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「成果主義」も難しい

経営戦略の一つとして「成果主義」があります。
これはよく言われるように、昔からの日本的経営である「年功序列」そして「終身雇用」に対して生まれてきました。

かなり乱暴な言い方ですが、グローバル競争に対応するためには、ぬるま湯的な日本的経営からアメリカ的経営に移行する必要があり、その一つが「成果主義」である、ということです。
年齢に関係なく、大きな成果を出した社員には、地位や給料を上げ、ボーナスもいっぱい出すことです。

当たり前のことのように思えるし、正しいことのように感じます。
考え方は、もちろん間違っていません。
ところが、この運用が難しいのです。

部門の成果主義もあるのですが、ここでは分かりやすいように社員個人ベースでの成果主義について書きます。
通常社員は半期、もしくは通年の目標を決めます。
そしてそれを書類で上司に申告します。
それが認められて、会社へのコミットとなります。
その目標に対して、半年、一年後どれぐらい達成できたかを数値化することで、成果が明確になります。
ごく簡単に言えば、これが人事考課上の「成果主義」です。

ところが、この運用上に悪魔が隠れているのです。
どこかというとそれは、最初の目標の設定のところです。
とても高い目標ではあるが、もしやり遂げられると、すごく大きな成果がでることが分かっていることがあるとします。
しかしそれは、できるかどうか分からないし、上司からやれとも言われていないものとします。
そして当然、それを目標に設定した場合に、出来なかったとすると、人事考課の評価は低いものにならざるを得ません。
給料の昇給も低く、ボーナスもあまりもらえないことになってしまいます。
そのようなことを考慮して、その社員は高い目標はあきらめて、ほぼ達成できそうな目標だけを設定することになりかねません。
そしてそのようなレベルの目標であるがために、ほぼめでたく100%達成できることになり、多くのボーナスももらえることになります。
その人個人としては、何となく疑問に感じながらも、めでたしめでたしで終わります。
もちろんその上司も、そしてその部門も、めでたしめでたし、となるのです。

会社の社員全体がそのような傾向になってしまうと、チャレンジ精神が無くなり、新しいものにトライしなくなってしまいます。
その結果、会社全体として、従来のビジネスの枠を超える、新しい発想での事業が生まれることは無くなってしまいます。

これが「成果主義」に潜む悪魔です。
運用を失敗すると、活力ある企業ではなくなってしまうのです。
アメリカのように、ハイリスクハイリターンの文化が染み渡っている国では、このようなことはないのでしょうが、日本においては失敗する企業が、数多く見受けられます。
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やはり「選択と集中」は難しい

企業のビジネス環境が急激に悪化しました。
そしてここにきて、改めて事業戦略として「選択と集中」の必要性が言われるようになってきました。

しかし、私はここに大きな問題点が含まれていると思っています。
確かにROI、投資に対するリターンを考えると、不採算事業に投資するのではなく、付加価値つまり利益が出ている事業に資源を集中すべきである、というのは正論だと思います。
採算が取れない事業をいつまでも抱えているよりも、本業やコアビジネスに資源を集中させるべきであるというのは、全くその通りで、間違っているわけではありません。

ただ、私が指摘したいのは、その不採算事業の見極めが非常に重要である、ということです。
今までにない商品やサービスを発売する場合、少なくとも最初の数年間は不採算事業である場合がほとんどです。
また新しい技術を開発する場合、ものになるかどうか分からない最新の技術を追求する場合、それらは5年、10年、長い場合20年もの長期間、不採算事業かも知れません。
しかしそれが、突如商品化へブレイクスルーする技術が開発されることもあります。

最近のニュースでも、超伝導の技術を使った電線を約20年開発を続けてきた会社が、突如技術的なハードルを克服し商品化への目処がついた、ということが報道されていました。
この会社は、20年間も!不採算事業を続けてきたことになります。
まさに信念の固まりだと思います。
途中であきらめれば、それこそそれまでの蓄積をドブに捨てることになったことでしょう。

