サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

環境ビジネスと地域再生

2016年02月20日 | 環境と経済・ビジネス

横浜環境ビジネスネットワーク メールマガジン【2月19日配信】

コラム【第11回】環境ビジネスと地域再生 

 

 環境ビジネスは、地域再生に貢献できるだろうか。この問いに答えるためには、「そもそも地方再生とは何か」を考えなければならない。地方再生には、経済面と社会面、あるいはそこに暮らす住民生活面の3つの側面があるが、ここでは経済面の地域再生をとりあげる。
 

 まず、環境ビジネスによる地域経済への効果として、(1)環境ビジネスに係る設備投資効果、あるいは(2)環境ビジネスの商品の移出効果(地域外への販売による地域内への資金流入)がある。これらは環境ビジネスでなくても、地域ビジネスによる経済効果として、計算される。
 

 環境ビジネスゆえの効果としては、(3)環境ビジネスによるエネルギーや資源のコスト削減、また(4)地域内でのエネルギーや資源の調達による地域外からの移入代替効果等の側面があげられる。(3)は省エネや省資源によるコスト削減を指すが、環境ビジネスの導入によりコスト増になる場合もある。(4)の例としては、最近では再生可能エネルギーによって発電された電力の地域内消費がある。

 これまでは地域における電力消費に伴い、1世帯あたり年間10万円を超える電気代が電力会社の収益として地域から“漏れていた”が、再生可能エネルギーを地域内で消費すれば、その分の“漏れ”が削減され、その分の資金が地域内に留保する。


 さらに、(5)地域における環境配慮消費を行う消費者による関連商品の購入増大、(6)地域における環境技術の革新と地域産業の振興、(7)環境ビジネスが活性化する街であることによる事業や地域の付加価値、等も地域経済への効果として期待される。


 これらの効果は間接的ではあるが、環境ビジネスゆえの効果といえるだろう。こうした環境ビジネスの経済効果は、地域内に資金が流入し、地域外への資金流出が抑制され、環境負荷を削減しながら資金が循環する“経済的自立”によってもたらされる。この効果を引き出すうえで重要なことは、地域資源を生産へのインプットとして使うことである。また、地域内の消費者との関係を形成し、地域内市場を醸成することも期待される。

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