サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

エネルギー自治に向けた多様な関わり方

2014年05月03日 | 気候変動緩和・低炭素社会

 これまで、日本では、国と地域を独占する電力あるいはガス会社が一体となり、社会経済の安定のためにかかせないものとして、エネルギーの供給を行ってきた。生活者にとって、ネルギーは与えられるものであり、自分たちが選択したり、自分たちで電気をつくるというような発想は持ちえないものであった。しかし、時代は変わりつつある。

 

 生活者が主体となった再生可能エネルギーの導入を考える際に、よく参考にされる国が、ヨーロッパ、特にドイツやオランダ等である。これらの国では、熱を含めたトータルなエネルギー制御を、地域主導でローカルに実践している地域があることに特徴がある。

 

 かつて、アルビン・トフラーが、生産に関与・参加する新たな消費者の姿を「プロシューマ」と呼んだ。プロデューサー(生産者)とコンシューマー(消費者)を組み合わせた造語である。ヨーロッパのローカルなエネルギーづくりの動きは、エネルギー消費者のプロシューマ化の動きである。こうした動きは、エネルギーを地域の主体が主導するという意味で、「エネルギー自治」ということもできる。

 

 しかし、「エネルギー自治」という方向性をいうはいいが、私たちは具体的に何ができるのだろうか。地域で再生可能エネルギー発電をつくるといっても私にそこまで関わる力はないという人も多いだろう。

 

 そこで、「エネルギー自治」への関わり方として、様々な選択肢を用意し、一人ひとりの状況に応じて、自分にできる方法を選択できるようにすることが大事である。大きくは、3つの選択肢がある。

 

 選択肢の1つめは、「自らが再生可能エネルギーをつくる」ことである。今日では、自宅に太陽光発電や太陽設備、木質バイオマス設備を設置するための国や地方自治体の支援制度があり、昔に比べれば随分と設置費用も安くなってきた。

 

 再生可能エネルギーによる発電事業に出資するという方法もある。自宅で太陽光発電等を設置する場合には、屋根の形状や日照条件等が悪いと設置できない場合もあるため、出資という方法も自分ができる選択肢として注目したい。

 

 選択肢の2つめは、「再生可能エネルギーを使う」こと。これは、再生可能エネルギーでつくられた電気の消費者となることで、再生可能エネルギーの持つ環境配慮という付加価値に対する支払いを行う、再生可能エネルギー事業を支えることである。再生可能エネルギーを使って作られた製品やサービスの消費者となることで、間接的に再生可能エネルギーの付加価値に支払いを行うこともできる。

 

 また、自宅で太陽光発電を設置し、さらにそれと設備を組み合わせることで、省エネルギーをしたり、蓄電をしたりするスマートハウスもある。スマートハウスとは、クリーンなエネルギーを賢く(スマートに)使う仕組みである。

 

 さらに、自然の光や熱、風を屋内に上手く取り込んだり、夏は涼しい場所に移動するということも、自然のもつエネルギーを上手く利用する方法になる。ハイテクや設備に頼らず、住宅の設計や暮らし方での工夫にも注目したい。

 

 選択肢の3つめが、「再生可能エネルギーを活かす、地域づくりに参加する」ことである。再生可能エネルギーは、地域資源であり、地域内で使うことで地域の活性化につなげることができる。エネルギーの地産地消に、地域住民として、あるいは消費者として関わり、地域が豊かになれば、私達の暮らしも豊かになるだろう。

 

 また、再生可能エネルギー事業を地域で実施する場合、自然を壊す恐れもあるのではないかといった反対が強くなる場合もある。闇雲に反対するのではなく、専門家と信頼関係を築き、事実を確認して、合意作りに参加することも、再生可能エネルギーへの関わり方の一つである。

 

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