この技術の将来性への見極めが、非常に難しいところだと思います。
「選択と集中」で、その事業をやめることは、とても簡単な判断です。
その簡単な判断の中に、将来への芽を摘んでしまうこともあるのです。
そして、一度摘んでしまった技術を、再度獲得するのは容易なことではありません。



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コーポレートアイデンティティ喪失の危機

ここに来て、多くの企業の極端な業績悪化が目だってきました。
クルマや電機など輸出に頼っている企業はもちろん、百貨店など国内の小売企業にも波及してきました。
地方都市の百貨店進出の中止も相次いでいるようです。

ただしユニクロや任天堂、マクドナルドなどは、過去最高の業績を上げているらしい。
サントリーも調子がいいようです。
東芝は、半導体とデジタル家電はだめのようですが、インフラ事業は比較的好調のようです。
パナソニックは大きな赤字を出しながらも、三洋電機を子会社化し、グループ全体で太陽光電池から水回りの設備や家電まで、まさに「家まるごとパナソニック」戦略に突き進むのが見えてきました。

輸出依存企業と内需依存企業による業績の差、というものはもちろんありますが、どうもそれだけではないように思います。
ブランド視点で見ると、「コーポレートアイデンティティ」確立の強弱、という側面が見えてきます。
つまり企業の拠って立つところがしっかりとあり、それが外部から確認できる企業が、今の厳しい経済環境でも比較的業績がいいように思います。
日本のクルマメーカーの中で、最も「コーポレートアイデンティティ」が確立されているのがホンダです。
二輪ビジネスがあるとか、他にも様々な理由もあるでしょうが、私はやはりアイデンティティを強く持っているから、いわゆる「強い会社」であるように思います。

しかしその逆に、今アイデンティティの「ゆらぎ」が生じている企業が多いように感じます。
ただ「ゆらいでいる」だけだといいのですが、それが崩壊にまで至ると、企業はまさに消滅するしかありません。

企業というのは、アイデンティティの上に社員がおり、資産があり、日々のビジネスが行われます。
社員構成が変わろうが、海外で生産しようが、また極端にはコアビジネスが変わろうが、強いアイデンティティを保つことは、他の何にも増して企業にとっては大切なことです。

しかしながら、私は最近多くの企業の「コーポレートアイデンティティ」の「ゆらぎ」、そして「喪失の危機」を感じるようになりました。
誰かの言い回しのようですが「コーポレートアイデンティティなくして、ブランド戦略はなし」です。




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BtoB領域の企業のブランド戦略16

BtoB領域の企業の広告は、BtoC領域の企業の広告とは、その目的とするところが大きく異なります。

通常テレビや新聞、雑誌、インターネットで見かける広告は、一般消費財やサービスの広告がほとんどです。
食品や車、電気商品、洗剤や化粧品など、消費者が日常的に購入したり、使ったりする商品の広告です。
それら広告の目的は、あくまでもその広告対象商品の売上げを上げるためです。
そしてその広告対象商品は、多くの場合が新製品であります。
そのためBtoC領域の企業の広告の目的とは、新製品の販売促進を図ることです。

しかしながら、注意深く広告を観察すると、その対象商品そのものというより、その商品のブランド、プロダクトブランドを強く訴求する広告もあることが分かります。
アップルのiPodやiPhone、シャープのAQUOS、任天堂のWiiやDSのソフト、ソニーのVAIOなど。
それらは、ある新製品というよりも、そのプロダクトブランドを訴求しながら、個別の商品の売上げを図っています。

それに対して、BtoB領域の企業の広告には、具体的な商品が登場することはあまり多くありません。
つまり何かの新製品や新サービスの売上げを上げるために、広告を実施するのではありません。
何を訴求しているかといえば、社名そのものやコーポレートブランドであり、企業姿勢などを訴えています。
企業としての知名度や高感度を高めるのが、広告の目的となります。
村田製作所やIBM、コマツ、最近よく目にするのが(株)生産技術などです。

