心人-KOKOROBITO-

亡き先人と今を生きる人に想いを馳せて
慰霊活動や神社参拝で感じ取った事を書き綴った日記と日々の雑感コラム

消費税の大儀

2013年10月01日 | 雑感
世間では増税に猛反発する人、経済を憂う人、まぁいいんじゃないと受け入れる人、そりゃ必要でしょうという人、さまざまです。

実質、来年4月1日から消費税は8%になりますが、負担をするのは消費者です。富裕層でも、低所得者でも、生活保護者でも、ヤクザでも、中核派でも、全員物を買えば消費税を支払います。ここに、消費税の意義である公平性が存在しています。

そもそも、日本においての消費税導入は、今から25年前の1988年(昭和63年)の竹下内閣時に、消費税法が成立し、12月30日公布されました。そして、翌年の1989年(平成元年)4月1日に消費税法施行として、商品を購入した際、代金と代金に対して税率3%を掛けた金額を支払うことになりました。

この時には、売上の低い自営業者に対しては、消費税課税業者の免税点が設けられ、売上3000万円未満の場合、商品を売って預かった消費税を納付しなくてもいいという、おかしな措置が講じられました。

そして今から16年前の1997年(平成9年)4月1日に、 村山内閣で内定していた地方消費税の導入と消費税等の税率引き上げ(4%→地方消費税を合わせて5%)を橋本内閣が施行する事になりました。いわゆる、3%から5%へアップしたわけです。

これまで、売上の低い自営業者(3000万円未満)にも、メスが入れられ、2003年(平成15年) に 消費税課税業者の免税点が売上3000万円から1000万円に引き下げられました。要するに、1,000万円未満の売上しかない自営業者は、消費税を納付しないくてもいいという事で、売上額のボーダーラインを引き下げ、消費税納付事業者の拡充を図りました。

消費税5%から8%に上がったことで、商品そのものの値段と消費税をこれまで別々にレシートでも表記していましたが、今から9年前の2004年(平成16年)に価格表示の「税込表示」が義務づけとなりました。税金込の価格表示となり、商品がいったいいくらで、消費税がいくらなのか?という疑問を払拭させることも、増税に対する反発心を抑える狙いもあったものと推察します。



こうして現在、16年ぶりに消費税が3%アップになる事が決まり、平成26年4月1日より施行されることとなりました。

当時、消費税を日本に導入する事を決めた故竹下登元首相は、いずれ日本は高齢化社会になる、そう踏んで、福祉のためにという大儀を掲げ、その目的税としての消費税が導入されました。そして生前には、政界内で、消費税率を上げる際、3つのタブーを語っていました。



『売上税のときのような公約違反は駄目』

『財政赤字を補填するために上げてはいけない。まずは赤字の原因を直してから』

『(消費税は)逆進性が強い点に配慮するべき』



昨年、2012年(平成24年)8月10日に 野田第2次改造内閣にて、消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法案が成立したわけですが、これには民主党、自民党と公明党の両党で、修正合意によって道筋を付けてました。ただし、この時はまだ、【経済状況等を総合的に勘案した上で、消費税率の引き上げの停止を含め所要の措置を講ずる】という法案は成立したけど、実施はまだ保留という曖昧な形で、総選挙後を政権を担う政党に決断が委ねられたわけです。

そして、総選挙で自民党が返り咲き、今日安倍首相は、消費税増税の決定をされました。

こうして、消費税導入が25年前、5%が16年前、もう生まれた子供が16歳になる頃ですから、経済状況は勿論の事、世情も変わるものです。

わたしは、この歳月の流れの中にある消費税議論や決定に対しては特に問題視していませんが、この仕組みのからくりに公平さが確立出来ていない事にひっかかっています。

まず、それは課税業者と免税業者についてです。消費税は消費者が物を購入した際支払うべき義務がありますが、物を売った側、つまり事業所は消費者が支払った消費税は、【預かり金】という扱いになります。これは、売上ではありません。事業所は、仕入時に消費税を支払をしますが、ここでの扱いは消費者になります。そして、仕入れた商品を販売すれば、商品代と消費税を領収することとなり、ここでの扱いは事業者になります。

まわりくどい言い方ですが、事業所は消費者が支払った消費税を納税する義務があり、納税者となります。課税事業者が納めるべき消費税の算出式は、簡単に言えば以下のとおりです。

商品を売った際領収した消費税-商品を仕入れた際支払った消費税=税務署へ納付する消費税

しかし、売上1000万円の個人自営業者など小さな商売で生計を営んでいる人は、この商品を買ってくれた方が支払った消費税を領収しますが、納付はしなくても良いという免税を受けています。

売上年間1000万円未満と言いますと、月収では売上83万円ほどになります。消費税を含まない売上になりますので、実質83万です。仕入れの際73万月額支払った場合、消費税は58,400円となり、領収した際の83万に対する消費税は66,400円になります。

