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■ AKB48の人気、ブランド観点からの考察!

2010年10月28日 | Weblog
■ AKB48の人気、ブランド観点からの考察!

AKB48が世の中を席巻している。
なぜ、これほど人気があるのか。

AKB48をブランド論で切ってみる。

A.アイドルの盛衰の裏にあるもの:

女性のアイドルユニット、あまた出てきては消えてゆく。
最近ではモーニング娘が象徴的である。
今でも、人気はあるが昔の面影は無い。

そのようなものだといってしまえばそれまでだが、
アイドルユニットは、短い期間かもしれないが人の心をつかんで世の中を突きぬけてゆく。
その理由はなんだろうか。
どんな社会・時代のエネルギーが、女の子たちをアイドルに仕立てていくのだろうか?
キャンディーズ、ピンクレディー・・・・・

男性ファンからの見方:
・女王を戴くことの安心感、母性回帰感、
・擬似恋愛的な対象、
・コスプレ的な世界観への執着、

女性ファンからの見方:
・素朴なかわいいものへの憧れ、
・なりきり願望(夢)の実現をかきたてるエンジン、
・年上の女性(お姉さん)へのあこがれ、

等の欲望が時代々々でアイドルを生んできた。

今は、AKBということになる。

背景として、秋葉のアニメ文化、コスプレ文化の隆盛がある。
モー娘との決定的な違いは男性ファンが多いということである。
内面志向的・おたく的な、時代・社会からの取り残され感を感じている、
若い男性のこころをつかんだ。

正に、AKBは時代の申し子である。

B.AKBの人気の秘密とは:

マーケティング的な視点でAKB人気を分析してみる。

AKBの人気の秘密とは?

秘密1.参画

巧みにファンをとりこんでいく。
ミス婚的な人気投票、最近ではじゃんけんでメンバーを決めての新曲づくり等、
ファンを参画させて、自分はどの子のファンなのかを明確にさせファン同士競い合わせる。
ますますノリがよくなるというわけだ。
人気投票では、前回までの一位の前田敦子が大島優子の負けて二位になった。
ファンがノレば、AKBのメンバーも頑張らざるを得なくなる。

秘密2.集団のパワー

10代の後半を中心とした大人になりかけた女の子たちの、
大人数集団なので必然的にパワーが生まれる。
メンバーひとりひとりが個性的で、
それなりの魅力をもっており、それが集まれば当然威力を増す。
ファンの嗜好、好みも千差万別である。
メンバーが48人もいれば、自分が本能的に近いと感じる女の子がいる。
容姿、表情、目線、性格・・・・・から何かを感じて自分のタイプの子のファンになる。


秘密3.個人活動、バラエティ参加

TVバラエティ番組に出たり、TVCMに出たりと自由度がたかい。
もともと異なるプロダクションの女の子たちの集まりである。
個性が強い女の子たちでなかなか絵になる。

板野のTVCMはコケティッシュでなかなか面白い。
大島は池上彰氏の時事問題ニュース解説番組にゲストで出演していた。
第二次世界大戦の枢軸国、連合国のイニシャルを見事に当てていた。


秘密4.個人の個性が明確

いかにもアイドルという、
いいこぶりっ子ではない。
この点はモー娘と似ている。
メンバーが出演しているバラエティ番組をみるとわかるのだが、
メンバー間の女子の同士の微妙なライバル心を押し殺さない。
微妙なけん制の言葉の掛け合いが妙な緊張感と面白さを醸し出す。

以前、メンバーのよるミニファッションショーがあった。
シチュエーションを設定して、皆が自前のファッションを競い合うときの、
メンバーの距離感が面白い。
要するに、普通の女の子たちには誰にでもある、
微妙なライバル感を隠さないので、かえって自然に見える。
ぶりっ子ではない感じで映る。

秘密5.アイドル歌手としての活動基盤

AKBは、秋葉原のライブアイドルである。
毎週ライブをしている。
ここにいけば彼女らにあえる。
インディーズ的な身近さが、いまでもある。

秘密6.秋葉というオタク文化基盤:

