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■ 吉兆のこころ、不祥事を見る目。超高級料亭のマーケティングとは

2007年11月28日 | Weblog
吉兆とは?(ウィキペディアから引用)

1930年 湯木貞一が神戸の料理屋「中現長」から独立、大阪に「御鯛茶處吉兆」を創業。
1939年 株式会社吉兆を設立。
1979年 東京サミットで午餐会の料理を提供。
1991年 現在の各事業会社を設立し、グループ会社制に移行。
1997年 創業者の湯木貞一逝去。

★ 2007年 吉兆グループの一つ「船場吉兆」にて、食品賞味期限偽装問題が発覚。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E5%85%86


A.不祥事の心理:

大阪、船場吉兆で何かが狂ってしまった?
凶と出てしまった。

この騒ぎは、船場吉兆の福岡店のデザートの賞味期限の引き延ばし・改竄からはじまった。

これらの騒ぎは、おそらく内部告発から始まったのであろう。

赤福をはじめとする食品偽装問題の連鎖として、明るみにでたのである。

人間心理に原因があることは、ある出来事がひとたび起こると連続して起こるものなのだ。
告発した人は正義感からか、愉快犯的心情からか、恨みからか・・・
それはわからない。

しかし、内部告発という行為は、ある不祥事が明るみに出ると、それを契機に連続的に起こってくるのである。

人間心理というものはそういうものである。


B.不祥事の評価:

問題は、世間の評価、われわれの見る目である。

一つ目の目線: 冷静な目線

最初に発覚した企業がどう見ても損をする。
それは、最初で目立ち、皆のチェックが厳しくなる。
マスコミも部数を、視聴率を取ろうとする。

赤福の次に同じ伊勢神宮の周囲で同じことがつぎつぎと興るが、既にマンネリで食傷気味である。

ここに情報鮮度という概念が生じてくる。

マスコミ的にいえば、“ニュースヴァリューはもうない”ということになる。

客観的に評価する立場(目線)にある者は、倦まず飽きずに、起こる順序には関係なく、起こったことについて冷静に評価すべきである。
行為は、発覚の順序に関係なくあくまでも等価である。


二つ目の目線:

船場吉兆はかなり後から起こった。

情報鮮度は低いはずである。

しかし、船場吉兆は別の次元でニュースヴァリューがあるのだ。

外国の要人が来日したときにそこを訪問する、調理を依頼するという半端でない老舗ブランドである。

湯木貞一氏が起こして、今その子供たちが、東京、大阪、京都・・・・・
に独立し、日本でも最高峰といわれる料理をだしている。

吉兆の告発には、やっかみ(羨望、嫉妬)、恨みがあるかもしれない。

いずれにしても、あの吉兆までも・・・?
という注目度は抜群である。

 いわゆるターゲットにされたともいえよう。

逆に言えば、そのような立場にある企業、個人は、襟を正して、ことにあたらなければならない。

有名であるが故のコスト(お金、手間、時間)を払わなければならない。

 それが、CSRの本質である。

自社のためだけではなく、社会の範となって、社会的信用のインフラを作るという気概が求められるのである。

 船場吉兆が、ターゲットとしてふさわしいということは間違いないが、これが単なるスケープゴートになってはいけない。


 三つ目の視点:

 風評があるとすると、ニュースになったときには、それを科学的に評価することである。

 例えば、食品偽装では、コトを2つに峻別して評価する必要がある。

以下の2つは両方ともよくないことは間違いないが、問題の本質は全く異なるのである。

1.明らかに、産地、製法を偽る
2. 賞味期限、消費期限の改竄

・「1」 は弁解の余地がない。

・「2」はいろいろな含みがある。

「2」 は、再加工の期限設定をどのようにみるか、実質的に問題のない食品を、法に違反するから捨てるというような過剰管理問題をどう見るか・・・
という本質的なテーマを孕んでいるのである。
日本のいい言葉“もったいない”という概念をどう考えるかの問題でもある。

 余談:

