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美瑛の「四季」

北海道フードマイスターの宿主が綴る「今日もない物ねだり」

メカに踊らされる私・・・。

2012-12-29 03:54:49 | 「食」と「食材」
豚もおだてりゃ木に登る・・・。本当は豚じゃなくて、登るのは「馬鹿」だという見解もあるようですが、おだてられなくても調子に乗って普段やらないようなことまで(やらなくてもいいのに)やる、ってなことは僕にはよくあることかもしれません。

過日、ちょうどクリスマスに世の中が染まる頃、当館にもサプライズでやって来たものがありました。ずばり、ハンド・ミキサー!これ、今年の前半から「そろそろ新しいミキサーが欲しいなぁ」と思っているうちに一番の仕事のピークを迎え、気が付くと10月。途中2週間の帰省があったり、やり残したあれこれを片付けたり、そして何より北海道の秋と言いますと冬の支度があったりでいつしかクリスマス。
それでも、断続的にハンド・ミキサーの物色はしておりました。そして最終的にパナソニックとクイジナートの2択まで絞り込み、さてどうしたものかと熟慮に次ぐ熟慮を重ね(ってまた、大げさですが)、決めきれずにいたところでありました。

当館にやって来たミキサーはは「ヴィタントニオ」製。正直聞いたことのないメーカーで、いいのやらどうやら、全然予備知識がありません。わかっているのは、お送りくださった方がパンやケーキをお作りになるのが上手な方、ということです。
この上手い方が下さる、という点は、かねてより重要ポイントだと感じておりまして、その道に通じた方の選ぶアイテムには、それなりの選択眼が働いているものです。そしてウチにやって来たハンド・ミキサー君、見るからに機能美をまとった「デキそう」なオーラを放っておりました。

とまぁいつものクセで序章が果て無く続くわけですが、こういうオーラのあるモノを前にすると、俄然余計なことでもやってみたくなる性分な私。厨房を見渡してボールに140gのバターを入れ、早速バターケーキのための他の材料の計量を始めていました。何しろ目的は「ハンド・ミキサーが早速にも使ってみたい」点にあります。ケーキが食べたい、というのはけして主目的ではなく、えびせんべいやらかりんとうやら少しずつ賞味期限の迫る駄菓子類を無視して、ハンド・ミキサー君の電源を入れることにしました。
そもそもこのハンド・ミキサー、粉&バター用、メレンゲ用、全卵用と3種類のビーター(撹拌ビット)が付いているんです(今回はもちろん粉&バター用を使用)。コードが邪魔にならないようにスマートに収納できたり、握り具合がとても手にフィットしたり、実際に使ってみると良さが伝わってくるアイテムです。そして何より、期待以上の撹拌の調子良さ!何となく飛び散ってしまいがちだったバターの撹拌が、いとも簡単にふわっと混ざってしまいました。少しずつ全卵加えてー・・・あーいい感じです。おまけにパワフル。
撹拌強さのセレクト・スイッチが、少々決め辛いのが気になりましたが、ハンド・ミキサーを使っていて気になる、ちょっと置きたい時の立ち具合といい、撹拌のスムーズさ、力強さと言い、手になじむ使い心地の良さと言い、言うことなし!!!

そして出来上がったバターケーキも、言うことなし!美味い!!

あ、ハンド・ミキサーを送ってくださった方は、このブログを読んでくださっている方の中にも知っていらっしゃる方がけっこういるんじゃないかな・・・。もしかしたら、来年も彼女に会えるかも。そうだったら、すごく嬉しい♪おーい、さっちゃん、ありがとう!!!


刺激を受けることと、宣言すること。

2012-12-08 23:06:12 | 「食」と「食材」
帰省途中でいろいろな刺激を受けながら、中でも心に響いたことの一つが「美味しいものって嬉しい」ってこと。何をいまさら・・・とおっしゃるなかれ。食べ物なんて(食事なんて)、お腹がそこそこ満たされて、必要な栄養分が摂取できればいいと思っている人だっています(もちろんどう思ったって個人の自由だと思います)。でも、僕はやっぱり美味しいものに目がないなぁーと改めて実感してしまった。ここのところ旅紀行の中でちょこちょこと書かせてもらっているのであらためてまた書くことはしませんが、とにかく美味しいものを食べて嬉しかった僕です。

で、僕のなりわい、お客様に気持ちよく、快適に、美味しく、できれば少し感動してもらってお過ごしいただくことが大切ですから、自分だけ美味しいもの食べていい気になっていちゃいけませんよね。そう反省していると、旅で受けた刺激もあって以前からやってみようと思っていたメニューの一つが目の前にイメージされます。
そんな折「あさっての夜、いただきもののお肉が食べきれないから来ない?」というお誘いに、行く・行く!と即答しつつ、僕も新メニューにトライしてみるので、実験台になってくださいね・・・とお願いしたのでした。

やってみようと心に決めたのは“ポット・パイ”。全部パイじゃなくて、スープカップで作る、スープの上にパイで蓋したやつです。今回は、テストを兼ねて夕食をお誘いくださったご近所さんが被害者になるかもしれませんが、これも運命と思って諦めていただくしかなさそうです。

