Shinji Horibe Blog

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BtoB領域の企業のブランド戦略13

2009年01月29日 | ビジネス
BtoB領域の企業にとっての展示会は、以前にも増して重要になってきました。
その理由のひとつには、持ち運んでデモができる商品やサービス、システムが少なくなったこと。
もうひとつは、新規顧客企業を発掘するには、展示会が最も効率的であるからです。

また展示会は、参加型の展示会のみならず、企業単独で開催する内覧会も大きな効果を発揮します。

予算の掛け方により、様々な実施方法があります。
比較的小規模で実施する場合は、自社内の会議室を利用する場合も多々あります。
また自社でショールームを持っている企業は、そこで開催するのも効果的です。
その優位点としては、格段に予算が節約できる。
また商談コーナーや喫茶コーナーなどを自由に設けられる。
自社内ですので、搬出入の段取りや、セッティングなどのスケジュール調整がしやすく、開催中の説明員の確保も容易です。
また企業トップの挨拶とかも、簡単に組み込むことができます。

比較的大規模で開催する場合は、一般的な展示会場やホテルの宴会場を借り手実施します。
その場合の、上記の自社内で実施する場合に比べて、予算等の負担は増します。
しかしながら、顧客に対して主催企業の意気込みや、思い入れなどをより鮮明に伝えることができます。

いずれにしろ、このような企業単独で実施する展示会はとても有効な手段です。
このような展示会で行われる展示、商品やサービス説明、商談などは全てOne to Oneのコミュニケーションです。
企業と顧客企業の1対1のマーケティングスタイルです。

そのためBtoB領域のブランドマーケティングとは、ダイレクトコミュニケーションによるOne to Oneマーケティングである、とも言えるのです。

BtoB領域の企業のブランド戦略12

2009年01月27日 | ビジネス
BtoB企業の広告宣伝のなかで、通常最も予算をかけるべき活動が展示会です。
また自前でショールームを持っている場合は、その運用・活用はブランド戦略上、またマーケティング戦略上、その価値を最大限に高める必要があります。

まずは展示会について。
業界の参加型展示会に出展することにより、効率的に新規顧客を発掘することができます。
BtoB領域のビジネスは、広く一般の人を対象とするものではありません。
ある特定の分野、マーケットに対するビジネスです。
ある業界の参加型展示会とは、まさにその特定分野、マーケットをビジネス対象とする人たちが集まってきます。
来場者は、ほぼその分野のビジネスの顧客です。
また出展社も、競合の場合もありますが、顧客企業になる場合もあります。

そのためBtoB領域の企業にとって展示会は、広告宣伝としてだけでなく、年間のマーケティング営業活動にとっても、大きな位置を占めることになります。
ある展示会に出展し、新製品を展示するために、開発スケジュールを確定する場合もあります。
また事前に既存顧客や、潜在顧客にDMやWebを使って案内することにより、より効果を高めることができます。

BtoB企業の商品やサービスは、普通ハンドキャリーで顧客企業に持って行きプレゼンテーションする、いわゆる「持ち込みデモ」は難しいケースがほとんどです。
大きさや重量の問題、ネットワークやシステム上の問題など。
そのため、顧客に見せる機会は、展示会ぐらいしかありません。

このように、出展する企業側の物理的な理由、また来場する顧客層の理由で、業界の参加型展示会はブランドマーケティング上、重要な意味を持ちます。






BtoB領域の企業のブランド戦略11

2009年01月26日 | ビジネス
BtoB領域の企業のコーポレートブランドコミュニケーションにとって、会社案内や営業事業案内、各種営業ツールなどの印刷物は、大きな効果を発揮します。
大きな効果とは、会社の姿勢などを伝えるのみならず、実際の売上げに繋がる大事な媒体である、ということです。

よく見かける例として、これら印刷物を比較的若い担当者に任せっぱなしにする、ということがあります。
その理由としては、レイアウトなどデザイン的な要素があるのと、文章の作成や校正、色校正など比較的地道な作業が発生するためです。
確かにそれらの要素はあります。
しかしながら、それは全くの間違った考え方である、と言えます。

会社案内であれば、その企業の経営理念、目指す方向などを正確に記する必要があります。
また営業案内や営業ツールなどは、経営理念に則った具体的な営業理念と営業施策を記する必要があります。
それらを実現させるのは、若い担当者だけでは無理です。
特に営業施策みたいなものは、もうすでに営業部長なっているようなポジションの社員の、ノウハウを共有化したものとなります。