“もったいない“は、今は、既に国際語になっている。

昨年のノーベル平和賞受賞者・ケニア共和国副環境大臣ワンガリ・マータイさんの提唱している言葉・キーワードでもある。

女史は、グリーンベルト運動という植林事業をおこなった。

3R活動-REDUCE,REUSE,RECYCLEと、日本の“もったいない“が同じ思想も持つことに感激して、

「MOTTAINAI」を世界に広めるべく動いている。


 話が横にそれたが、要するに、「こと」を全部一緒にしてしまい、同一に断罪的にさらしものにするのは、問題の本質を誤ることになる。

科学的、客観的な態度が必要なのである。


C.吉兆から学ぶ風評のマーケティング

この稿の本題に入る。

 マーケティングはどういう視点でおこなうべきか。

マーケティングコミュニケーションの永遠のテーマである。

 視点は2つある。

0. 「事実」で行う
1. 「イメージ」で行う

の2つである。

 ・長期的には、「事実」で行い、社会の制度を整え、市民へきちんと啓蒙していく必要がある。
・短期的には「イメージ」で行うというのが、正解である。

イメージで誤解されないように、誤解されたら、きちんと解くように努めなければならない。
また、仕掛けとしてよいイメージになるように、努めることが求められる。

 ここには、事実というのはおそらく伝わらない、

事実は、必ず誤解、曲解、縮小・・・・される、
「1:1」では事実は伝わらない、
という諦念がある。

即ち、イメージをコントロールすることがマーケティングの重要なテーマであることを知っておく必要がある。

 風評マーケティングマネジメントの目線(視点)は以下の通りでる。

■目線1(オネスティ)

⇒これは「ずるい手法」ではあるが・・・・・。
もし、自社に何か不正があったとしよう。
その場合は、他社が告発されたときに、他山の石ならぬ自分を振り返って、自己を正すのである。
沢山の不祥事企業が生じると、一つ当たりのニュース価値が下がり、ほとぼりをさますという行為が意味をもってくる。
赤福の後につづく、伊勢神宮門前のお土産屋の不始末がそれを物語っている。
要するにニュースバリューがなくなるのである。
2,3番目企業というのは、得をするのである。(このよしあしがどうかということではなく現実である)

もし、自社が告発されたら、正直に対応するのは当然のことである。

但し、あくまでも、理想は、

“みずから公表すること”

である。言を待たない。

■目線2(リライアビリティ)


⇒もし、注目されている企業なら、人一倍襟を正すことである。
もし内部的に不祥事があるようなら、自主的に公表することである。


■目線3(アカウタビリティ)

⇒もし、自社が不祥事を犯したのなら、自社の今の状況を誤解なくきちんと説明することである。ここまでは悪い、ここまではきちんとしていたと。
ごまかしたり、ぼかしたりという説明は自殺行為になる。
後で、まだうそが残っていたとなると、うそを2回ついたことになり、世間・マスコミは決して許さないであろう。


D.ネガティブマーケティングのノウハウ化:

 マーケティングは攻めには強い。

企業は、ものを作って、売って何ぼ!である。

しかし、企業が危機を迎え、つぶれるような事態になるのは、正にネガなコトが起こる時である。

攻めて企業を伸ばすのは、いわば当たり前のことである。

 実は、同じぐらい、内部のモラルを高め、コンプライアンスを守ることに注力することが大切である。

 サステナブルな企業を目指す上での不可欠のマネジメントである。

ここから得られる効果、成果は、社内の空気を一新し、朗らかにし、社内活力の向上につながる。

決して、後ろ向きではない、前向きのマーケティングマネジメントなのである。

 今、もし、内部で不正が発見されたなら、目をつぶる、そむけるのではなく、前向きに大改善すべきである。

ことのレベルによっては、社会に公表する勇気が必要である。
一回の過ちは許されるであろう。

 また、過ちがまんねりになり、マヒし、惰性で企業活動が進んでいくことのないように、
社外の評価システムが働くような仕組みの導入が不可欠であろう。

この稿終わり
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