アキバ系オタク文化の発信地域での活動を基本としているため、
グループにひとつの思想的な裏づけがある。
単純なアイドルではない、何となくのB級大衆文化的な側面があり、
そこに男性中心のファンがつく土壌があり、安定的なファン層を獲得している。

番外秘密+.「OOO48」名称の拡張:

いろいろなところに「OOO48」が出来ている。
TSM48(上年代の女性集団による豊島園PR)
OJM48(大阪警察官OBによる「深呼吸」という曲のリリース)
インフラを整えつつある

番外秘密++.プロデュースの妙:

AKBは、作詞家、秋元康氏のプロデュースである。
時代を見極める「嗅覚とビジネス感覚」でうまく人気を維持、進化させている。

番外秘密+++.彼女らの美人度:

彼女らはどうやってえらばれているのだろうか?
これはうわさの域をでないのだが、
クラスで10番目ぐらいの美人度の娘を選んでいるという。
いわゆる誰からも好かれる感じの女の子を選んでいるという話である。

これらの秘密を網羅的に見るとある法則が垣間見える。

・環境対応/時代・社会の要請がある。
・強みの強化/大衆の心をグリップするパワー&センスがある
・機会創出/飽きさせない仕掛けがある(様々な表現の場の確保、意外性のある演出等)

等々である。

C.AKBというブランド、その可能性・限界性:

マーケティング&ブランド論からAKBを見るとどうなるのだろうか?

1.ブランド代謝という視点:

AKBの最大の問題はメンバーの年である。
AMBは5年前に結成された。
秋葉ブームにのって、皆かわいい10代だった。
今、少し大人になって、女性的な魅力を増してきた。
20才を越えたメンバーもいる。
大人の女性になりつつある。
いつまでも秋葉コスプレ的ではない年になる。

同時にファンも年を重ねいつまでも幼いファンではいられない。

メンバーもファンも卒業、入学を繰り返し、AKBブランドを新陳代謝をしなくてはならない。
そのときに以前のAKBのイメージをひきづっていてはダメである。
しかし、AKBらしさを失ってもダメである。
棄ててはいけないもの、変えなくてはならないもの、
その腑分けがポイントになる。

どう革新していくか、今AKBは問われている。

以前、モー娘が、新陳代謝・代替わりのため、
小学生上級・中学入学の頃のメンバーを大量に加え大幅にイメチェンをはかった。
それをピークとして、人気に陰りが出始めたように素人目には見える。

革新というのはなかなか難しい。
しかし革新がなければ、解散という道しかない。

2.リスクマネジメントという視点/ネガティブキャンペーンとい視点:

芸能界にスキャンダルはつきものである。
ユニットの現役、卒業者のなかから芸能的なスキャンダルがでると、
皆良かれ悪しかれ飛びつく。
足の引っ張り合いは世の常である。

マスコミ、ワイドショーは、普通の女の子としてそのスキャンダルを面白おかしく扱う。
有名人として、負の代償をしはらわねばならない時が来るようだと、
ファンは夢やかわいらしさを売るアイドルとして、AKBを見ることは出来なくなる。

以前モー娘の加護ちゃんがタバコ喫煙、妊娠で騒がれた。
そのとき既にモー娘は低迷時代にはいっていたが更に拍車がかかってしまった。
今、彼女は、ジャズシンガーとして復活しようとしている。

企業経営でもリスクはつきもので、
そのリスクにどう対応するかでその後のブランド評価が決まってくる。

3.ブランド成熟という視点:

ブランドにとって必然的に襲ってくるものがある。
どんなブランドでも避けがたいものとは・・・

「ユーザーの飽き」という時間がもたらすマンネリ感である。
どんなブランドも立ち上がって一応の成功を収めても、
5年も経つと大きな踊り場がやってくる。

対応策は2つしかない。

・時代、社会の要請に応じて、ブランドコンセプトを進化させる、
・ブランド刺激策を講じてブランドを魅力的に見せてマーケットの目をそらせない

が求められる。

今のところAKBでは2つ目の刺激策でいろいろと対応しているように見える。

メンバーとファンのこころに刺激を与える仕掛けをいろいろと講じている。
2つ紹介する。

1.総選挙というイベント

総選挙、AKBメンバーの人気投票を行った。
2回目である。
一回目は前田敦子が、今回は大島優子がTOPをはった。
TOPがステージのセンターを張る。
イベント会場では、一位、二位が代って大変な騒ぎになった。
それも一興である。

