

1930年 湯木貞一が神戸の料理屋「中現長」から独立、大阪に「御鯛茶處吉兆」を創業。
1939年 株式会社吉兆を設立。
1979年 東京サミットで午餐会の料理を提供。
1991年 現在の各事業会社を設立し、グループ会社制に移行。
1997年 創業者の湯木貞一逝去。
★ 2007年 吉兆グループの一つ「船場吉兆」にて、食品賞味期限偽装問題が発覚。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E5%85%86


凶と出てしまった。
この騒ぎは、船場吉兆の福岡店のデザートの賞味期限の引き延ばし・改竄からはじまった。


人間心理に原因があることは、ある出来事がひとたび起こると連続して起こるものなのだ。
告発した人は正義感からか、愉快犯的心情からか、恨みからか・・・
それはわからない。
しかし、内部告発という行為は、ある不祥事が明るみに出ると、それを契機に連続的に起こってくるのである。


問題は、世間の評価、われわれの見る目である。

最初に発覚した企業がどう見ても損をする。
それは、最初で目立ち、皆のチェックが厳しくなる。
マスコミも部数を、視聴率を取ろうとする。
赤福の次に同じ伊勢神宮の周囲で同じことがつぎつぎと興るが、既にマンネリで食傷気味である。
ここに情報鮮度という概念が生じてくる。
マスコミ的にいえば、“ニュースヴァリューはもうない”ということになる。

行為は、発覚の順序に関係なくあくまでも等価である。

船場吉兆はかなり後から起こった。
情報鮮度は低いはずである。
しかし、船場吉兆は別の次元でニュースヴァリューがあるのだ。
外国の要人が来日したときにそこを訪問する、調理を依頼するという半端でない老舗ブランドである。
湯木貞一氏が起こして、今その子供たちが、東京、大阪、京都・・・・・
に独立し、日本でも最高峰といわれる料理をだしている。
吉兆の告発には、やっかみ(羨望、嫉妬)、恨みがあるかもしれない。
いずれにしても、あの吉兆までも・・・?
という注目度は抜群である。

逆に言えば、そのような立場にある企業、個人は、襟を正して、ことにあたらなければならない。
有名であるが故のコスト(お金、手間、時間)を払わなければならない。

自社のためだけではなく、社会の範となって、社会的信用のインフラを作るという気概が求められるのである。




以下の2つは両方ともよくないことは間違いないが、問題の本質は全く異なるのである。
1.明らかに、産地、製法を偽る
2. 賞味期限、消費期限の改竄
・「1」 は弁解の余地がない。
・「2」はいろいろな含みがある。
「2」 は、再加工の期限設定をどのようにみるか、実質的に問題のない食品を、法に違反するから捨てるというような過剰管理問題をどう見るか・・・
という本質的なテーマを孕んでいるのである。
日本のいい言葉“もったいない”という概念をどう考えるかの問題でもある。

“もったいない“は、今は、既に国際語になっている。
昨年のノーベル平和賞受賞者・ケニア共和国副環境大臣ワンガリ・マータイさんの提唱している言葉・キーワードでもある。
女史は、グリーンベルト運動という植林事業をおこなった。
3R活動-REDUCE,REUSE,RECYCLEと、日本の“もったいない“が同じ思想も持つことに感激して、
「MOTTAINAI」を世界に広めるべく動いている。

科学的、客観的な態度が必要なのである。

この稿の本題に入る。

マーケティングコミュニケーションの永遠のテーマである。

0. 「事実」で行う
1. 「イメージ」で行う
の2つである。

・短期的には「イメージ」で行うというのが、正解である。
イメージで誤解されないように、誤解されたら、きちんと解くように努めなければならない。
また、仕掛けとしてよいイメージになるように、努めることが求められる。

事実は、必ず誤解、曲解、縮小・・・・される、
「1:1」では事実は伝わらない、
という諦念がある。
即ち、イメージをコントロールすることがマーケティングの重要なテーマであることを知っておく必要がある。

■目線1(オネスティ)
⇒これは「ずるい手法」ではあるが・・・・・。
もし、自社に何か不正があったとしよう。
その場合は、他社が告発されたときに、他山の石ならぬ自分を振り返って、自己を正すのである。
沢山の不祥事企業が生じると、一つ当たりのニュース価値が下がり、ほとぼりをさますという行為が意味をもってくる。
赤福の後につづく、伊勢神宮門前のお土産屋の不始末がそれを物語っている。
要するにニュースバリューがなくなるのである。
2,3番目企業というのは、得をするのである。(このよしあしがどうかということではなく現実である)
もし、自社が告発されたら、正直に対応するのは当然のことである。
但し、あくまでも、理想は、
“みずから公表すること”
である。言を待たない。
■目線2(リライアビリティ)
⇒もし、注目されている企業なら、人一倍襟を正すことである。
もし内部的に不祥事があるようなら、自主的に公表することである。
■目線3(アカウタビリティ)
⇒もし、自社が不祥事を犯したのなら、自社の今の状況を誤解なくきちんと説明することである。ここまでは悪い、ここまではきちんとしていたと。
ごまかしたり、ぼかしたりという説明は自殺行為になる。
後で、まだうそが残っていたとなると、うそを2回ついたことになり、世間・マスコミは決して許さないであろう。


企業は、ものを作って、売って何ぼ!である。
しかし、企業が危機を迎え、つぶれるような事態になるのは、正にネガなコトが起こる時である。
攻めて企業を伸ばすのは、いわば当たり前のことである。


ここから得られる効果、成果は、社内の空気を一新し、朗らかにし、社内活力の向上につながる。
決して、後ろ向きではない、前向きのマーケティングマネジメントなのである。

ことのレベルによっては、社会に公表する勇気が必要である。
一回の過ちは許されるであろう。

社外の評価システムが働くような仕組みの導入が不可欠であろう。
この稿終わり
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