サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

環境オピニオンリーダー

2010年08月15日 | 環境イノベーションとその普及
 オピニオンリーダーは、パーソナルなコミュニケーションにおいて、態度の改変等の影響を与える人のことをいう。

 このオピニオンリーダーは、そうでない人よりも積極的に情報を入手し、それを他者に伝え、影響を与えるという「情報の2段階の流れ」という仮説がある(E.カッツ、ラザースフェルド)。

 さて、環境配慮の普及において、オピニオンリーダーはどのように存在し、オピニオンリーダーはどのようなメディアから環境情報を入手しているのか。

 この答えを探るために、飯田市民アンケートをもとに少しの分析を試みた。

 まず、アンケートでは、次の4つの設問について、「そうである」を4点、「どちらかといえばそうである」3点、「どちらともいえない」3点、「どちらかといえばそうでない」2点、「そうではない」1点として、平均得点を求め、オピニオンリーダー度とした。

 ・友人や知人と、よく環境問題に関する話をする
 ・友人や知人に環境問題についての話をするとき、自分から、多くの情報を提供する.
 ・環境問題について、よく人から尋ねられる
 ・自分が話しをしたことやアドバイスが、友人や知人に影響を与えることが多い

 この環境オピニオンリーダー度をランクデータにして、基本属性とのクロス集計を行った。この結果、例えば、3.5点以上を環境オピニオンリーダーだとすると、男性の方が相対的にリーダーが多いことがわかる。また、50歳以上では、3.5点以上が10%前後いるのに対し、50歳未満では5%前後である。

 次に、環境オピニオンリーダー(ランク3.5点以上)と全サンプルについて、環境情報の入手先の違いを分析した。この結果、次のことがわかった。

・環境情報の入手先について、「よく入手する」とする回答率の違いを比較すると、全サンプルでは、「テレビ・ラジオ」、「新聞や雑誌」等のマスメディアに特化して環境情報の入出先が行われているのに対して、環境オピニオンリーダーは、全ての情報入手先から積極的に環境情報を入手していることがわかる。

・環境オピニオンリーダーの情報入手率が高いのは、「テレビ・ラジオ」、「新聞や雑誌」が突出して多いが、次いで「勤務先・取引先」、「インターネットやメール」、「飯田市の広報誌等」、「家族や友人・知人等」、「企業の広告等」、「書籍」の順となっている。

・全サンプルと比較すると、環境オピニオンリーダーでは、特に「勤務先・取引先」、「インターネットやメール」を通じた入手率が高いことが特徴である。環境オピニオンリーダーに対しては、一般住民と比較して相対的に、職場を通じた環境情報の提供、インターネットやメールの活用が、効果的であるといえる。
 
 さらに、20歳代、30歳代、40歳代で、環境オピニオンリーダーランク3.0点以上の方について、環境情報の入手先を分析した。若い年代の環境オピニオンリーダーは、特に「勤務先・取引先」、「インターネットやメール」を通じた環境情報の入手のウエイトが高いことがわかった。


参考文献: 
 田中洋・清水聰編「消費者・コミュニケーション戦略」2006年5月、有斐閣アルマ
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