あっという間に2日間が過ぎ約束の日、午後電話がかかってきました。
「今日6時半だったよね?」
「いや、確か7時だったと・・・」
「6時半にしようよ」
「でも、試作品が間に合わなさそう」
「いいよ、じゃ7時で」
ってことで、話が決まりました。すでにポットパイの上に乗せる、パイ生地は作成途中だったのです。僕がやってみたいのは、もちろんパン生地ではなく、かといって厳密なパイ生地でもなく、クロワッサンの生地なんですよね。つまりスープにクロワッサンで蓋しちゃおうと。

お料理担当のカミさんにはあれこれ無理難題をてんこ盛りにして、海老の頭でソース取った海老とホタテとほうれん草のクリームスープを作成してもらってあります。事前に冷ましておかなくちゃいけないって情報は入手済み。時計見ながらクロワッサンの生地を伸ばしてぇー、冷やしてぇー・・・。

で、早速焼き上げてみたところ・・・あー、大失敗。蓋がポンと膨らまなくちゃいけないのに、ポッチャンってな感じでスープの中に落ちてしまいました。あー、ふやけたらさらに美味しくなくなる。仕方ない、このまま持ち込んで食べてもらおう。30分早いけど・・・!

行った先で何と言われたかは想像通りです。あんたが30分早くできないって言ったからまだ準備できてないよ、ウチは。でもって、こりゃ失敗作だねー。もう少したたないとワインも冷えないし(テラスに出してありました)。そこを無理強いしてしまうのは、僕の得意科目ってわけじゃないけど、まぁ結論的にはそうなりました。
曰く、「うん、うまいよ、味はね」と。
    
1日明けた本日は、もう本番です。何と気の早い、まぁそうですよね。さすがに僕も不安で、必要数の倍だけスープを用意してもらいました。失敗したら普通のスープをいつも通り召し上がってもらえるように。さすがにポチャンをそのまま「エヘヘー、味は悪くないと思いますので・・・」と言うわけにはいきませぬ!
まずは生地をしっかり薄く延ばし、スープカップの縁は残しておいてもらった溶き卵で糊情に塗り、少し大きめの生地をしっかり張って蓋しました。ヨシ!っと心の中でつぶやくと同時に、オーヴンに入れました。200℃にて8分。

さぁーどうでしょう・・・?少々ドキドキ。
少しずつ生地に焦げ色がついてきました。ウン、いい感じ。
どうやら成功です、しめしめ!!
ピーッと焼き上がりのサインがしてオーヴンから出すと、美味しい香りが部屋中を満たします。よーし・・・。でもさぁ、ちょっとパイの蓋がでかくね?落ちるのを気にして、余寸を大きくし過ぎちゃったようです。うーん・・・。

幸い空っぽのカップが帰ってきてホッと胸をなでおろすも、次回はもう少し小さく(プラス薄く)焼き上げて、上品さも演出せねば・・・!

それにしても・・・、こうやって刺激を受けたことも「実験台になってみて」と宣言する機会があったこともホントに運が良かったです。こういう機会がなくっちゃ、いまだにトライしないまま「できたらいいな」で過ぎて行ってしまっているだけなのかもしれませんからね。


美味しい白ワイン。

2012-11-08 04:30:05 | 「食」と「食材」
朝から雨が降っています。とっくに雪の季節なのですが、今年は初雪はしばらくおあずけ。低気圧が暖かい湿った空気を運んできて、強い風がビュービュー吹いて、紅葉した葉がどんどん舞っています。
真っ赤に色づいた庭のもみじも1枚の葉もなくなってしまいまいしたが、どうだんつつじだけは真紅の葉をまだつけたまま。燃えるように庭に佇んでいます。
秋の終わりの北海道。めまぐるしく季節が動いています。

外の景色がどんどん変わるのですが、秋も深まると家の中はのんびり気分。いつものんびりじゃないの?というご指摘は、今回も却下させていただきまして、昨日は宅配で食材がいくつか届きましたので、それを開梱しながらのんびりに拍車がかかっております。
食材の1つは、楽しみにしていたワイン!この時期赤ワインが美味しく感じるお料理を楽しみたいところですが、ワインは白を多めに仕入れました。ハーフ1ダースとフルボトル2ダースの内訳は、赤ワインは半ダースだけ。と言うのも、先般いらしたインポーターのお持ちになった白ワインが美味しくて、ちょっと早いのですが来年の初春以降に使ってもいいかな、とも思ったんですよね。
ちなみにインポーターさんには再三お願いしているのですが、晩秋にキャンペーン組んでもあんまり嬉しくないので、ぜひ初夏とかにハデにやってくださいと・・・。でも実際には年末・年始をひかえた今にやるんですよね、「お値打ちフェア」みたいな催し。
先方もあれこれお考えになるようで、「今ご購入になれば、半年後も同じ価格で納品いたしますので」とか何とか調子のいいこと言って売上を確保しようとされるんです。そんな甘言に乗らないぞー、と言いながらちょっぴり試飲を・・・、あれうまいな。

そんな経緯で先行してやって来た白ワイン2ダース半は、僕もこの冬少しは楽しみますが(って、これがヤバかったりして・・・)来期にお出しする予定のアイテムです。シャブリの1級は、すっきりと爽やかな辛口の中に、葡萄のコクがしっかり詰まった美味しさ。芳醇なムルソーとなかなかのコントラストですが、どちらもウチのお料理を美味しくしてくれること間違いなしです。
そして、来期のもうひとつのワインのテーマは、北海道産のワイン。いくつか試していますが、おおむねアイテムを絞れそうです。できれば美瑛の近隣のワイナリーのものをお出ししたいと思っています。

今から時間をかけて、2013年版のワインリストを作るのが楽しみです!