別の言い方でいうと、成功体験を「見える化」することが必要です。
成功事例の共有化をすべきなのです。
それらを「見える化」し、社内共通のノウハウとして共有・定着させ、そして印刷物にも反映させなければなりません。

社内のメンバーだけでそれらを実現するのは難しいかも知れません。
外部の人でそれらをきちんとサポートができるのが、優秀なコピーライターであり、ブランドコンサルタントであるといえます。

このようにBtoB領域においては、パンフレットなどの印刷物が、ブランドマーケティング上の大事なツールの一つである、と言えます。



BtoB領域の企業のブランド戦略10

2009年01月23日 | ビジネス
BtoB領域の企業のブランドコミュニケーション戦略は、どのようなものが効果的なのか。
それはコーポレートブランド戦略の実践が、営業であることを考えれば理解できます。
つまり営業が使うもの、使うツール、使う場、ということになります。

BtoC領域の企業のブランドコミュニケーションの中心は、商品デザイン、パッケージデザイン、店舗デザインなどのデザイン戦略と、広告、イベント、Webなどの広告戦略です。
全て一般消費者に直接、コミュニケートできるものです。

それに対してBtoB企業の営業が使うもの、使うツール、使う場とは何かというと、パンフレットやカタログ類、営業ツール、Web、そして展示会とショールームです。
それらがBtoB領域の企業のブランドコミュニケーション戦略の中心となります。

広告ももちろん効果がありますが、その目的はBtoCの場合と大きく異なります。
コーポレートブランド、企業名そのものの知名度アップであり、その後の優秀な人材を獲得しやすくするためのリクルート戦略や、社員や家族のモチベーションアップのために実施します。
それに広告が売上げアップに、直接的に貢献するわけではありませんので、ある程度の企業規模や予算的余裕がある企業でないと、なかなかマス広告まで行う企業というのは少ないといえます。

パンフレットやカタログ、営業ツールなどの印刷物や、Web、そして展示会やショールームが、BtoB領域のブランドコミュニケーションにとって重要である、といわれると「何だ、そんなことか」と言われるかも知れません。

しかし、コーポレートブランドを高め、かつ売れるための印刷物を作る、というのはそれほど簡単なことではありません。
また効果的な展示会を展開していたり、ショールームを戦略的に活用している企業も、実はそれほど多くはないのです。

昨今の厳しい経済環境においては、改めてそれらを見直すいい機会である、といえるかも知れません。



BtoB領域の企業のブランド戦略9

2009年01月22日 | ビジネス
BtoB領域の企業にとって、ブランド戦略とはコーポレートブランドの確立をまず実施しなければなりません。
そして日常のビジネス活動において、その戦略の具体的な実践は、営業担当者が担うことになります。
それは、顧客企業と直に接するのが営業であり、その営業の振る舞いが、そのままブランドイメージに繋がるからです。

しかしながら、まさにBtoB領域の企業にとっては、この点に大きな課題が含まれているのです。
それはコーポレートブランドの求心力と遠心力の関係です。

求心力とは、その企業のあるべき姿、経営理念を追い求めるという「内に向かうベクトル」です。
CIでいうところの、企業アイデンティティです。

そしてBtoB企業にとっては、営業活動そのものが、コーポレートブランドにとっての遠心力となって働きます。
それは、なぜか。
キーワードは「カスタマイズ」です。
BtoBビジネスにおいては、その企業の商品やシステム、サービスがそのまま顧客企業に販売されることは、ほとんどありません。
必ずと言っていいほど、顧客企業それぞれの都合や要望により、「カスタマイズ」しなければ、使い物にならない、より便利にならないものとなってしまいます。
「カスタマイズ」したものが、ソリューションシステム、ソリューションサービスとなり、それぞれの顧客企業に納品されます。

この顧客企業への「カスタマイズ」が、コーポレートブランドにとっては、遠心力となって働くのです。

顧客企業の要望に応えるあまり、自社の方針やあるべき姿を、曲げてまで対応する可能性も有り得るからです。
このような関係性があるからこそ、優秀な営業担当者ほど、自分流のノウハウを蓄積し、コーポレートなレベルでの方針とぶつかるようになってしまうのです。
そして極端な場合に結果として、競業他社に、その優秀な営業人材が流出してしまう、という危険性さえ孕むことになってしまいます。

