korou's Column

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松浦亜弥ディスコグラフィー 14 「想いあふれて」

2015-07-02 | 松浦亜弥

 

5thアルバム「想いあふれて」に収録され

その約3年後に発売された「10TH ANNIVERSARY BEST」にも収録された曲。

その時点で最後のオリジナルアルバムだった「想いあふれて」の収録曲で

「10TH ANNIVERSARY BEST」にも収められたのは

この曲だけである。

アルバム「想いあふれて」の発売日は2009年1月21日。

作詞はpopy、作曲・編曲は中野雄太。

 

作詞のpopyという人については詳細は不明だが

亜弥さんの曲では、このアルバム内で「Fallin'」の作詞も手掛けている。

さらに2007年11月に発売された

コンピレーションアルバム「CHRISTMAS HARMONY」において

w-inds名義でリリースされた”Storytelling”という曲の作曲もしているが

あまりに情報が乏しくてよく分からない。

数少ない情報のなかでたまたま出てきた情報が

亜弥さんとw-inds、というのも面白い。

 

作曲・編曲の中野雄太氏は

浜崎あゆみのシングル曲、アルバム曲を幅広く担当したことで

業界内ではよく知られている人である。

浜崎あゆみ以外にも

EXILE,三代目J Soul Brothers、島谷ひとみなどを担当。、

亜弥さんの曲では

「ひとり」の作詞・作曲・編曲、「Fallin'」「想いあふれて」の作曲・編曲を手掛けている。

 

調性はG♯。

作編曲の中野さんは

ストリングス系のアレンジが得意らしく

この曲でもストリングス系の音色を強調した作りとなっている。

編曲という面では申し分ない出来栄えだ。

 

しかし、曲そのものはどうかと言えば

ハッキリ言って平凡だと思う。

さして変化のない音形を繰り返しながら

予定調和のような盛り上がりに持ち込んで

「どうです?いい曲でしょう」と自慢されているような感じすら受ける。

歌うのが亜弥さんでなければ成り立たない曲だろうと

個人的には思っている。

 

亜弥さんはこの曲が大好きなようだ。

ライブで何度も「いい曲です。好きです」と言っているし

事実、最後のコンサートツアー「想いあふれて」では

この曲を最後に持ってきて

何度も感極まって涙を流しているほどだから

よほど思い入れがあるのだろう。

 

この曲には、いくつか忘れがたい名唱があるのだが

個人的には

マニアックライブ3の最後に歌った「想いあふれて」が一番心に沁みてくる。

それには私の個人的な思い込みが大きく左右している。

 

私は、亜弥さんを苦しめた病気が

2010年の秋に一気に悪化したという仮説に拘っている。

そして、第三者には何がどうなったのか見当もつかないが

2011年春には慶太サンとの同棲生活が始まり

そこから2012年2月のマニアックライブ4まで

綱渡りで「デビュー10周年行事」をこなす。

それから2013年夏のマニアックライブ5までの間に

病気の根本的治療を受けたという流れ。

 

そういう仮定に立てば

亜弥さんが特に大きな心配もなくステージに立てた最後のライブは

2010年9月のコットンクラブでのそれということになる。

そして、そこでも「想いあふれて」を歌っているのだが

残念ながら、このライブでのこの曲に関しては

どことなくよそ行きの歌い方に終始しているように聴こえるのだ。

 

・・・・となれば

亜弥さんが思う存分この曲への想いを込めて歌った最後の映像となれば

マニアックライブ3のこれしかないのだ。

 

出だしはそれほど素晴らしい出来とは言えない。

ところが、一通りメロディを歌って

2度目の導入部に入ったところで

一気に集中度を増していくのが分かる。

    ♪壁の時計の音を聴き
     部屋に花を飾った
     静けさに身をゆだねて 瞼を閉じるの

このへんの歌詞を

これほど深く沈潜して

まさに歌詞そのままに「静けさに身をゆだねて」表現し得た歌手が

かつて居ただろうか。

多分、日本中の歌手のなかでも

松浦亜弥以外誰も出来ないのではないだろうか。

 