66,400円-58,400円=8,000円の差額になり、年に戻すと96,000円になります。これが、免税業者は自分の利益に繋がっています。消費税が来年上がる際、この免税業者にも新たに免税点が低く定められるかどうかは分かりませんが、是正されなければ、消費税8%アップした結果、利益はさらに36,000円増えるという試算になります。この仕組み、なんだか奇怪です。増税すれば利益になるのですから。

また、正しく納税意識のある企業や自営業者だけではありません。脱税でマルサが入ったというニュースも大きな話題ですが、税務署は反面調査としてさまざまな工夫をこらし、裏を取る【資料せん】なるものを盾に、事業所からさまざまな情報を収集しています。

この調査に基づき、法人個人の利益を隠していると判断出来る対象者に税務調査を行っています。税務調査の結果、お土産は持って帰るわけですから、調査を受けた人は約3年遡られ結果所得隠しが見つかれば追加課税し、修正申告をさせ、納税させることを繰り返しています。もちろん、ここでは法人所得税、個人所得税の他、消費税も含まれます。

免税業者の存在、そして消費者は公正に負担していたとしても、納税者たる事業所の不正によって、税務署へ消費税が渡っていないのが現実なのです。

増税したとしても、見込み税収を下回るということは十分あります。それは消費動向が増さず、経済状況が横ばいに至った場合や、または納税事業所の不正によって消費税の納付が過小納付されるというのが理由です。

つい、出費が増えることばかり意識が傾きますが、26年前に故竹下登元首相が掲げた大儀は、すっかり自民党政権によってなし崩しにされてしまいました。どの政権も旧大蔵省、現財務省に翻弄された結果のように散見出来ます。

野田首相も法案可決と共に、どじょうの如く今は日陰の身でその存在すら薄くなっていますが、消費税を8%にアップさせることにやみくもに反対と唱えるのではなく、そもそも消費税導入に理念を掲げた故竹下元首相を思い返し、【大儀】、【3つのタブー】、【納税事業者の納付システム】などに疑義を唱えることがしっくり来ます。どの道、反対したとしても来年4月1日に施行されれば8%の消費税は支払うのですから、増税に当たっての大儀、消費者は本来ここに強く言及せねばならないでしょう。

安倍首相の決断に対し、是々非々が巻き起こり、政権交代を目論む中共も影でちらつきますが、わたしたちは冷静に時の政権を判断せねばなりません。何も消費税だけが政治ではないのです。尖閣諸島で海保に船を当て暴挙に出た犯人を、検察に中国へ帰せと圧力をかけてみたり、大震災で、東電をどなりまくり、パフォーマンスで現場にわざわざヘリで出かけて見に行く首相や、トラストミ~と言ってアメリカでルーピーと呼ばれる首相などは、二度と勘弁してもらわねばなりません。

安倍首相の決断によって、彼自身に向けられる否定的意見は、これからマスコミによってさらに加熱していくでしょう。しかし、冷静になりましょう。そもそも、決断は彼ですが、政策は官僚らが脚本を作っていくものです。消費税導入大儀と反し、毎年健康保険料や厚生年金保険料も上昇しています。この9月分より厚生年金保険料も微妙~に上がっております。

財務省と厚生省は、消費税の大儀に対し、つじつまの合わない事を続けているわけですから、彼ら自身の守るべき領域ばかり主張されても、納得は出来ないでしょう。増税にある大儀、ここを確固たる約束が示せたなら、国民は納税も致し方ないと赦すでしょう。

なぜなら、自分の親も福祉のお世話になるやもしれませんし、今は若くても、皆いずれは福祉のお世話になる年齢に達するのですから。この【福祉】という言葉に含まれるあいまいさ、福祉と言えばなんでも赦されるという、ここが大儀の本筋とぶれているところが一番の問題点のように感じます。この大儀に対し、所轄省庁は、本気で議論を重ねていただき、納税者が気持ちよく納税できる案を、本来構築せねばならないでしょう。

国民の中で不満をネットで書き連ねることだけで終る人もいるやもしれません。ネット環境が整った現在、増税にあたって文句を連ねるなら、引換えに提案をされてはどうでしょうか。増税するならここを是正するべきでは?というような、自身の考えをぶつけるべきです。

提案する声は、内閣府のパブリックコメントで届ける事が出来ます。また、各省庁にもお問い合わせなるメール送信画面もあります。活用しても罰は当たりません。国民が疑義を唱えるべきは、【消費税の大儀】 本来、ここのように思えてなりません。故竹下元首相の『財政赤字を補填するために上げてはいけない。まずは赤字の原因を直してから』 26年前の警告を、現在ないものとしているのですから。

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