2.「じゃんけんぽん」というイベント

「じゃんけんぽん」で冬に向けての新曲のメンバーとセンターで歌う女の子をきめるという。

以前、モー娘をプロデュースした「つんく」の話。
運の強い子、やる気のある子を、
いろいろな形でチェックし、その子を中心に、
その日のステージの役回り、将来のポジションをつくる、
という話をどこかで聞いたことがある。

「じゃんけん」という博打的ではあるが、
やる気と熱意で頑張ればステージの上で歌えるチャンスをメンバーに与え、
ファンも巻き込んでイベント化すると言う試みである。

確率的に、運命的にものがきまるという面白さ・可能性、
意外な新陳代謝が行われるという期待感、
があいまって、おおいに盛り上がったようだ。

要は、客商売のステージ公演は、
最後はやる気・情熱でどこまで目の前の人を感動させるかである。
そこには、じゃんけんも有効な手段であるということらしい。

新陳代謝が大切、また何らかの刺激が大切ということは・・・?
前田敦子、板野友美、大島優子、小嶋陽菜、秋元才加・・・
という常連ではなく他の女の子も十分に実力があり、
ユニットのセンターを張れるということを世に知らしめる効果がある。
AKBの潜在力を示すいい機会になる。
ブランド戦略上も、組織のモラルUPのためにも、常連ファンの気持ちに活をいれる意味でも、なかなかの仕掛けと思われる。

そのじゃんけん大会でさえ、人を集めてイベント化して
話題をつくる、

秋元康氏、大したプロデューサーである。


この稿終わり
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■ジャンボ、ゴルフ世界殿堂入り、石川遼とジャンボ尾崎のCSの因果!

2010年10月17日 | Weblog
■ジャンボ、ゴルフ世界殿堂入り、石川遼とジャンボ尾崎のCSの因果!

今週はCS(顧客満足)、ゴルフの石川遼とジャンボ尾崎の話である。

A.尾崎、ゴルフ世界殿堂入り:

ジャンボ尾崎がゴルフ世界殿堂入りを果たした。
青木、樋口、岡本、以来の快挙である。
入って当然で、遅過ぎるという話もある。

ゴルフ界でジャンボ尾崎といえば超スーパースターである。
青木功と並んで人気を二分した。
50才以上のゴルフファンにはあこがれの人である。

身長180CM超、体重90KG超独特の髪型、太目のおおらかな容姿は、
カリスマにふさわしいものだった。

ジャンボ尾崎。
プロ野球、西鉄ライオンズからの転向。

飛距離、技ともに半端ではなく、
近代ゴルフの常識を破って日本全体にゴルフ旋風を巻き起こした。
ゴルフ場で働きながらプロに合格し3年目で日本プロに優勝した。
何せ113勝という勝ち数である。

金属ヘッドはまだ無く、パーシモンの木のヘッドの時代に、
良く飛ばす、しかも小技のセンスが抜群で奇跡的な逆転劇で聴衆を沸かした。
なによりビッグマウスでファンを惹きつける。
派手で華があった。

因みに、ジャンボ尾崎の血液型はB型で、独特の奔放な性格が大衆に受けた。


B.本物のプロ、ジャンボ尾崎の真相:

プロデビューして、数年で連続して賞金王に輝き頂点に達した。
しかし、何年間も優勝から遠のく大スランプで落ち込んだこともある。

ゴルフ界の第一人者になっても、
練習の虫で、冬季、シーズンオフは、若手を引き連れて合宿をする。
尾崎軍団と称せられた。

見えないところでの努力する人、
ゴルフに対してひたむきで、ゴルフの虫であった。

投資の失敗で自己破産したことなど、
辛酸をなめたが、
半端ではない、人間的な魅力にあふれているからこそ人が寄ってくる。
いろいろな誘惑があったに違いない。

何をやっても絵になる人である。
いまだにその人気は落ちてはいない。

今、63歳。
今でもツアーの現役を自認する。
50歳を過ぎればシニアツアーに移行するのが普通だが、生涯現役にこだわる。

今回の世界殿堂入りも、
それがプレッシャーになって、現役ツアーへの成績に影響してはいけないと
本音は嬉しくなかったという話もある。
また、殿堂入りは過去の人になるというイメージも強く、
現役という意識の自分にはふさわしくないとも思ったらしい。

