだ。望ましくない未来を思い描くと「嫌な記憶」になって「嫌な気分」を喚起する。これを繰り返して「未来」が嫌な色に染め上がってしまうと、明るい未来を思い描こうにも嫌な気分に引きずられて、どんどん悲観的になるという悪循環を招くのだ。
ところが、こんな記憶の作用が実は未来の計画にも影響を及ぼしていることに、我々はあまり気づかない。
新年に今年の目標を立てた人は多いだろう。「今年は!」「今年こそ!」と気分新たに誓いを立てたつもりなのに、すでに雲行きが怪しくなってきたとしたら、それは記憶の仕業かもしれない。
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