美味しく焼けました!

2012-11-06 15:36:21 | 「食」と「食材」
タイトルからしてよくある自画自賛パターンです。

1週間ほど間が空きましたが、またしばらくパン焼きDaysに突入です。宿を始めた頃、1度うっかりパンに入れる材料を忘れていて、大汗かいたことがありました・・・。どうして???、絶対ありえないような材料の入れ忘れ。
あの時の慌てた記憶はいつもパンを焼く時(パンをこねる前の、材料の計量をする時)によみがえって、僕に“もう一度チェック!”とささやいてくれます。おかげで2度としくじることはなくなりましたが、ちょっとブランクが開くとやっぱりチェックに余念なく・・・。

北海道産の小麦と、同じく北海道産のライ麦を使った、シンプルなカンパーニュ。何度か配合と焼成時間を変更しましたが、やっと今の作り方に落ち着きました。今は
・半日前に中種を作ります(ポーリッシュ法)。
・酵母も塩も、少し少な目。
・焼成時間は30分で、ちょっぴり長め。
焼き上がりをオーヴンから出すと、小麦の焼ける香ばしいかおりでダイニング中がいっぱいに。思わず僕のお腹も泣き出しそうです。クープを入れた生地の切れ目から、盛り上がるように中が膨らんだ感じ。美味しそうですよね。

昨夜は嬉しいご注文をいただきました。お帰りになる際に、このライ麦パンを5個おみやげにお持ち帰りになるのだそうです。いきなり5個ってまた思い切ったご注文ですが、ちゃんと美味しく焼き上げますよー!

あれ、粉があったかなー???


秋の過ごし方(新メニューを楽しむ♪)。

2012-10-31 09:22:09 | 「食」と「食材」
カミさんが、新メニューにトライしています。そもそも僕ら二人は“美味しいものを食べる”ことに目がありません。今回の新メニューの発端は、確か9月になってから美瑛町内のとあるイタリアンのお店で昼食をとった際のこと。ランチのメニューを頂戴したわけではありませんよ。パスタが運ばれてくるその間に、見ていた料理本がヒントになったんです。
本は「ワインと美味しくいただくメニュー(葡萄品種別)」みたいなタイトルだったと記憶しています。ここ数年だんだん飲む頻度が上がって来たブルゴーニュの赤ワイン(即ち葡萄はピノノワールです)に合う料理(というか味わい、もっと単純にはどんなソースがフィットするんだろう?)に興味がありました。
さっそくピノノワールのページを開いていると、目に留まったのが茄子と松の実入りひき肉の挟み焼。ソースは白ワインとバターと小麦と牛乳でホワイトソースを丁寧に作ったもの。なるほど、美味しそう!家に戻って数日後に試作してみたところこれがいい感じのオードブルに化けました。松の実は無かったので、クルミを使用したカミさんですが、全然問題なし。ブルゴーニュのワインともしっかり仲良くしてくれました。

秋がだんだん身近になって、茄子がじゃんじゃん出回るようになって、このオードブルは当館の3点寄せの最初のお皿の1つに、結構登場するようになりました。
先日改めて家で料理本を見てみると、その延長線上にごぼうを使ったソースで豚肉をいただくメニューにヒントを発見したカミさん。ごぼうはちょっとクセのある根菜ですが、こういう野菜ってたいがい赤ワインとは仲良し。今回はフォン・ド・ボーをベースにごぼうを使ったソースを使い、クルミ入りのひき肉を豚肉で包んでみました。でもってトップには細く割いたごぼうを揚げて乗せたお皿がこれです。

ブルゴーニュとの相性がいいのはわかっているので、今回はボルドーワインで試してみます。1本だけ残っているCh.ラトゥール・カルネ(ボルドーのグランヴァン4級)。このワインはオルム・ド・ペズ、Ch.カマンサック(同5級)と一緒に今シーズンお客様にもお楽しみいただきましたが、意外と一番人気が無かったワイン。自分も最初に1本飲みましたが、余韻が長くバランスのとれた素晴らしいワインです。
さて今回の豚肉とごぼう料理の相性はと・・・、あ、美味しいですねぇ。いい感じです。これはお客様にお出しできるメニューに昇格するかもしれませんね。たぶんお肉は薄切りではなくて、もっとボリュームのあるもので中身を挟むような感じかなぁ。ズッキーニとごぼうが、お肉の美味しさを浮かび上がらせてくれます。ワインも進むよなぁー。あー、パンを焼いておけばよかった。