korou's Column

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松浦亜弥ディスコグラフィー 67 「引越せない気持」

2016-06-18 | 松浦亜弥

4thアルバム「ダブルレインボウ」の収録曲。

アルバムの発売日は2007年10月10日。

作詞:久保田洋司、作曲・編曲:柳沢英樹。

 

ハッキリ言って、亜弥さんには似合わない曲だろう。

冒頭からいきなりクライマックスが来て

その盛り上がりから知らぬ間に次のフレーズになり

それからまた知らぬ間に次のフレーズになり

きちんとした区切りのないまま

同じような音型が何度も繰り返され

出来の悪いロンド形式のようなイメージ。

きちんとしたフレージングでメロディが浮き上がるようにイメージできる曲こそ

亜弥さんの歌の素晴らしさが伝わってくるのだが

こういう曲では、単に「上手いなあ」という程度で終ってしまう。

 

亜弥さんは

曲が進むにつれて徐々に気持ちを盛り上げていき

あとは即興の形でクライマックスを創り上げていく。

そこにいたるまでに、ありとあらゆる歌唱テクニックが駆使されるが

そのテクニックは意識して使われるのではなく

ほぼ無意識のうちに自然と駆使されている。

だから、聴いていくうちに

いつのまにか感情を喚起され

いつのまにかその世界にハマることになる。

もはや「上手い」を超えた世界なのである。

 

この曲では

そういう形で徐々に盛り上がり、気がつくと曲の世界にどっぷりハマってしまうという

松浦亜弥だけが持っている”奇跡的な体験”を味わうことができない。

カバー曲のときのように、急にスイッチが入って凄い歌唱になる、ということもない。

ただ単に「上手い」だけだ。

 

そんな「残念な感じで上手い」歌唱のなかで

この曲に最もふさわしい形で歌えているのが

「ダブルレインボウ」ツアーでのそれだろう。

ここではテクニックは駆使されず

スイッチも入らず

ただひたすら一生懸命に歌っている。

曲そのものというより、その歌い方に惹かれるものがある。

 

引越せない気持ち 松浦亜弥コンサートツアー2007秋~ダブルレインボウ~

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6 コメント

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スッキリしました (aiseki)
2016-06-18 21:32:33
自分なりのベストアルバムがありますが

入ったり出たりを何回か繰り返し

結局出してしまいました

補欠って感じです

いいと思うんですけど聴きだすと

途中で嫌になります(^ ^)

なるほどの理由でスッキリしました感謝です
返信する
スッキリして頂ければ、結果オーライということで(笑) (korou)
2016-06-19 09:28:42
あくまでも自分だけの印象を書いた拙文ですが
そうしてスッキリして頂ければ
私も大いに勇気づけられます。
私同様、この曲について
スッキリした感じが持てない人も居られるのだなあ
という思いと
結構強引に「亜弥さんに合わない曲」として書き続けても
大丈夫だったことに安心しました。

書いていることが素人丸出しであっても
偶然とはいえ、うまく誰かに伝われば
結果オーライということで
自信が持てますねw

同じように違和感を覚える曲として
同じ作詞・作曲コンビによる「風に任せて」があります。
こちらのほうは、このブログで書いたとおり
その違和感を何とか解消することができましたが
じゃあ、「引越せない気持」とどこが違うのかと言われると
簡単には書けないところが
音楽の不可思議とでもいうべきでしょうか。

いろいろと思うところはありますが
すべてを言葉で表現することは難しいです。
いや、すべてどころか一部さえも
正確に記述することすら難しいです。

でも、あえて書き続けたいと思います。
亜弥さんの歌には、そんな力があります。
返信する
Unknown (アヤまる)
2016-06-20 12:36:58
ダブルレインボウの「引越せない気持ち」いいテイクですね。聞き惚れ、見惚れ、何度もリピートしました。

亜弥さんの声質や歌唱力に合う合わないがあると思いますが、21歳の松浦亜弥さんの容貌やキャラに合っているからかもしれません。

ずっとアクセル踏み込みっぱなしみたいな曲で、普通の人が歌ったら単調になりそうな気がするんですが、、、

亜弥さんは全く飽きさせず、、、

目に浮かぶような鮮やかさでスナップショットを並べることによって、

感情的表現を使わずに過去の素晴らしい思い出との対比だけで悲しみを表現して5分間引っ張りきっちゃうんですね。

この曲を表現できる歌手は亜弥さん以外に想像できないという意味では、合っていると思います。


返信する
曲が役不足 (おいちゃん)
2016-06-20 18:43:34
korouさんの解説で私もスッキリとしました。
わたしは、この歌は誰か、例えば松たか子さんなど、の曲をカバーしたものかと最初は思っていました。
松さんには失礼ですが、音域が狭く、単調な割には、歌が上手く聞こえる、張り上げて歌える曲に仕上がっているからです。
亜弥さんが歌っても悪くは無いのですが、これこそ正しい意味で「亜弥さんには役不足」といったところでしょう。
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「ダブルレインボウ」ライブのこの曲は素晴らしい! (korou)
2016-06-20 20:23:43
>アヤまるさん

ダブルレインボウの「引越せない気持」はいいですよね。
スナップショットを並べて悲しみを表現、とは
言い得て妙ですね。

でも、そもそもこの曲を
亜弥さんはあまり歌っていないみたいですね。
動画で確認できるのは
あとはマニアック3だけだし。
自分でも”合わない”と思ったのでしょうか?

音程はしっかりとれて
声質も悪くないけれど
感情の起伏を表現するのがイマイチという歌手には
ピッタリの曲だと思います。
だから、ムリに亜弥さんでなくても、という感が強いのです。
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松たか子・・・座布団3枚! (korou)
2016-06-20 20:29:32
>おいちゃんさん

思いつくのが松たか子とはさすがですね。
たしかに、張り上げて歌う彼女の歌い方なら
結構面白く聴けるかもしれません。

役不足・・・この言葉を見かけるたびに
本当の意味を確認している自分が居ます(^^)
返信する

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