心人-KOKOROBITO-

亡き先人と今を生きる人に想いを馳せて
慰霊活動や神社参拝で感じ取った事を書き綴った日記と日々の雑感コラム

芸と才能と人間性

2013年06月16日 | 雑感
6月15日のたかじんnoマネーの生放送で、放送中こんな事が起き、今話題になっている。

橋下氏の発言に水道橋博士が激怒、生放送中に番組降板
スポーツ報知 6月16日(日)7時4分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130616-00000012-sph-soci

 15日に生放送されたテレビ大阪の討論番組「たかじんNOマネー」(土曜・後1時)で、レギュラー出演者のタレント・水道橋博士(50)が突然、番組降板を表明するハプニングがあった。ゲスト出演した日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長(43)が「小金稼ぎのコメンテーター」と発言したことに激怒し「今日で番組を降ろさせていただきます」と放送中に退席。番組では従軍慰安婦発言に関する論戦が繰り広げられていたが、思わぬ事態に発展した。

 発端は、冒頭の橋下氏のひと言だった。同番組では従軍慰安婦に関する橋下氏の一連の発言問題に関し、今月1日の放送で視聴者投票を実施。視聴者の約8割が「問題なし」と回答した結果を受け、橋下氏は「有権者は冷静ですよ。小金稼ぎのコメンテーターとは違います」と言及。水道橋だけを直接意図した発言ではなかったが、これが導火線となった。

 水道橋はその後「(慰安婦に関する発言は)どのタイミングで発するべきか、みんなちゃんと計っている」「言葉を選んで言わなきゃダメ」と橋下氏を批判。しかし、放送中盤、橋下氏から「元慰安婦が国家補償を求めている。それを認めるべきですか?」と難題を突き付けられ、「僕に聞かれても答えられない。オレただのタレントですよ」と、封じ込められる形になった。

 序盤は威勢よく論戦を挑んだ水道橋だが、後半20分間は無言。不満が募ったのか、番組終盤「橋下さんが『コメンテーターは小金稼ぎ』と言ったんで、僕、今日で降ろさせていただきます。(小金稼ぎとは)違います。3年間ありがとうございました」と、怒りに震える様子で席を立った。

 水道橋は、橋下氏が文楽協会への補助金削減の方針を打ち出した昨年も、ツイッター上で直接論戦した経緯がある。生放送後には翌週分も収録予定だったが、これもキャンセル。記者から「本当に辞めるのか?」と問われると、険しい表情で「はい」とだけ言い残し、タクシーで同局を後にした。

 同番組の徳岡敦朗プロデューサー(48)は「番組としては慰留したい」と、週明けにも所属事務所側と調整する方針。水道橋の所属事務所では「まだ本人と直接会って話せていません。時間をおいて、落ち着いたところで話し合って結論を出したい」とした。

 番組終了後、水道橋は自身のツイッターに「かつて本人がサンジャポの生放送でやったことをやった」と投稿。橋下氏がタレント弁護士時代、TBSの生放送で番組降板を宣言したことを引き合いに出した。その後、ツイッターで「『小金稼ぎの』は撤回します。すみませんでした」と謝罪した橋下氏に対し、「こちらこそ、すみませんでした。わかりあえないこともわかってください」と応じた。



で、今日に至る。

この降板劇について、ネットでは最初から仕組まれたものなどの噂があり、降板は決まっていたという話題もあったが、当事者の水道橋さんが否定をTwitterでつぶやいていた。その記事が以下の通り。

水道橋博士 出来レース説を「2万%ない」と否定 途中退席騒動で
デイリースポーツ 6月16日(日)15時37分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130616-00000041-dal-ent




断片的ではあるが、皮肉った方法で、橋本氏の過去の部分をなぞり、自分自身の行動言動を揶揄している内容の記事がいくつかあった。例えば、降板劇も、過去の橋本氏もやったことを挙げ、また出来レースについては、2万パーセントないと言ってみたり、掲示板などでは、さすがお笑い芸人!と茶化している書き込みもあったが、極めて冷ややかに読ませて戴いた。

芸人も今や、タレントの領域へ進出し、映画やテレビでも俳優業をしたり、歌を唄ったり多才だ。そんな芸人のマルチ性も世の中は認知し、取り立てて疑義も持たなくなった風潮がある。このバラエティー番組においても、芸人タレントの立場で、政治家に直接批判をする事が今や赦される時代になった。特に際立った芸、極みの部分もなく、何かしら流れ行くような笑い、消費され捨てられていく笑い、そんな漂う世界の中で、どれだけの個を律して健在ぶりを表に出すかという事で、番組においても、出演者が選ばれていっているように思う。

過渡期と言えば過渡期ではあるが、50歳の水道橋さんの目指す芸の詳細は存じ上げないが、北野オフィスにいらっしゃる関係上、親玉が多才なだけに一定の年齢を超えれば、ある程度芸とは別の道も、マネージメント業務の上で、タレントに応じレールを引くだろう。それが、現在の水道橋さんの置かれた立場であり、状況だと認識している。

彼の立場上、政治的発言をし失態をしたとしても、最後はタレントという部分で無知無作法を緩和できる保全がある。タレントが事務所へ席を置くとはそういう事だ。それがあるからこそ、あの幕引きも意を決して行ったのではないかとさえ感じる。当の本人の発言の断片からも垣間見れるが、橋本氏からのつっこみに対し、タレントであることを盾にし発言をはぐらかしてもいた。

