
前田秀一 プロフィール
掛かり付け歯科医の待合室で、今、話題の姜尚中先生(東京大学大学院教授)の談話「清も濁も併せ含む大人の価値観を持とう」(『婦人公論』1月22日号)に出会い感動しました。あいにく、読んでいる途中で名前を呼ばれ、後ろ髪をひかれる思いがしたので、先生にお願いしてコピーを撮らせていただきました。ご存知かもしれませんが、“さわり”をご紹介します。
昨年(2011年)、日本列島に住む人々はいまだかつて経験したことのない大地震、津波、それに人類史上例のない放射能禍に出会った。
日本には人と自然の関わりが古層のように脈々と横たわっている。もともと、日本文学の底流には「無常観」というものが根強くあったが、今回、日本人のそれぞれが心の奥底に抱え込んでいた無常観に否応なく気付かされた。また、伝統的に日本人の幸福感の土台には「浄・不浄」の観念があるが、社会を支える大地が否応なしに見えざる膜(放射能)で覆い尽くされ、これまで、至上としていたイノセント(無垢)が存在しなくなってきた。
もう元には戻れないが、むしろ、真の意味で成熟した幸せの感性と、それによって見出される成熟した美しさが現れて、今までとは全く違った幸せの形が見つかると期待している。
「清濁併せ呑む」作法を身につけることにより、感性が研ぎ澄まされ目についた光景や人との何気ないふれあいが、ものすごく愛おしく感じられ、すべてを受け止めていく中で初めて見えてくる尊い幸せを確かめ、大人にしか感じられない幸せが得られていく。
「今」と「ここ」についてずっと考えている人は、くじけないで生きている。世界は、今、誰一人として経験したことのない不確実な未知の時代に入っている。目の前の課題に真摯に取り組むべきでしょう。
写真は、平成23年7月23日 仙台市立東六郷小学校にて 「東日本大震災」被災状況。
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