前から気になっていた「電車男」という本(写真)を買い、土・日にいっきに読んだ。
今朝のニュースで言っていたが、もう50万部売れたのだそうだ。
スタイルとしては新しく、非常に変わった本(なんと!横書き!)なので「誰にでもおススメ」というわけにはいかないが、私自身は充分楽しめた。
だいたいこれはどんなジャンルに入るのか。
小説ではない。しいていえば「ドキュメンタリー」かなぁ…などと、ジャンルにこだわっているようではこの本を本当に楽しむことはできないかも。
これはインターネット上では良くも悪くも有名な(後者のイメージの方が強いか?)巨大掲示板「2ちゃんねる」(そのカテゴリーや掲示板数は無数である)で実際に起こったことを綴ったものだ。舞台となったのは、独身男性が集まる掲示板だ。
非常に特殊な世界で、専門用語や意味不明の言葉も多く、ある程度の予備知識がないと、何が書いてあるか理解するのも大変だろう。(…と思ったら、本を巻く帯の裏側に小さく「※本文中の言葉がわからない方は、こっそりカバーをめくって表紙をご覧ください」と書いてあるのを発見!なんだ!こんなところに書いてあったのか…)
しかしその根底にあるのは純情な青年(生まれて今まで一度も女性と交際した経験がない)と、彼がある事件をきっかけに知り合った女性との、まぶしいくらいにストレートなラブロマンスだ。それを主軸に、掲示板を通じて知り合った、たくさんの仲間たち(注・…といってもネット上の付き合いなので、実際にはお互いにどこの誰だかは知らない間柄)の助言や反応が加わる。
この仲間たちのリアクションが大変面白く、読みながら何度転げまわって笑ったことか。
AA(アスキー・アート)と呼ばれる、文字や記号を組み合わせて表現する絵も面白い。
「2ちゃんねる」でのやり取り(意見交換、書き込み)は、ほとんど全員誰でもが「名無しさん」という匿名を使用するため、常識もマナーもない人間の「本性むき出し」的な部分が多数見受けられ、あまりおススメできるようなシロモノではない。人間の恥部を晒しているようなところがある。「写真週刊誌」をさらに下品にした…という感じ。
犯罪予告や暴露事件が問題となり、何回となくニュースとなったことをご記憶の方も多いだろう。
しかし物事は決して片面だけでは語れない。
この本にある、同掲示板で起こった出来事を通じて流れるものは、間違いなく「性善説」の人間の姿だ。
表現は適当ではないかも知れないが「掃き溜めの鶴」のような、読後感スッキリ爽やかな「電車男」だった。
作者は「中野独人」。これは「なかのひとり」と読み、インターネット上の掲示板に集う独身の人たちという意味だそうだ。
新潮社。
今度貸してください。
>今度貸してください。
了解です。…が、ただ今ウチでは長女が読んでいます。次は家内が読むことになっています。その次ですね。
…というか、別の方法があったりしますが、これは営業妨害になっちゃいそうなので、知りたい方は個別にお問い合わせください。