あの放送を見て、客観的事実として、橋本氏は現在大阪市長であり、首長にしか過ぎないが、党の代表でもあり政治家でもある。現在彼は大阪市民から選ばれた首長ではあるが、コメンティターの面々はなぜ、同じ土俵に上がろうとし、批判しか行わないのだろうか。わたしには理解しがたいものがある。なぜ、政治への希望を述べないのか、なぜ、こうして欲しいが考えてもらえないだろうかと言えないのだろうか。

議論への是々非々以前に、パネラーそれぞれに橋本氏に抱く嫌悪がある。それが、不快さを増す要因だ。意見の異なる人間に対し、真っ向から全否定する事を日本人はよくするが、どうも、精神的に大人になっていない様相に見えて仕方がない。大人なら、是々非々で推し量り嫌悪などは余程悪人でもない限り、抱く感情ではない。

政治を語りながら、実質的に政治に直接関与が出来ないなら、少なくとも批判だけではなく、希望要望も添えるべきではないだろうか。どうも批判だけして済ませているばかりのように思え、是々非々の中に建設的な光が見えないのが、この種のバラエティーだ。

水道橋さんについて、芸の極みもわたしには感じられず、マルチ性の中にある個人の立場の使い分けが光った今回の一件は、ある意味この番組の中途半端さを露呈させた結果に至っている。番組上、不毛な結末を過去迎えた論争番組も、司会者の仕切りの問題でそうなった。彼の親玉でもある。その延長線上にあるかの如く存在している近しいこの番組は、たかじんさんの息越しも空しく、硬くもなく、柔らかくもなく、甘くもなく、辛くもなく、着地点のない批判飛行を、一緒に視聴者も飛べという酷な番組へと変貌を遂げた。

番組の中で、批判ばかり言うが、一体彼らは、何を政治家に真剣に求めているのだろうか。突き詰めれば、何も出てはこないのではないだろうか。気に入らないから、批判したい、自分の意見と異なるから自分の意見だけを述べたい、最後はそこに尽きるように思う。

橋本氏の慰安婦問題発言についてだけは、孤立しても是々非々で語り続けて欲しい。暴言し謝罪を繰り返せば良い。後は国民がそれぞれに是々非々で自己判断すればいい。橋本氏が言っていたように、皆で考えるきっかけにすれば、彼の発言は国内では価値ある発言に結果至るだろう。この慰安婦問題についての彼の論法は、100匹の猿の原理を用いたようなものだ。皆は彼の論法によって、考え推し量られるように仕向けられただけのように思う。

橋本氏のこれまでの発言に触れ、彼の根底にある思いは、嘘をついているのは、韓国であり、韓国の国策によって、慰安婦は捏造され、不当な戒めを日本が受けている事への抗議が基盤にあるように思う。その部分をパネラーである面々は、見ようとはしなかった。

水道橋さんもこれまでさまざまな議論を投げかけてきたが、今回の対応で改めて注目され、且つ賛否両論の意見が彼の元に届いただろう。ローカル放送の放送事故ともいえる今回の事を通じ、芸人やタレントという才能と資質、そしてそれらから垣間見られる人間性、それらを結果露呈させただけで、慰安婦への問題提起は結果なかったものに自らしてしまったようなものだ。これが等身大の素の彼を見たと言ったほうが良いのかもしれない。

昨日ニッポン放送「青山繁晴・水道橋博士のニッポンを考えナイト」に出演し、青山さんとの対談でこの話に至っていたようだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130616-00000108-spnannex-ent

自分の取った行動をパロディだったと説明した事も、また等身大の彼ではないか。自分の笑いが万人に受け入れられると考えることそのものに、また静けさと冷ややかさが増す。誰も知らないではなく、知っていても笑えないパロディなのだ。

この記事では、青山さんが「もしも僕が出演していて『小銭稼ぎ』と言われたら、黙ってるわけがない」と博士に同調、とあるが、青山さんなら冒頭にちょっと待って下さいよ!と放送進行を制止し、最初に橋本氏に訂正を求め話を詰めおり、決して番組の最後には言わなかったはずだろう。

そんな印象を抱かせる青山さんとは異なるリアクションを取った水道橋さんも、番組での共演をきっかけに、だんだんと青山さんに対する信頼から憧れに近しい感情を彼は持っていたのではないだろうか。だからこそ、このようなこころの発露を電波に乗せたのだろう。

ラジオを最初から最後まで聞いていないため真相は分かりかねるが、記事では今回の行動の理由を述べられたようだが、わたしは同調はしない。小銭稼ぎに噛むのであれば、進行する直前で噛むことが道理であり、一番正しいからだ。それを一番後にまわした行いこそが、パロディ云々以前の問題であり、等身大の彼、このような資質の人、という認識を抱かせるのである。

この番組はたかじんさんが強く望んで出来た番組であり、そのたかじんさんが政治家になる前から、是々非々で可愛がっていた橋本氏に、啖呵を切って降板した自身の姿を、結果として病室にいるたかじんに見せてしまった。これに対し、彼の弁明が見当たらない。この失態も若い芸人ではなく、50歳にもなった芸人にしては不義理ではないだろうか。詫びを入れているかどうかも不明だが、おそらくは当日連絡もされていないのではないだろうか。

全体の調和より、己のプライド、彼の自我がここを一番優位にしたまでだ。ラジオで自身の見解を述べたことも、その記事の内容からも、安っぽいプライドが安易に引き金を引いた一件だったと改めて感じさせてくれた。

護るべき自尊心、譲るべき自尊心、これらの分別のはき違え。
男としての威厳は、ここには見当たらない。

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