korou's Column

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カヴァー ”Ya Ya (あの時代を忘れない)”

2017-03-11 | 松浦亜弥

(この記事を書く途中で、松浦亜弥復帰の噂が週刊誌を賑わしましたが

 その話題については、当ブログのブックマーク先などをご参照ください。

 そうした現在の話題については、触れるべき流れになったときに

 コメント欄で書いていくことにしまして、メインの記事は、今まで通り

 「(復帰の予定のない)過去の歌手 松浦亜弥」の歌唱の紹介という

 ことで続けていきます。今後ずっと、そのスタンスで続くわけでもないですが

 復帰のニュースが現実のものになるまでは、そういうことで続ける予定です)

 

「Ya Ya (あの時代を忘れない)」は

サザン・オールスターズの16枚目のシングル。

1982年10月5日発売で、オリコン最高位は10位、34万枚の売上を記録。

 

サザンは、1980年に「半年休養宣言」を行い

その間、一度もテレビ出演せず

その一方で、毎月シングル盤を出すという活動を敢行した

(今となっては、このことはすっかり忘れられている感がある)。

その結果、シングル盤は惨敗、アルバムの売上もジリ貧という事態に陥り

もうサザンは終わり、と言われたものだが

その状況を一変させたのが

1982年1月発売のシングル「チャコの海岸物語」だった。

 

「チャコ」の大ヒットにより、サザンは息を吹き返し

同年7月発売のアルバム「NUDE MAN」は

オリコンで5週連続で1位を独走するという快挙を達成。

再びJ-POPの王者に返り咲いたサザンが

その時期に満を持してリリースしたシングルが

この「Ya Ya (あの時代を忘れない)」なのだった。

 

歌詞は懐古趣味で特に目新しいところが皆無。

フランス語、英語、日本語をごちゃ混ぜにするカオスなところも

すでにサザンとしてはデジャブ感が強く

ひたすら桑田圭祐のボーカルの力で

強引にヒット曲にまで持ち込んだという印象が強い。

もちろん、ノスタルジーな良さには満ち満ちているし

カオス感も悪くないし

一言で言えば、サザンの音楽の総復習といったところ。

確かに、他のアーティストでは

こういう音楽は聴けない。

ブレない音楽・・・

簡単そうで、実は難しいことは言うまでもない。

 

そんな桑田ワールド満載のこの曲を

なぜか2008年の松浦亜弥が歌っている。

歌詞に共感してカヴァーするのが原則のはずなのに

この曲には、亜弥さんがのめり込める要素は何もない。

「互いにギター鳴らすだけで、わかりあえる奴」が居たわけではないし

「ひとり身」で「キャンパス」に佇んでいたわけでもない。

なんで歌ったんだろう?

 

まず、オリジナルから。

(音がモヤモヤしてますが、ご勘弁ください。それにしても何なんだ?このシングル盤のジャケットw)

サザン・オールスターズ「Ya Ya (あの時代を忘れない)」

 

次に亜弥さんの歌声で。

松浦亜弥によるカヴァー「Ya Ya (あの時代を忘れない)」

 

 

声質が違い過ぎて、比較するにはムリがありますね。

というより、これは

桑田圭祐、松浦亜弥という稀有の声質の持ち主について

「みんなちがって、みんないい」と楽しむのが正解なのでしょう

(たまたま同じ歌を歌ってみたという設定で)。

 

その上でこの亜弥さんの歌唱に聴き入ってみれば

若干の違和感は否めないところです。

歌詞の内容が醸し出すノスタルジーの世界と

いつもにも増して透き通った亜弥さんの声質とが

今一つ合っていない感じがします。

演奏のほうも、スローテンポすぎるように思え

悪く言えば「ダルい」感じに聴こえなくもない。

(こういうスロー過ぎるカヴァー演奏を聴くと

 サザンのオリジナルが

 スローテンポのなかに、隠し味としてグルーヴ感を入れていたのが

 改めて分かったりします)

ただし、よくよく考えてみれば

このスローテンポは

亜弥さんの歌唱を最大限に生かすためのテンポであることも

分かってくるのですが。


でも不思議です。

曲自体の良さが再現できているかという見方から

いろいろな意味でイマイチな歌唱と認定したとしても

これはすごく胸に響く歌声です。

とにかく丁寧にきちんと歌っていて(ぜひイヤホン・ヘッドホンでじっくり聴いてください!)