取引先に対して、企業としての知名度を上げることを目的とする以外に、自社の社員やその家族のモチベーションを上げたり、優秀な人材を獲得するために知名度、好感度を上げることを目的としています。
ただし一般の人の目には触れない、業界新聞や雑誌などの広告は、その限りではありません。

このように、BtoB領域の企業にとっての広告とは、ある商品の拡販を狙う「経費」としてではなく、知名度や好感度を上げるための一種の「投資」的な側面が強いと言えるのです。
工場や設備などが有形資産であることに対して、コーポレートブランドは無形資産であると言えます。
そのためBtoB領域の企業にとっての広告とは、その無形資産に対する投資である、ということです。


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BtoB領域の企業のブランド戦略15

BtoBショールームを有効に使う方法として、イベント会場として使う、ということがあります。
イベント会場としてのインフラが、比較的整っているショールームが多いと言えます。

1.商品のセッティングの自由度が高い
2.既存展示商品と新製品の組み合わせなど、システム展示が容易である
3.電源容量も十分確保されている
4.喫茶サービスが容易
5.商談スペースや応接室がある
6.説明する社員や、トップマネジメントが来やすい
など、多くの利点があります。

またお客様も招待客のみにすることで、より親密なOne to Oneのコミュニケーションが図られます。
プレスの方々のみを対象とする新商品発表会。
マーケティング戦略と商品発表も行う、有力顧客企業のみを対象とする内覧会。
有力ディーラーに開放して、ディーラーが顧客を招待する商談会スタイルのイベント、というようにさまざまな展開が考えられます。

いずれにしろ、BtoB領域の企業にとって、ショールームを自社で保有する企業は、その活用を最大限に行うべきであるといえます。

最近では、環境への取り組みなど、ある程度説明を要する内容を伝えるにも、活躍するケースも増えています。
また近隣の学校を招待することで、地域への貢献も果たすことができます。

このようにコーポレートブランドを高め、かつビジネスにも貢献するブランドマーケティングを実現する場として、ショールームの価値は以前にも増して高まってきています。
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BtoB領域の企業のブランド戦略14

BtoB領域の企業のコーポレートブランド戦略、およびブランドマーケティング戦略を実践する場として大切であり、実際の商談等のビジネスの場として、効果を発揮するのがショールームです。

コーポレートブランド視点で、ショールームを見ると、その企業の姿勢や商品ラインアップを、いつでもお客さまに経験いただけるのがショールームです。
それも展示会以上にOne to Oneのコミュニケーションを取ることが可能です。

そしてブランドマーケティング視点、つまりより商談ベースで捉えると、ショールームほど売上げに直接貢献できる場はないと言えます。
初めてコンタクトを取る顧客企業に対して、まずはショールームに招待することで、商品ラインアップ、新商品などをプレゼンテーションし、最初の信頼を獲得することができます。
またショールーム内の応接室や商談室で、商品以外の自社の戦略を伝えることもできます。

ショールームでは、商品の最も優れたデモや紹介ができる環境にしておく必要があります。
商品の魅力を最大限に伝えます。
そのためには、専門のショールームアテンダントを起用することもいいことです。
お客さまに対する商品説明はもちろん、接客方法も常日頃から訓練しておくべきです。
心のこもったおもてなしは、商談をスムーズに進めることができます。

またグローバル競争、グローバル間でのビジネスにおいては、顧客企業が海外の企業である、ということも珍しくありません。
そのため英語はもちろんのこと、最近では中国語が堪能なアテンダントを用意するショールームも増えてきました。

BtoBビジネスの場合は、最終決裁者が顧客企業のマネジメント層であることがよくあります。
そのため、ショールームを利用した商談は、初期の段階と、最終的な決裁の段階の2回行うことで、より商談成立に貢献します。
そして最終的な商談の段階では、企業のトップ同士が挨拶をし、コミュニケーションをとることで、より親密なリレーションを構築することが可能となります。
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