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環境ビジネスとソーシャル・ビジネス

2015年10月20日 | 環境と経済・ビジネス

横浜環境ビジネスネットワーク メールマガジン【10月20日配信】  コラム【第7回】環境ビジネスとソーシャル・ビジネス

 

 ソーシャル・ビジネスという言葉をよく聞くようになった。東日本大震災の後、被災地支援のビジネスとして注目されてきた。元々はグラミン銀行のムハメド・ユヌス氏が提唱した言葉で、社会問題の解決のためのビジネスという意味である。

 コミュニティの中に限定して社会問題を解決するコミュニティ・ビジネスという言葉もある。コミュニティには地縁の結合的なものだけでなく、情報による橋渡し的なものもあるとすれば、ソーシャル・ビジネスとほぼ同義である。
 

 環境問題も社会問題の1つであるとすれば、ソーシャル・ビジネスの中には、環境ビジネスが含まれる。ただし、ハイブリッドカーの製造や販売ビジネスを、ソーシャル・ビジネスというには違和感がある。ソーシャル・ビジネスは、収益性を重視しつつも、主題が社会問題の解決にあるからである。


 ところで、環境福祉学会という学会をご存知だろうか。元環境省事務次官炭谷茂氏が、21世紀を「福祉と環境との統合」を目指す時代と捉え、2001年に設立した学会である。同学会では、環境福祉ビジネスの創造を1つの研究テーマとしている。


 筆者は、回収後のトレイの分別を障がい者に作業してもらうトレイのリサイクルビジネスを調査したことがある。また、滋賀県湖南市には、福祉施設の屋根の上に太陽パネルを設置している市民共同発電事業(市民出資で資金調達)があるが、これも福祉と環境の融合を図っている。


 「福祉と環境との融合」という観点で、新たなソーシャル・ビジネスを考えたらどうか。つまり、ソーシャル・ビジネスの分野の1つに環境ビジネスがあるとするのではなく、環境問題と環境問題以外の社会問題を同時に主題とする「環境と福祉の統合型」のソーシャル・ビジネスを積極的に創出するのである。

 

 ストレスによって病んだ人の健康を取り戻す森林での癒しツアー、高齢者を講師として活用する環境教育ビジネス等が考えられる。

 

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