利休の消息 (直筆手紙)
増田 孝 愛知東邦大学 客員教授
投稿:前田秀一 プロフィール
2022年3月8日、BSテレビ東京放映「なんでも鑑定団」で、出品者の評価額百万円を大幅に超えた1,200万円と鑑定された千利休直筆書簡(*)が大きな話題になり驚きました。
*:堺の商人宛に「ルソン(フィリッピン)の壺を金子12,13枚(現在価値約400万円相当)でもいいから買いたい人が複数いる」と利休の目利きの壺を求めた内容
それから数日後、堺衆文化の会・谷本順一会長から恒例の「山上宗二432年忌」に、なんと、お宝大発見を鑑定されて増田 孝先生(愛知東邦大学客員教授)に「利休の消息(手紙)」と題してご講演いただく旨ご案内がありました。
増田先生のお話しでは、茶会の準備は人任せにしない利休には、書簡に関しては、多くの祐筆(代書担当)がいて、「鳴海」などが有名で、そのほかにも何人かいたので直筆の発見は少ないとのことでした。
ご講演では、利休自刃2週間前(1591年2月14日付)、細川幽斎の家臣で利休の高弟でもあった松井康之に宛てた最後の直筆手紙(細川幽斎家臣・松井康之宛)を事例として、筆跡、花押はもとより紙の端を割いて巻き留めとする「切封墨引」が残り利休から届いた状態のままであることなど貴重な直筆証左を解説していただきました。
熊本県指定重要文化財(書跡) 松井文庫(熊本県八代市)所蔵
<文意>
わざわざの飛脚、大変ありがとうございます。
富田知信殿と柘植与一殿を使者に、堺に下るようにと、秀吉様から命じられたので、にわかに昨夜、出立しました。
淀まで細川忠興様と古田織部様が見送りに来られたのを船着場で見つけ、驚きました。
感謝の旨をお二人にお伝えください。恐惶謹言。
二月十四日
利休宗易
松井佐渡様
当日は、臨済宗大徳寺派・龍興山南宗寺で、恒例の三千家(表千家・裏千家・武者小路千)持ち回り「大茶会」(令和四年は「裏千家」主催)開催と重なり、大勢の方々が参加され大盛況(先着40名入場制限)でした。
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