http://www3.plala.or.jp/shindofuji/
ヨー ロッパの宣教師を驚かした日本の伝統食
『日本型食生活の歴史』(新泉社刊)には、戦国時代に来日した宣教師、フランシスコ・ザビエルから本国へ宛てた通信文が紹介されている。
「日本人は自分たちが飼う家畜をすることもせず、またこれを食べもしない。彼等は時々魚を食膳に供し、ほとんど米麦飯のみをたべるが、これも意外に少量である。ただし彼等が食べる野草(野菜)は豊富にあり、また僅かではあるが、果物もある。それでいて日本人はふしぎなほど達者であり、稀な高齢に達する者も多い(後略)」(227ページ)
玄米菜食・玄麦菜食に代表される伝統食が、戦国時代の日本の食事であった。この穀物菜食でもって、ザビエルに「ふしぎなほど達者」といわせるほど、当時の日本人は、健康で長生きした。
いま、伝統食を捨てた日本人の多くは、白米・肉乳卵食でもって、介護保険を必要とする危うい人生を送っている。
◆食物が犯罪を防ぐ
カギの国から来日した宣教師・ザビエルは、日本家屋にカギのないことに驚いた。
穀物菜食は、当時、長寿をもたらすだけでなく、犯罪を少なくしていたと考えられる。
家にも部屋にもカギがなかった。カギを必要としないほど、当時の社会には犯罪が少なかった。犯罪の少なさは、一つには、当時の閉鎖社会おいては住民同士の相互監視が働いていたこと、二つには、当時の食物が未精白穀物と野菜の伝統食であったことを抜きにできない。
アメリカの犯罪研究学者A・Gシャウスが、その著『栄養と犯罪行動』(ブレーン出版)で述べているように、未精白でもって、非行少年・服役囚が変わることを証明した。
そもそも、犯罪とは、肉体の不健康さが心へ反映した結果である。肉体の生理的不調和が心理的不調を招く。
ここに犯罪発生の素地がある。犯罪者は、精白穀物・食品添加物、白砂糖などの不健全な食物によって、肉体的・心理的不健康にさいなまされている。犯罪の発生と抑止にも、食物がかかわっているといってよい。
いまや、伝統食がすたれ、欧米流の肉・乳・卵食が隆盛を極めている。このような食事の誤りが、今日の犯罪の凶悪さと激増を招いたと考えられる。警察が裁判が犯罪を防ぐことはできない。犯罪を防ぐ根本は、食物である。
◆食膳は食禅である
禅寺での食事は、穀物菜食である。
悟りをうることにも、食物がかかわっている。
本来、玄米であったが、いつの頃からか白米になってしまった。ともあれ、玄米であろうと白米であろうと、禅寺では、肉・卵・魚などの動物性食物は供されない。
なぜか・・・。これらの食物は、修行の妨げになるからである。動物食は、生理的に血を騒がせて、心理的安定を損ねる。
生理と心理が不安定では、とうてい修行にはならず、悟りを得ることもでき難い。当時の宗教者は、食物と悟りの関係を心得ていたのである。