サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

エコポイント ~ダブルエコか、シングルエコか

2008年01月11日 | 環境と経済・ビジネス
 名古屋大学の井村先生のところに、元MKI総研の河村君と一緒にヒアリングに行ってきた。

 愛知万博のときに評判となり、その後もソフト的なレガシー(遺産)として、継承・実施されているEXPOエコマネーの話を聞いてきた。

 エコマネーといっても、交換媒体として繰り返し利用できる通貨を流通させるものではなく、環境配慮商品の購入や環境配慮行動のご褒美として、何かに還元できるポイントを付与するというもの。”エコポイント”と表するのが適切である。

 エコポイントについては、経済産業省、環境省などが、それぞれに注目して、調査やモデル事業を検討しているところである。EXPOエコマネーの実施主体では、それにさきがけ、地方公共団体に呼びかけ、共同基盤の構築を検討しているとのこと。

 興味深かったのでは、ダブルエコという考え方である。エコポイントでは、ポイントを取得する行為と還元する行為をどのように設定するかが課題となる。取得と還元の両方とも環境配慮型であるのが、ダブルエコだ。例えば、レジ袋を断わるという行為でエコポイントを稼ぎ、貯めたエコポイントでエコバックがもらえたり、ハイブリッドカーが割引で買えたりというがダブルエコである。

 これに対し、取得は環境配慮型で、還元は環境配慮にこだわらないのが、シングルエコである。レジ袋も断って、エコポイントを稼ぎ、マクドナルドのハンバーガーがもらえたり、ハワイ旅行にいけるというのがシングルエコである。シングルエコの場合、取得の行為による環境負荷削減効果を、還元の行為によって、相殺してまう場合もあり、環境効果は十分なものとならない可能性もある。ただし、還元先のメニューが魅力的であれば、より多くの人々がエコポイントを取得したがるという利点もある。

 環境配慮に熱心でない人にはシングルエコの方が魅力的であろう。逆にいえば、環境配慮にあまり熱心でない層への普及ツールとしては、シングルエコの方が効果的であるとも考えられる。

 ダブルエコであっても、多様な主体が発行するエコポイントを相互に交換できるようにして、還元メニューの品揃えを増やすことで、魅力を高めることもできる。ANAのマイレージポイントを一定のレートで他の会社のポイントに換算できるポイント交換制度が流行っているが、それのエコ版(エコポイント交換制度)をつくるというイメージである。

 エコポイントのスポンサーとして期待される企業は、自社の環境配慮商品の販売促進やイメージアップを目的とする。ダブルエコで利用者が少なり、効果が小さいようなら、シングルエコを希望する場合もあろう。一方、ダブルエコで、コアな消費者を囲い込みたい企業もあろう。

 いずれにせよ、持続可能な社会や脱温暖化は、より多くの主体の参加によってなされるものであり、環境配慮に熱心でない人の参加と学習を促す仕組みづくりが必要である。

アメとムチの仕組みがあるとすれば、排出枠や罰則といったムチだけでは限界がある。そもそも、ムチという方法は、「主体的な参加」という持続可能な社会における不可欠な原則に反する。アメの仕組みであり、かつ気づきや学びを促す仕組みとして、エコポイントに期待したい。

 平成20年度は、エコポイントに注目である。エコポイントの話題は、カーボンオフセットなどとともに、何度かとりあげていきたい。




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