しかし、最終的には周囲の人が喜んでくれるのであれば、
と受けたという。

青木も我孫子カントリークラブでの練習生からの出身、
ジャンボ尾崎もいわゆるゴルフの英才教育を受けたエリートではない。
人間くさい、人の温度を感じさせる選手である。

ジャンボ尾崎は一オクターブ違う人である。
超プロフェッショナルである。


C.マーケティングの本質はCS(顧客満足):

ジャンボ尾崎に見るCS(顧客満足)の話。

ゴルフ世界殿堂入り発表の記者会見に、
急遽、今のゴルフ界を二分する若手の池田勇太と石川遼の2人が参加した。

この席で、石川遼選手が面白い話を披露した。

十数年前の日本オープンへ石川遼が父親と観戦に出かけ、
一番ホールで、ジャンボ尾崎にサインをお願いしたところ、
ジャンボは快く応じてくれたという。

石川遼のプロゴルファーへのあこがれがここから生じたという。
そのときは石川遼君がここまでのスーパースターになるとは誰も思っていなかった。
しかし、スーパースターへの布石を打ったのはジャンボ尾崎というのは衝撃的である。

さて、話はCSのことになる。
マーケティングは、端的に言えば、
作る側(商品を供給するメーカー)のノウハウ価値と使う側(商品を需要する生活者)の要望価値の
交換である。
CS(顧客満足)とは、
その価値の交換を、スムーズに正確に心地よく行うことである。

ゴルフというマーケットのCSでは、
「商品」はプロ選手が供給するプレー、「CS」はゴルフファン(最終需要家)の心象
である。

今、考えて見ると、
ジャンボ尾崎は当時の石川遼君に最高のCSをしたということになる。

CSとは、基本的には、作り手のこころの持ち方で決まる。
お客様へ良いプレーを見せ、サービス精神を発揮して喜んでもらう、
というマインド(心の構え)が無ければならない。

ジャンボ尾崎のCSセンスとは?
自分はお客様にいかされているという、
お客様を喜ばせようという、
生まれつき身についた本物のプロ意識、
生まれつきのエンターテナー意識である。

その心構えが、当時の石川遼君にサインをプレゼントし、
巡りめぐって今の石川遼選手を生んだことになる。

プロは普段のマインドの普段の持ち方が重要だ。
その一挙手一足動を、必ずやどこかで見ている人がいる。
そのCSのセンス(配慮・一挙手一足動)がめぐりめぐってどこかで報われることになる。
自分に対しても、その業界に対してもである。

出会いは大切。

一期一会という言葉あるが、その出会いに何かの縁を感じ、
その場をきちんとしようということではなく、
一流選手であればあるほど、
その出会いが生み出す価値は連鎖し、どこかで別の価値を生むことになる、
ということを本能的に知っている。

一流選手は、一流のCSプレーヤーである!

果たして、スーパースターは因果で結ばれているのだろうか。
試合展開の意外性、カリスマ性ということでは、
ジャンボ尾崎と石川遼は極めて似ている。

この稿終わり

追記:

アサヒビールは、
スーパードライが出る前にはシェアが10%で苦戦を強いられていた。
存亡の危機もささやかれていたぐらいである。

スーパードライの前に、アサヒ生ビールの新作を発表した。
コクとキレの味わいを両立した「コクとキレの生ビール」である。
もう昔の話であるが、青木、ジャンボ尾崎の二人がTVCM出演して好評を得た。

それがアサヒのキリンに対する攻勢のはじまりであった。
アサヒの「つき」はジャンボ尾崎から始まったといっても過言ではない。

ジャンボ尾崎はいろいろな節目に顔をだす。

スーパースターはどこか違う人生の歩みを見せる!!
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