知らず知らずのうちに歌の世界に没入できます。

オリジナルからは想像もできなかった全く違う世界に没入できます。

こういうカヴァーは珍しいと思います。

オリジナルの世界がほとんど表現できていないのに

自分の歌唱力だけで聴く者を惹きつけていくという類のカヴァー。

松浦亜弥だからできるのだと思いました。

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8 コメント

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👍 (aiseki)
2017-03-11 15:58:49
復帰ですか!雲を掴むような話でワクワクもしません、浮かれ損になります(*´-`)
※お嬢様がデビューする位の確率ですよね?

さてカバーですが、初めて聴きました
好きだから歌っているんでしょうが
全くオリジナルに影響されず
歌い手さんを「リスペクトしてない感」
がたまらなくいいです(^ ^)
「ホームにて」と似て異なる歌唱
まだまだ飽きず吸い込まれます。
返信する
編曲松浦亜弥 (アヤまる)
2017-03-11 19:26:57
ありがとうございます!

この一週間、腹の立つヨタ記事を見つけ次第ブロックしながら、まだか、まだかとお待ちしておりました。

やっと亜弥さんの湧き出る泉のような透きとおった声を聴けて心が癒されました。

オリジナルのおもかげなどかけらもなく、なんなら歌詞も好きなように変えれば良かったのにと思うぐらいで、歌唱というより編曲松浦亜弥みたいな感じです。

サザンもリアルタイムで聴いてきましたし桑田節も好きですが、悪くいうとだみ声ですから、こんなに美しい別世界に仕立て直してくれた亜弥さんに感謝です。

そもそも青学のチャペルをバックに映像が展開するなら亜弥さんの浮き通った声こそぴったりする気がしてきました。

亜弥さんに「カバーしていいですか?」とか言われたら、本家の歌手は、根こそぎ持って行かれそうでいやでしょうね。

欲を言えばこれをアップテンポにした亜弥バージョンを聴いてみたいです。亜弥さんのことだから、なにかまた別の技を繰り出してきそうな気がします。

あ~、復帰が待ち遠しい!
返信する
やはり陶酔します (孫右衛門)
2017-03-11 20:53:38
コメントするタイミングを失いがちで少しご無沙汰いたしました。

korouさんは、常に少し引いた位置から松浦亜弥さんを見られているので、
ある意味うらやましく思います。

私など、常日頃から復帰後の姿のことを夢想していますので、
今回の件で押えていたものがまた吹き出してしまいました。

さて、この音源、あるきっかけで以前から接していたのですが、
私も思っていました。随分かったるい感じですね。
もう少し歯切れ良いアレンジの方が良さそうと思うのです。
しかし、やはりこの彼女の歌声に陶酔してしまいますね。

ところで、唐突に質問いたしますが、
「グルーヴ感」というのは何でしょうか。
時々この語句を耳にします。
調べても、この言葉を使う人それぞれの解釈があるみたいで、
共通定義の無い言葉みたいに書いてあるところもあります。
リズム感みたいなものでしょうか。
何だか素人臭くてすみません。
いや実際私は音楽に関しては全く素人以前ですので。
返信する
B型の人(という問題ではないけど) (korou)
2017-03-11 22:47:17
>aisekiさん

今回の復帰の話は
よく分からない点が多いですからね。
情報が少なすぎて、妄想するしかないので
確かに「浮かれ損」になる可能性は大です。
(でも、損と分かっていても、浮かれてしまうのがファン、という
 ことでもあるでしょうから、いろいろと書かれている方々の思いも
 それはそれで当然のことでしょう(^^))

”歌い手さんを「リスペクトしてない感」”というのは
実際には違うのだろうと思うのですが
言い得て妙で納得です(笑)

まっ、B型の方ですから(と血液型で安易な結論を出してみるw)
返信する
Re:編曲松浦亜弥 (korou)
2017-03-11 22:59:42
>アヤまるさん