コーポレートブランドに対する遠心力よりも、求心力の方が強い関係に絶対になっていなくてはなりません。
企業にとって売上げは、最も重要なことです。
しかしながら、売り上げが大きければ、何やっても良いということはありません。
その企業ならではの「コンサルティング営業」とは、コーポレートブランドへの求心力と遠心力が、絶妙にバランスが取れて、初めて実現するものだと思われます。
そして、BtoB領域の「強い会社」とは、そのようなバランスが取れた企業なのです。

BtoB領域の企業のブランド戦略8

2009年01月21日 | ビジネス
BtoB領域の企業にとっては、インターナルブランディングの成否が、そのままブランドイメージに関わります。
そして、さらにイメージのみならず、実際の売上げにも直接影響を及ぼします。

BtoB領域の企業のコーポレートブランド戦略を実践するのが、顧客企業と直に接するのが営業担当者です。
顧客企業担当者にコンタクトをとり、プレゼンテーションをし、商談を開始し、見積書を提出し、商談成立まで、すべて営業が行います。
営業が顧客企業の信頼を得て初めて、ビジネスが成立します。
営業の人格が、その企業の人格=社格にまで反映される、ともいえるのです。

時には営業だけでなく、その商品の技術者が顧客企業に技術説明を行う場合もあります。
しかしながら、そのようなときにでも、そのタッチポイントでの主は営業です。
技術者だけで顧客企業に出向く場合は、まずないと言ってよいと思います。

ブランド視点で言えば、その企業ならではの営業を育てるのが、コーポレートブランド戦略の実践であり、ビジネスに直結するブランドマーケティングであると言えるのです。
その手法がインターナルブランディングです。
その企業ならではの「強い営業」を育てるには、商談スキルやプレゼンテーションスキルなどスキル獲得以前に、自社ブランドへの強い愛着が基本的に必要です。

BtoB領域の企業のブランド戦略7

2009年01月20日 | ビジネス
BtoB領域の企業にとっては、コーポレートブランド戦略の構築が重要であり、そしてそれを実現するためには、まず企業内のインターナルブランディングをしなければなりません。
いわばブランド戦略の「外を攻める」のではなく、「内を固める」ことをまず実施する、ということです。

インターナルブランディングは、継続的な施策と社内イベント的なものの二つがあります。

ある企業が、新しいコーポレートブランドを導入するとか、ブランド自体は変更しないが、第二創業的に改めてコーポレートブランド戦略を実施する場合は、まずは経営会議やマネジメント合同会議など、何らかのキックオフ的なイベントから開始します。
このキックオフイベントにおいては、トップマネジメント自ら経営理念、および経営戦略を伝える必要があります。

また定例的に行われる、部長会議などを利用して、事業本部長や営業本部長から部課長に同様の内容を伝えます。
さらに取引先やディーラーが集まる会議なども活用します。
プレゼンテーションの方法は、パワーポイントなどの手法に加え、ビデオ映像などを活用するとより大きな効果を発揮します。

継続的なインターナルブランディングの手法として、最もよく使われるのは、イントラネットや最近では企業内ブログなどです。
また印刷物での社内報で、社員はもちろん、その家族にも伝えることでより大きな効果を発揮させることができます。

そして継続的なインターナルブランディングは、初年度だけ実施するものではなく、まさに継続的に毎年行わなければなりません。
「継続は力なり」です。


BtoB領域の企業のブランド戦略6

2009年01月17日 | ビジネス
BtoB領域の企業がコーポレートブランド戦略を実践し、構築するためにはインターナルブランディングが欠かせません。

そして、それはBtoC領域の企業以上に、重要な意味を持ってきます。
なぜなら、それぞれの領域の企業のビジネスにとって、売り上げに最も影響力を持つステークホルダーである「顧客」との接点、タッチポイントが全く違うからです。

BtoCビジネスの場合は、その多くが店舗となります。
その店舗とは、製造企業が自ら経営する直営店というケースは、それほど多くありません。
通常は、規模の大小に関わらず、流通の小売企業となります。
そのため、BtoCビジネスの場合の顧客は、直接製造企業の社員や施設に触れることは多くありません。

それに対して、BtoBビジネスの場合、顧客企業と接するのは、製造企業の営業部員という企業の社員です。
そのため、顧客企業は、その製造企業へのイメージは、その営業部員のふるまいや行動、態度などの能力に大きく左右されることになるのです。
ぼんやりとしたイメージがあった場合でも、その営業部員の影響で、いとも簡単に変更されます。