こんな深い沈潜の後

   ♪ただ待つだけの毎日が
    私にくれたものは
    孤独と背中合わせの少しのプライド

という歌詞が歌われる。

「孤独」とか「プライド」とかの言葉が

意味深く聴こえてくる。

まさに”Aya the Witch”だ。

あとは、亜弥さんの魔法にかかって

一気にフィナーレまで魂を運ばれる。

 

そして、最後の最後・・・・歌い終わった直後に見せた表情の変化。

歌っているときの超真剣モードと、歌ったあとのリラックスしたMCモードが

これほどハッキリと対比された映像は

このマニアックライブ3でしか見られない。

何回見ても、この瞬間の亜弥さんの表情の変化にドキッとする。

それは、いかにそれまで

超真剣モードで歌っていたかを示すものだから。

 

もし亜弥さんが今後歌手として復帰しないのであれば

これは亜弥さんの心情が窺い知れる最後の熱唱と言ってよいだろう。

この後のコットンクラブライブの出来も素晴らしいのだが

亜弥さん個人の心情をさらけ出して、それが胸を打つといった類のドラマは

(少なくとも私は)感じないのだ。

私は、この映像を見て、そんな想いにとらわれ胸が熱くなる、

もはや歌を聴くという行為の範疇を

はるかに超えた体験と化してしまうのだ。

その意味で、今最も深く感じている亜弥さんの歌唱の一つである。

 

松浦亜弥 想いあふれて 「Maniac Live Vol.3」

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4 コメント

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正に今の心境 (aiseki)
2015-07-04 12:12:22
CDではあまり好きではありませんでした
耳休め程度でした
DVDで覆されました
表現力が神がかっています
『孤独』『プライド』を歌わず、モヤモヤした気分もラストで無意味にしてくれました
故意的に替えたとさえ思いました ?
真相を本人の口から聴きたいですけど
『覚えてな~い』でしょうね 。
返信する
あの頃に戻りたい? (大sansan)
2015-07-04 18:35:13
歌詞の言葉の一つ一つは、今までもどこかの歌に使われていたし、
思い出なんかは欲しくないとか、あの頃に戻りたいとか、
いろいろな歌で、何回も聞かされてきました。

おじさんになるということは、つまらないことだと思っていました。
どんな素晴らしい言葉も陳腐に聞こえてしまって。

でも、彼女が歌うと、ありふれた歌詞も心に響きます。
うわべだけの歌唱では、ないからだと思います。
ただメロディーに合わせて、言葉を出すだけなら、
機械にだってできますから。

で、松浦亜弥さんが戻りたいあの頃って何時のことなんでしょうね。
個人的には、アイドル時代だと嬉しいのですがww
返信する
CDとライブ比較 (korou)
2015-07-04 18:41:45
CDの「想いあふれて」は
一発録音ということらしいですが
確かにイマイチですね・・・
・・・と書こうと思ったのですが
今聴き直してみて、意外といい感じなので驚きました。

ただ、ライブでのスローなテンポのほうが
この曲には合いますね。
一度、スローなテンポで感動したら
どうしてもCDでの早いテンポに
違和感を覚えます。
返信する
無題 (korou)
2015-07-04 19:04:04
>大sansanさん

ありきたりの歌詞がありきたりでなく聴こえるというのは
凄い事ですよね。
もうそれだけで
プロの歌手として十分な才能だと思います。

”戻りたいあの頃”というのを
今の亜弥さんに訊いたら
今が一番でどこにも戻りたくないと
答えるでしょうね(多分)

何かの間違いで(笑)アイドル時代の歌を
当時のフリで何曲か歌ってくれるようなライブがあれば
いいですね。
他のアイドル歌手なら
そんなに珍しくないことですが
こと亜弥さんに関しては
大変な難題ですが。

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