>>この一週間、腹の立つヨタ記事を見つけ次第ブロックしながら、

何だか大変そうですね。
以前と比べて、ネットから離れてしまった私には
どういう事態なのか想像もつきませんが
亜弥さんのためになることだろうと思うので
本人になり代わりお礼申し上げます(なり代われるわけないですが・・・)

>>オリジナルのおもかげなどかけらもなく、
>>なんなら歌詞も好きなように変えれば良かったのにと思うぐらいで、

アレンジが全然違う上に
歌詞も変わったら
もはや何の曲を歌っているのか分からず
クイズになったりして(今何を歌ったでしょう?とか)。
それと
歌詞が自由になったら、亜弥さん助かりますね。
(毎度おなじみの)度忘れしても大丈夫!

>>そもそも青学のチャペルをバックに映像が展開するなら
>>亜弥さんの浮き通った声こそぴったりする気がしてきました。

なるほど!
こういう視点は気付きませんでした。
まさにオリジナルを超えるカヴァーかもしれませんね。
返信する
Re:やはり陶酔します (korou)
2017-03-11 23:38:26
>孫右衛門さん

私の場合は
以前に何度も書いている通り
好きな作家、好きな歌手、好きなスポーツ選手などが
気がつけば「つい最近(引退等で)過去の人になった」とか
「つい最近亡くなった人」であることがほとんどなのです。

そんなわけで
今回のような「復帰するかもしれない」という状況について
どうしていいのか分からない、という当惑のほうが強いですね。

しかも、先週末の前後あたりは
個人的事情で、情報入手が遅かったこともあり
何が何やら分からないうちに
いろいろなことが起こっている、という感じで
相当出遅れました(そのせいもあって
いつも拝見しているどのサイトにもコメントできませんでした)

孫右衛門さんが以前からご存じだった音源は
多分、2008年10月26日のSTB昼公演のものではないでしょうか?
私が今回UPした分は、同じ日の夜公演の音源です。
あと10月20日と11月9日にも歌っていますが
この4回の中では、10月26日夜公演がベストではないかと
思っています。

グルーヴ感というのは
言葉で言い表わせない感覚の代表みたいなものですね。
私は私なりに定義を持っていますが
まさに、それこそ素人の定義で
必ずしも万人が納得する定義ではないかもしれませんし。

今いろいろ下書きしてみたのですが
どう書いても自分ではピンときません。
また、うまい説明を思いついたら
書いてみますので、それまでご容赦を・・・
返信する
何だか。 (大sanan)
2017-03-12 01:05:37
ここまでくると、カバーすること自体を楽しんでいるという感じがします。
ほとんど内輪のライブみたいなものだったでしょうし、
やってみて失敗したらゴメンナサイで済ましてしまえる方ですから、
何でもアリってところでしょうか。
気に入った曲だから、歌ってみましたって、
完全にカラオケ感覚だと思いますけど、
聴かせるレベルにつくってるのは、さすがプロですね。

桑田佳祐氏について、今まで歌が上手いって思ったことが無かったんですけど、
人間の世界では、全くと云って良いくらい、カバーができてませんよね。
モノマネはできても、カバーは難しいってことは
やっぱり、凄かったのかなって、思うようになりました。
このテイクが上手くいったのは、
普通に気持ちを込めて歌ったからのように思います。

ただ、聴いているうちに、凄いを通り越して、哀れみを感じてしまったのは、
歌詞のせいでしょうか。
返信する
Re:何だか。 (korou)
2017-03-12 17:43:10
>大sananさん

とにかく好きな曲を好きなように歌ってみたかったんでしょうね。
ドリカム、米米クラブ、サザン、絢香など
ほぼ脈略のないラインアップを見ると
2008年STBライブというのは
いろいろな意味で特殊なライブだったのでしょう。
おかげで、珍しいカヴァーが盛りだくさんなわけですが。

桑田圭祐の歌唱力というのは
サザンとしての活動のなかでは
あまり感じられないのですが(今回UPした”Ya Ya”も今一つの出来?)
ソロ名義の歌唱は素晴らしいと思っています。
聴きづらいという印象が優先してしまうと
その上手さが伝わりにくいのは確かですが。
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