そのような理由から、BtoB領域の企業のコーポレートブランド構築には、インターナルブランディングの成功が欠かせないことになります。
ただしBtoC領域の企業でも、マクドナルドのような直営店とFC店の両方を持つ企業や、スポーツクラブを経営する企業は、ビジネス形態がBtoB企業に近いため、インターナルブランディングが非常に重要となります。

上述したように、BtoB領域の企業にとっては、インターナルブランディングの成否がビジネス、売り上げに直接大きく関わってきます。
そのためコーポレートブランド戦略は、比較的シンプルな意味でのイメージ戦略から「ブランドマーケティング」という、マーケティング戦略の一つになるのです。

このようにBtoB領域の企業にとっては、いい商品を作るのと同等にインターナルブランディングの成功が、売り上げ向上にとって大きな要因となります。


BtoB領域の企業のブランド戦略5

2009年01月16日 | ビジネス
BtoB領域の企業のブランド戦略は、プロダクツブランドではなくコーポレートブランドの構築を最優先すべきです。

その理由としては、一つにはBtoBのビジネス構造が企業間の取引である、ということです。
そしてもう一つが、BtoBビジネスにおいて実際の取引が成立するためには、BtoCのように店舗などで買いたい商品を選びレジで代金を支払う、といったシンプルなものではなく、顧客企業内での決裁という手続きを経る必要があるからです。
この「企業間取引」と「決裁手続き」が、BtoBビジネスにおいて、そしてBtoB領域のブランド戦略において、決定的に重要な意味を持ちます。

そしてコーポレートブランドを構築するとは、企業全体のイメージと、社員の行動などを含めた顧客とのタッチポイントの全てのイメージが同じになる、「ブランドフラクタル」を構築する、ということです。
そのために、経営理念に加え、それを実現させる経営風土の醸成が必要となります。

では企業のその経営風土を醸成させるためには、どのようにすればいいか。
その目的を達成させる手段、戦術が「インターナルブランディング」と呼ばれるものです。
インターナルブランディングとは、その企業の構成員全員を対象とする企業内コミュニケーションです。

その方法はいろいろありますが、最も重要なことは、経営者自らがリーダーとなって実施しなければならない、ということです。
ソニーの歴代の経営者は、自らが「社長の仕事で一番重要なことは、エスオーエヌワイ(SONY)の4文字を守ることである」と言います。
特に創業者である、故盛田昭夫さんは、ほんとうにしつこいくらい何度もおっしゃっていました。

ソニーはBtoC領域の企業ですが、BtoB領域の企業のトップ経営者は、自社のコーポレートブランドに対して、よりそのような志が求められます。

BtoB領域の企業のブランド戦略4

2009年01月15日 | ビジネス
BtoB領域の企業が、「ブランドフラクタル」を実現するコーポレートブランド戦略を構築するためには、どのようにすればいいでしょうか。

それは、経営理念が企業の構成員一人ひとりに、染み渡った状態の経営風土を作り上げなければなりません。
経営理念は、文章で明文化される場合もありますが、経営風土は言葉では表されないものです。

その企業独自の経営風土が醸成されて始めて、企業全体の印象と、社員の行動や様々な日常のアウトプットの印象が、ほぼ同じになる「ブランドフラクタル」が可能となります。

BtoB領域の企業にとって、コーポレートブランド戦略の構築が何より重要です。
その理由は、BtoCはその名のごとくコンスーマー、一般消費者を顧客とするビジネスですが、BtoBは企業間取引であり、企業が顧客となるため、企業そのもののブランド、つまりコーポレートブランドの確立が必要であるからです。

またBtoBビジネスがBtoCと大きく違う点が、もう一つあります。
それはBtoBビジネスにおいては、取引が成立するには「決裁」という手続きを伴うことです。
決裁者というのは、通常一人ということはなく、課長、部長、事業部長、そして場合により社長などの経営陣と、組織階層の上長者、数名が決裁者となります。
そして、決裁とは、組織の合意と承認という手続の意味です。

組織階層の上になるほど、取引先企業そのもののイメージや信用、コーポレートブランドを重視します。
そのためBtoB領域の企業にとっては、なお一層コーポレートブランドが重要となるわけです。